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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

野菜と果物のお話

トマト 

鮮やかな色が食卓をにぎやかにして、通年使われる西洋野菜、「トマト」のお話です。ナス科植物に属する「トマト」の原産地は南米のペルー、エクアドルの原産で、アンデス山脈の亜高地に生えていたとされています。ヨーロッパへはコロンブスの新大陸発見後、16世紀の初めにイタリアへ持ち込まれましたが、当初は食用ではなく観賞用に栽培されていました。日本にトマトが伝わったのは18世紀初めの貝原益軒の『大和本草』に「唐ガキ」と記されていることから17〜18世紀あたりとされています。食用としての栽培は明治時代以降で、昭和10年代には一般的な野菜として広く認知されていました。日本での消費量が急増したのは、太平洋戦争以後の事です。

トマトは、西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど保健効果の高い野菜として利用されています。トマト果肉の95%は水分ですが、ビタミンCやトマトの赤い色素であるリコペン、ビタミンA、ビタミンP(フラボノイド)、カリウムや微量金属であるセレンなども含まれているため健康を維持する上で非常に頼もしい野菜です。

トマトはダイコンミカンキャベツなどのようにビタミンCが豊富に含まれ、生で食べることが多いので熱に弱いビタミンCを損失することなくたくさん摂取できるので夏バテの予防や疲労回復効果があり、血管を強くし、肌をきれいにするなどの効果が期待できます。フラボノイド(ビタミンP)が毛細血管を強化して高血圧を予防します。また微量金属であるセレンにはビタミンEと同様に過酸化脂質を分解する働きがあるので、肝臓ガンの予防や肝機能の改善に効果を発揮します。さらにトマトの赤い色であるリコペンには抗酸化作用があり、遺伝子や細胞を傷つけるフリーラジカルを捕捉するので、ガン予防に効果があります。その他に、クエン酸やリンゴ酸も含まれるので、「ウメ」の項でもお話した通りエネルギー代謝をスムーズにし、疲労回復を早めます。このように、トマトは代表的なビタミン食品であるばかりでなくアルカリ食品としても重要な位置を占めています。

トマトは真っ赤になった完熟タイプほど栄養価が高くなるので、真っ赤になってから食べましょう。

野菜と果物のお話