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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

野菜と果物のお話

カボチャ

カボチャはウリ科の1年草で世界で約20種ほど種類がありますが、日本で栽培されているのはニホンカボチャ、セイヨウカボチャ、雑種カボチャ(ニホンカボチャとセイヨウカボチャの種間雑種)、ペポカボチャの4種類で、原産地はいずれも中米から南米高原地帯です。日本には16世紀にポルトガル船によって豊後や長崎に伝わり各地に広まりました(ニホンカボチャ)。セイヨウカボチャはさらに遅く19世紀の中ころにアメリカから伝えられましたが普及せず、明治に入って多くの品種を導入し、北海道、東北、長野の寒冷地方で栽培されました。現在のカボチャの主流は西洋種で、えびす、みやこ(これら2種は加熱するとホクホクすることから、栗カボチャといいます。)二品種が全体の生産量の50%を越えます。とにかくカボチャは土地を選ばずに栽培することができ、収穫量が多いため、第2次世界大戦の戦中、戦後には都市の空き地で盛んに栽培されました。戦中、戦後を過ごした方の中にはカボチャなど見たくもないという方も少なからずいらっしゃるようです。

ところでこのカボチャ、健康野菜としてなかなかの優れ物なんです。先ず、カボチャの黄色い色、これはβ-カロチンとα-カロチンです。「ニンジン」と「ホウレンソウ」でもお話したように、β-カロチンとα-カロチンには生体内で発生して正常細胞をガン化させる働きのあるフリーラジカル(活性酸素)を捕まえてくれるので癌予防や老化予防に効果があります。また、β-カロチンは動物体内に取り込まれるとビタミンAに変化するのでプロビタミンAとも呼ばれており、視覚、聴覚、生殖機能維持にも効果的です。その他にビタミンCも比較的豊富ですし、それ程量は多くはありませんがビタミンB群が含まれていますのでビタミン源としても重要な野菜なのです。以前ジャガイモでお話したように、カボチャも多くのデンプンを含んでいるので、その中にあるビタミンCは比較的熱に安定なのです。それに何と言ってもカボチャは全野菜の中でも「日もち大将軍」といってもよい程保存のきく野菜ですから、今程物の豊富でなかった昔では野菜の少ない冬場には貴重なビタミン補給源だったことは容易に想像できます。昔から「冬至にカボチャを食べると、かぜをひかない」という言い伝えはカボチャのビタミン群の多さに理由があるのです。現代のように科学の発達していなかった時代に、経験的にカボチャの重要性を理解していた先人の知恵にはあらためて驚かされます。

カボチャは食物繊維も豊富に含まれておりコレステロール値を下げ、便通を良くするので、大腸癌の予防にも効果的です。ただし、カボチャの主成分はデンプンなので、食べ過ぎるとエネルギーオーバーになるので注意が必要です。まあ、カボチャに限らず何でも健康に良いからといって、それだけを特別にたくさん摂取しても良くないことはごく常識的なことなのですが、一般的に日本人は熱しやすく冷めやすいところがありますから、やはりバランスを良い食生活を日々考えて楽しい毎日をおくりたいものです。

 最後に一つだけ、カボチャの種のお話です。実はカボチャ、実の部分だけではなく種にも色々な効能があります。種には生体内で重要な微量金属の一つである亜鉛が多く含まれていますので、中国、インド、ブルガリアの山岳民族、アナトリア系トルコ人、ウクライナ人、ルーマニアのトランシルバニア地方の住民は、前立腺疾患やインポテンスの予防、視力維持などに効果的であることから欠かせない食べ物となっているようです。また漢方ではカボチャの種を「南瓜仁(なんかにん)」とよび、低血圧の薬として利用されています。

食べ方は種をよく洗って干し、フライパンで炒って皮をむいて食べるのが一般的です。

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