北海道医療大学

第2回将来ビジョン講座 開催報告

令和8年7月6日に第2回将来ビジョン講座が開催されました。講師は株式会社ファルメディコ代表取締役・本学客員教授の狭間研至先生です。今回のテーマは調剤業務の一部外部委託~その現状と課題、今後の展望~です。
令和3年4月に内閣府規制改革推進会議で提言された「調剤業務の一部外部委託」は令和6年には国家戦略特区での実証事業が実施されることになりました。この結果も踏まえて厚生労働省でも議論された結果、令和7年5月には「特定調剤業務」は外部の薬局に委託できることとした改正薬機法が成立しました。
狭間先生は医師と薬局経営者の立場から医師はタスクシェア・シフトにより診断と救命に特化していく、薬剤師は薬を渡すまでではなく服用後までフォローする。そうすることによって医師と薬剤師は協業して薬物治療の適正化に取り組むべきと述べられています。すなわち「薬局が変われば、地域医療がかわる」という理念の元にこれまで様々な取り組みを実践されてきております。はじめに狭間先生は調剤業務の一部外部委託の取り組みに至るまでの経緯をお話してくださいました。
まず狭間先生は薬剤師が薬理学や薬物動態学、製剤学などの専門性を活かすことが出来れば医薬協業の形が可能となると考えられました。そこでポリファーマシー問題を解消した在宅業務における医師と薬剤師の連携による評価の結果についてお示しいただきました。そこではポリファーマシーの解消によって施設全体の薬剤費が減少した結果が認められました。その成果が元にとなり現在の服薬薬剤調整支援料が調剤報酬として新設されております。次に人手不足による長時間労働の課題の解消の取り組みについて述べられました。狭間先生は業務的には重要ではあるが薬学的専門性はない業務について薬局パートナーと薬剤師が協働することによってタスクシフトを図ることによってこの問題を解消することが出来ると考えられました。その結果、2019年4月に0402通知が発出されることになります。薬剤師の目の届く範囲で薬剤の品質に影響がない事を前提として判断の余地がない機械的作業については手順書の整備と研修の実施を条件として薬剤師以外の者が調剤業務の一部を行っても差し支えないということが明文化されました。これにより業務の属人化の回避が可能となったと述べられました。さらに対物業務の負荷の問題について述べられました。ここまで薬剤師の専門性を活かすことによる社会的な意義とそれを充実させるためのタスクシフトの取り組みを進められてきて、次に取り組むべきは対物業務の効率化だったということです。現在様々な高性能な調剤用の機械が開発されています。一包化のチェックはかつて唯一薬剤師が分包して目視のチェックを人の目で確認して最終監査を行わなければなりませんでした。しかし機械の発達で高性能なカメラ機能が搭載された分包機が一部の調剤薬局には既に導入されています。これを利用することが出来れば0402通知の内容に基づいて薬局パートナーが機械によってフィルタリングされた一包化調剤の結果を事前にチェックすることが出来るようになり、薬剤師は最終監査に集中できるようになる。そして薬剤師の関与と薬局パートナーの負担を軽減することが出来ると狭間先生は考えられました。しかしながら高額な機械はどの薬局でも簡単に導入できるものではなく特に中小規模の薬局では困難です。狭間先生はこうした薬局はいつまでも対人業務の充実を図ることが出来ないことを憂慮されておりました。そこで高性能な機械という貴重な資源を薬局間で共有することは出来ないかと考えられました。狭間先生は薬剤師が変わるための構造改革こそが調剤業務の一部外部委託であると述べられました。狭間先生が中心となって薬局20社、一般企業18社が参加した薬局DX推進コンソーシアムが立ち上がり、令和5年9月に調剤業務の一部外部委託に係る国家戦略が提案されました。翌令和6年7月から大阪市は国家戦略特区として認定されて実証事業が実施され、令和7年5月に改正薬機法が成立しました。今後6か月から2年以内に施行される見込みです。これにより期待できる効果と目標は医薬品の供給不足問題の解消や国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化であると狭間先生は述べられました。
一部外部委託制度の取り組みを進めている目的は現在大きな問題となっている医薬品の供給不足問題の解消と対物業務の効率化によって対人業務を充実化して、薬剤師がより専門性を活かして国民に安心と安全を届けられるようになることです。今回、狭間先生の医師として、そして薬局経営者としてのこれまでの取り組みをはじめから振り返りながら拝聴したことによって地域医療を変えていく過程の上に今回の調剤の一部外部委託の取り組みがあるのだということが理解出来ました。講演後、一部外部委託が全国で展開された時の地域差について質問がありました。狭間先生は例えば北海道の様な広域な地域や山間部には将来的にドローンを用いた配送等色々な手段を検討しながら安全に薬を患者の手元に届ける方法を考えていかなければならないと述べられました。以上、令和8年度第二回将来ビジョン講座、狭間研至先生による調剤業務の一部外部委託~その現状と課題、今後の展望の開催報告とさせていただきます。

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