北海道医療大学

第4回 将来ビジョン講座 開催報告

令和7年12月9日、令和7年度第4回将来ビジョン講座が開催されました。今回は、東京大学医学部附属病院薬剤部の高山和郎先生を講師にお迎えし、「災害時医療の変遷と薬剤師の将来ビジョン~災害薬事コーディネーターの意義と期待~」と題してご講演いただきました。

冒頭、高山先生は前日に青森県で発生した震度6強の地震に触れ、災害はいつどこで起きてもおかしくないという現実を強調。その上で、災害時に薬剤師に求められる最も基本的な役割は「平時と変わらない業務の継続」であり、薬剤業務の事業継続計画(BCP)の策定と訓練が不可欠であると説かれました。

また、薬剤師自身も被災者になり得ることを念頭に、自らの身を守る「自助」、地域で助け合う「共助」、行政による「公助」の役割を理解しなければなりません。支援を受ける側(受援)の視点を持つことの重要性や、災害医療の行動原則である「CSCA-TTT」がすべての組織の基盤となる点についても言及がありました。

災害時には情報共有が極めて重要なため、広域災害救急医療情報システム(EMIS)の活用に加え、地域の災害拠点病院や薬局それぞれの役割を事前に把握しておくことが、混乱を防ぐ鍵となります。

「災害薬事コーディネーター」については、大規模災害時に保健医療福祉調整本部の構成員として明文化されたほか、第8次医療計画でも養成や能力向上の推進が記されています。このように活躍の幅が広がる中、都道府県・二次医療圏・市町村の3層体制において、同職が非常に重要な役割を担っている実状を解説いただきました。

なお、薬剤師に特化した資料として、「改訂版 薬剤師のための災害対策マニュアル」(令和5年度厚生労働省科学研究班報告書)の紹介も行われました。

講演の締めくくりとして、先生は薬剤師同士の連携や被災地全体の薬事ニーズを統括する重要性を改めて強調。これらはコーディネーター個人に委ねるのではなく、一人ひとりの薬剤師が高い意識を持ち、平時から備えを進めていくことが不可欠であると結ばれました。

ポートフォリオからは、具体的な役割や重要性がよく理解できた、BCPの重要性に強く関心を持ったといった前向きな意見が寄せられました。

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