北海道医療大学

第1回将来ビジョン講座 開催報告

令和5年7月11日に令和5年度第1回将来ビジョン講座が開催されました。「フォーミュラリーの今とこれから~薬剤師に求められる役割とはなにか~」と題して日本調剤株式会社FINDAT事業部 上田彩先生にご講演いただきました。上田先生はロンドン大学スクールオブファーマシー臨床薬学修士をご卒業され、英国薬剤師免許を取得されています。その後、国内の大学病院にお勤めになられてから、医薬品適正化の取り組みに尽力され、院内のフォーミュラリーの作成に携わられました。

上田先生のご経験から、英国のフォーミュラリーの実際について経験を交えながら、本邦における医薬品に関する制度や臨床の問題や課題について分かりやすく解説していただき、テーマとなっている薬剤師の役割について述べていただきました。英国ではすでに、エビデンスに基づいた処方のためにフォーミュラリーが活用されています。その中で薬剤師は、処方アドバイザーとしての役割や、日本では主にメーカーによって行われている医薬品の情報提供の役割を、薬剤師が担っているということをご紹介いただきました。英国では、地域ごとに同一の医療経済圏や医療サービスを提供する組織における医薬品の採用、使用、採用中止の管理プロセス、すなわち地域フォーミュラリーの仕組みが構築されており、薬剤師の果たしている役割は重要であると述べられました。

続いて日本におけるフォーミュラリーの現状についてお話しいただきました。日本の医療の特徴として国民皆保険制度があります。患者負担が低く、誰もがどんな医療機関や医療技術にアクセスが可能といったメリットがある一方で、社会構造の変化によって負担が増してきており制度の持続可能性を確保していくための制度改革が検討されています。そこで問題として取り上げられている話題として、英仏に比べて日本は効果の薄い薬にも保険が適応されており、かつ保険の適応基準についても緩いといったことが取り上げられていることをご紹介いただきました。医療費削減の政策として薬価の引き下げが毎年行われるようになりましたが、一方で、他国からは収益の予見がしにくいため、日本が発売を後回しにされてしまっているといった問題についてもご紹介いただきました。また、フォーミュラリーに関する教育の面では、ここ数年でフォーミュラリーの認知度は上昇傾向にあるものの、大学や実務実習での実践は10%程度であることについて触れられました。今後、モデル・コア・カリキュラム改訂版においては、より実践的な内容になってきていることから、さらにフォーミュラリーに関する教育が充実していくことに、期待を寄せられておりました。

続いてフォーミュラリーの作成の流れから作成した標準フォーミュラリーの検証の内容についてご紹介いただきました。実際にGLP-1製剤等を例に検証の内容をご紹介いただき、推奨の優先度の考え方について述べられました。さらに大学病院との共同研究でインスリン製剤やG-CSF製剤等の標準フォーミュラリーと実臨床の比較検証結果についてお示しいただき、作成された標準フォーミュラリーの有用性が示されたことについて述べられました。

最後にフォーミュラリーにおいて病院薬剤師、地域薬局の薬剤師のそれぞれが担う役割について述べられて、わが国においてフォーミュラリーを構築していくためには各々がその役割を果たしていくことが大切であるということを述べられて講演の締めくくりとされました。

ポートフォリオより、フォーミュラリー作成にあたり、エビデンスに基づいた薬剤選択であることを改めて理解できたという意見や、採用医薬品が整理されることによる医療安全への寄与等興味が持てたという意見や、フォーミュラリーを作るという事も薬剤師としての能力が活かされると感じたという意見が寄せられました。

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