北海道医療大学

CAPEP WEBキックオフセミナー 開催報告

令和5年6月13日にCAPEP 2nd WEBセミナーが開催されました。独立行政法人医薬品医療機器総合機構の岸達生先生を講師に、薬品救済制度等について」と題した講演が配信されました。

はじめに、医薬品副作用被害救済制度について、その成り立ちと制度が出来上がる理由となった薬害の歴史について示されました。続いて、同制度の国民および医療関係者の認知度についてデータが示され、医療関係者の中でも制度を必要に応じて勧めたいか否かという問いでは、責任問題の観点等から意見は割れていることが示されました。

次に、制度の申請から手続きの流れと、申請のあった副作用による健康被害の内訳について、示されました。内訳は解熱鎮痛剤による被害が最も多く、抗生剤や抗てんかん薬による被害が上位ということでした。さらに、救済給付が認められた事例、不支給と判定された事例について示されました。不支給となった事例の中でも、ラモトリギンの用法用量が適正でなかったことによる事例や、イグラチモドによる薬物性肝障害の事例が示され、救済給付が認められるためには、用法用量の遵守や必要な検査の実施等の適正使用が非常に重要であるということが示されました。

次に、安全対策の流れと全体の機略的サイクルについて説明がありました。副作用報告の方法には企業報告と医療機関報告があります。提供された情報はイエローレターやブルーレター作成の情報源となるということでした。また、医療関係者には副作用の報告義務があり、責任は重大であるが報告の内訳では企業報告が多くを占めており、医療機関報告は少なくなっていました。しかしながら、医療機関報告の職種別報告件数のうち、約8割は薬剤師によるものとなっており、その貢献度は認められているものになっていました。

続いて、報告対象となる情報とはどのようなものか解説がありました。具体的には、死亡や障害を含む重篤な副作用や、CTCAEのGrde3以上の副作用等が挙げられていました。一症例の情報だけでは即安全対策に結びつかない場合も、その後、複数の報告が集積することによって、重要な副作用情報に繋がる場合もあるため、少ない症例であっても報告されることが重要であるということが述べられていました。

次に、報告書の様式や電子報告システムについての紹介がありました。オンラインによる報告ができるようになっており、報告が以前に比べて行いやすくなっているということでした。日本の現状は新薬の審査スピードは世界最速レベルとなっており、予測できない副作用が世界で最初に日本で発生する可能性があり、これまで以上に注意が必要な状況となっていることから、副作用報告の重要性が増しているということが述べられていました。

次に、PMDAのホームページの利用方法やRMP、審査報告書について解説されました。検索結果画面の使い方のポイントについて示され、「もっとみる画面」や安全性情報回収情報について解説され、必要な情報がまとめて閲覧できることや、PMDAメディナビを利用することによって、迅速な情報収集が可能となることが紹介されました。RMPについては、リスク分類と監視活動について説明がありました。また活用例として、重要な特定されたリスクに対する資材の活用や、潜在的リスクを確認して念のため経過観察をする、といったことがあるということが示されました。審査報告書の解説では、添付文書やインタビューフォーム等の資料作成の根拠となる審査者の考え方や根拠が示されており、必要に応じて元となったデータの確認は必要となることがあるということが述べられました。

最後に、副作用をモニターする上で、今回紹介されたPMDAが提供するデータを有効利用して副作用の報告や管理に努めてもらいたい、ということが述べられ、講義を締めくくられました。

参加者から寄せられたポートフォリオより、PMDAの利活用について理解できた、給付には7種類あり、給付額は種類ごとに定められていることやそれぞれについて請求期間があることなどに興味が持てた、など、参加者にとって意義深い講座であったことが分かる意見が多数寄せられました。

薬剤師支援
センター

Line Instagram X YouTube