第3回将来ビジョン講座 開催報告
2022年9月13日、北海道医療大学薬剤師支援センター 令和4年度薬剤師研修講座 第3回将来ビジョン講座がZOOM形式で開催されました。講師は、KKR札幌医療センター 畠山智明 先生、演題名は、「がん患者における検査値の読み方と薬薬連携」でした。
はじめに、がんの疫学とがん治療のお話がありました。がん化学療法適応の原則として、標準治療であること、PS、栄養状態が良好であること、さらに、適切な臓器機能を有することが重要と述べられました。特に、適切な臓器機能を確認する目的として、検査結果を理解することが重要となるようです。
第二に、がん治療の副作用と検査値の読み方についてお話がありました。処方箋に添付された検査値から、骨髄機能、肝機能、腎機能、甲状腺機能、電解質異常について具体的にお示しいただきました。抗がん剤を安全に投与するため、検査値が基準値内にあるかはもちろんのこと、さらに、検査項目が定期的に測定できているか、未測定時の疑義紹介も保険薬局の役割の一つと強く述べられました。
第三に、医師がトレーシングレポート(TR)に求める情報についてお話しいただきました。KKR札幌医療センターで実施された医師へのアンケート調査の結果、70%以上の医師が診療に役立っていると回答があったようです。さらに、医師が求めるTR情報として、副作用、相互作用、治療意欲の3点が挙げられました。
最後に、TRの書き方についてお話がありました。副作用の重症度評価、発現日、発現期間の記載が必要であること、薬剤師としての意見を記載し、薬学的介入を行ってほしいと述べられました。
ポートフォリオ・アンケートより
- 院外処方される抗がん剤をフォローする際の検査値や自覚症状のチェックポイントが分かりやすく説明していただき、具体例も示されて理解しやすかった。
- 検査値から薬物治療や薬物治療の程度、再開について判断することが可能であることなど、副作用情報だけではなく薬物による病態の変化を確認することにデータが使用できることが、新たな知見となった。
- トレーシングレポートに対する生の意見要望を知ることができた。医師等が気づかないこと、または患者自身がうまく伝えられないことを薬剤師の専門性を活かして記入することが大切だと思った。