北海道医療大学

第6回将来ビジョン講座 開催報告

令和3年12月14日に第6回将来ビジョン講座が開催されました。講師は伝統漢方からさわ薬局/株式会社からさわ薬局 代表取締役 唐澤豪貴先生です。「『漢方の基礎から臨床へ②』~基礎の復習と臨床の着眼点~」のタイトルで、昨年度の内容の復習から臨床における実際の症例に応用したケースについて紹介・解説いただきました。

はじめに、基礎の復習として気血水の基本概念と臨床での考え方についてお話しいただきました。「気」の上衡・停滞・不足、「血」について陰の瘀血・陽の瘀血・血熱、「水」の胃内停水・水毒・痰についてや、それぞれの異常がどのような病態を呈し、代表的な薬味や処方がどのように使われているのかを詳しく解説して下さいました。また、望診と薬味の気血水の傾向についても分かりやすく説明していただきました。

続いて三陽三陰の基本概念について解説していただきました。病位という概念の元に六病位、陰陽、虚実、表裏、寒熱があるというお話しや、三陰三陽で検討するもの、三陰三陽と寒熱・熱型についてのポイント、三陰三陽の基本概念に沿った治療原則や主要薬味、三陰三陽と熱型の特徴についてお話しいただいた後、実際に病位の流れについて解説していただきました。さらにそれぞれの病位の特徴として身体にどのような症状が現れるのかを、分かりやすく「陽は外から中へ、上から下へ」とお話しされました。また三陰三陽と口渇・舌診察・主要薬味について、患者に見られるどのような特徴をもとに考えていくかを詳しく解説されました。

後半は臨床での考え方について、太陽病を風邪の初期として、ややこじれた風邪を少陽病のように、前半部分の病位に沿って解説していただきました。発症初期から2日目までの寒気やゾクゾクする感じは表熱であり、その後発熱することが考えられることから、さらに悪寒に加えて節々が痛む場合は麻黄湯証、首がこわばる場合は葛根湯証、自汗があり軽度の筋肉痛がある場合は桂枝湯証として、それぞれ服用のタイミングが肝要であると述べられました。さらに発熱・発汗模式図からそれぞれの漢方の服用方法について、発熱のセットポイントを上手く調節することについて述べられました。続けて少陽病、少陰病についても同様にお話しいただき、風邪の漢方の基本的な考え方について解説されました。次に消化器疾患の場合として六君子湯とGERDについて述べられました。GERDの中でもそれが炎症性なのか機能低下によるものなのかによって処方は変わるということからGERDであれば六君子湯と判断するのではなく、三陰三陽、陰陽虚実、熱型からの判断は欠かしてはならないと述べられました。

質疑応答ではメンタルクリニックの漢方処方について質問があり、唐澤先生が実際に経験された症例を例に挙げ、既往歴を必ず書いてもらうこと、主訴だけでなく既往歴から分かることも含めて考えることが大切であるとご回答いただきました。

~アンケートより~

  • 勤務している薬局の門前は多くの種類の漢方を処方しているが、使い分けを理解出来ていなかった。今回の講義を受け、症状ひとつ取っても体質などによってそれに合った漢方が異なることがわかり、今後の業務に役立つと感じた。
  • 元々漢方に興味があり、風邪や胃腸等の普段の業務で目の当たりにする症状についての講義だったので、最後まで集中して講義を受ける事ができた。
  • 前回も受講し、気血水の基本概念、三陰三陽(陰陽、表裏、虚実、寒熱)の概念が少しずつ理解できてきているように思います。

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