北海道医療大学

第3回将来ビジョン講座 開催報告

令和3年9月14日に第3回将来ビジョン講座が開催されました。講師は一般社団法人 Sapporo Medical Academy代表理事 岸田直樹先生です。演題は「臨床推論-新たな医療者の時代へ-副作用・セルフケア・リフィルなど病態から推測し人として患者にせまる!」です。

はじめに岸田先生は、新型コロナウイルスによって変化を迫られている現状について、変化に対して待ちの姿勢ではなく、あらかじめ行動できる準備を整えておくことが肝要であると述べられました。そのためには多くの薬剤師が臨床推論を実践できることが有用であり、薬剤師の視点で受診勧奨をはじめ、副作用、有効性についての臨床推論を展開していくべきであるとのことでした。今後 ICT の技術が進歩していく中で、人としての考え方を応用していかなければ患者の需要を満たすことができない。それと同時に薬剤師が臨床推論を基礎として、病名・病態をはじめ様々な考察を加えて、患者に寄り添いながらセルフケアをサポートすることで、薬剤師に対する新たな需要が生まれてくるとお話しくださいました。

講演の途中では実際の症例を2例ご紹介いただきました。患者の訴えからOTCによるセルフケアあるいは受診勧奨のどちらを選択するかという問いかけや、高齢患者の処方せんから病名・病態を考察して、確認する必要のある検査項目と予測される数値はどれくらいかという問いかけがありました。セルフケアか受診勧奨かを判断するためにはレッドフラグの症状を把握していることが有用で、そのための聞き取りの具体例が示されている資料をご紹介いただきながら、実際にどのように判断していくかをレクチャーしていただきました。また、今後リフィル処方せんのような制度が展開されていくことがあれば、病名や病態から検査値の予測等を行っていく臨床推論の考え方が必要になると述べられました。

2035年を目途に、健康寿命を延ばしてセルフケアを重要とする方針が打ち出されています。薬剤師は地域住民に近い存在でセルフケアをコーチングしていく役割を全うできる存在として、需要を理解してもらうためにも、臨床推論を身につけて行動を起こしていく必要があることがよく理解できる内容でした。

アンケートの結果より、非常に内容が理解しやすく分かりやすかったという意見が多く寄せられました。また臨床推論については、答えを出すことよりも思考過程が大切で、他の医療職と対話を進める上でのコミュニケーションスキルとなることが学べたなどの感想がありました。

~アンケートより~

  • 講義内容の随所に問題提起も含まれており、とても興味深く聴講できた。
  • 日常業務においても患者の持参薬鑑別時には、その薬から患者の背景に何があるかを察するよう心がけているので、臨床推論の重要性についても共感できた。
  • 日本の薬剤師の未来を考えるとリフィルは必要であるとアメリカの医療を学んだ時に感じていた。そのためには薬剤師が環境の準備だけではなく能力のレベルアップも必要だと考えました。薬剤師の未来を薬剤師が決定しなければならないと示してくれたと思います。

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