北海道医療大学

第4回将来ビジョン講座 開催報告

2021年2月9日に第4回将来ビジョン講座が開催されました。講師はファルメディコ株式会社代表取締役社長の狭間研至先生です。「With Coronaに効く3つの処方箋」と題してコロナ禍がもたらす薬局に対する影響を中心に、これまでの薬局からこれからの薬局への変遷についてご講演いただきました。

はじめに狭間先生が「薬局3.0」という概念を提唱されるに至るまでの背景として、これまでの薬局の現状を振り返り、狭間先生ご自身が経営しているハザマ薬局で在宅医療および多職種連携を実践された経験についてお話しされました。このお話の締めくくりで第一ポイントとして「薬剤師が薬を渡すまでではなく薬をのんだあとまでフォローすれば、薬物治療の質は飛躍的に向上する」ことについて述べられました。続いてやりがいや社会貢献性、採算性について、対物業務と対人業務の話題と照らし合わせて解説されました。1974年に始まった医薬分業推進の末、患者の受療行動の中に薬局に処方せん調剤を持ち込む過程が習慣的に組み込まれて、ビジネスモデルとして成り立っていたというお話をされました。しかし、2015年に患者のための薬局ビジョンが提唱されたことをきっかけに薬剤師の対人業務が特に重視されるようになり、その結果は2020年度の調剤報酬改定に反映されました。さらにCOVID-19が患者の受療行動に変化をもたらして、これまでのビジネスモデルが成り立たなくなりつつあるという現状について解説されました。ここで狭間先生は第二のポイントとして「CIPPS ; COVID-19 Induced Pharmacy Paradigm Shift」を提唱されました。すなわちCOVID-19のパンデミックは薬局の社会通念やあり方を劇的・革命的に変え得るといった内容です。このような状況で薬剤師が取るべき行動として先生は「FAF ; Follow Assessment Feedback 」が肝要であるとし、第一ポイントとして述べられた事がやはり今まさに重要となり、早急に業務体系を構築していく必要があると述べられました。しかしながら、どの薬局でも業務負担が多い中でさらにFAFを実践していくには人員も時間も足りず、過労となる現状があります。この状況をどのように解決していくかという問題を、本講座の題目にあります「3つの処方箋」に例えて解説されました。すなわちそれは①業務内容の書き出しと分類を行い、業務フローを整理すること、②自店なりの積極的な機械化とICT化、③薬剤師を支える人材の育成と投入の3つです。これらを組み合わせることにより、薬剤師の時間、気力、体力を生み出すことが問題解決の糸口になり得ることを述べられました。そして本講座の締めくくりとして、狭間先生の15年間の「投資」の成果についてお話しいただきました。薬剤師が服用後までフォローすることの重要性とそれを実践するためには薬学的専門性がない部分を担うパートナーとの連携が極めて重要であるということ、そして、その先に狭間先生が提唱する「薬局3.0」実現の展望が開けるといった知見を得ることができたという事でした。

受講者ポートフォリオでは理解しやすかった、わかりやすかったという意見が圧倒的に多く、薬剤師の未来像を考える良い機会になったとの意見をいただきました。

~アンケートより~

  • 先生のお話が薬局経営の立場、医師の立場の両方から見られておりとても分かりやすかった。また、最近のコロナ禍での薬局のあり方に不安も抱いていたため、今後のビジョンを明確に持てた。
  • 在宅診療に関しての講義と思っていたので視聴してみたが、それだけにとどまらず、日常の業務にも取り入れられる講義であったので、いい意味で、期待を裏切られた。
  • コンビニより多い薬局の将来ビジョンに必要なことについて、コロナ禍の時代だからこそこれを機に改革が必要であることを学ぶことができました。また、国の方針から改革策を得ることの大切さを学びました。

薬剤師支援
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