第8回将来ビジョン講座 開催報告
令和元年10月8日19時より、北海道医療大学薬剤師支援センター主催の、将来ビジョン講座第8回が開催されました。伝統漢方からさわ薬局の唐澤豪貴先生をお迎えし、「漢方薬局という仕事~医療のすきまと薬局の漢方~」と題してご講演いただいたので内容を報告いたします。
漢方薬局とは、明確な定義はないものの、一般に薬局で販売できる煎剤・エキス剤・散剤・丸剤などの漢方薬を専ら取扱い、それらの相談販売を中心に行っている薬局を指します。伝統漢方からさわ薬局は、完全予約制の漢方相談となっており、基本的に傷寒論・金匱要略の「古方」中心ですが、「後世方」も使う「折衷派」と呼ばれる伝統的な日本漢方スタイルです。
医薬分業が成熟する前の時代は、些細な相談に対して様々なOTCの中に漢方を取り入れた形であり、漢方は今以上にセルフメディケーションの領域でした。しかし、分業成熟とともに保険の効く漢方がメジャーになったことで、一部の薬局が漢方をより深く掘り下げて「さらなる専門化」の道へと進みました。
漢方の難しいところは、医薬が進歩する中でも2000年前と同じレシピの葛根湯などが現在も使用されており、過去に漢方の情報が途絶えた歴史もあり、漢方の本来の正しい姿を誰も知らない点です。また、秘伝もあり、これを読めばよいという教科書もなく、勉強しにくい点もあります。基礎理論である気血水と三陰三陽を把握し、漢方の全体像と関係性を抑えることが学習の要となります。体質的な病位の検討となる舌診、口渇状態などの情報と三陰三陽の図解を用いて丁寧に教えてくださいました。疾患に対する各論を学ぶよりも、まず基礎理論の理解が必要であると改めて感じました。
時代とともに漢方薬局は縮小していますが、多くの薬剤師が何らかの形で漢方には触れています。OTCで漢方を選ぶケースもあり、薬剤師だけではなく登録販売者が関わることも多いです。患者や顧客に対して適切なアプローチができるよう、漢方の学びを深めることが大切となります。
今回の受講者は76名でした。多くの受講者が漢方の奥深さ、難しさを感じつつも、今後の勉強の励みとなりました。続編を期待する声もあり、多くの受講者から好評をいただきました。
~アンケートより~
- 漢方に関わる勉強会、講演会は貴重で、とても興味深く話を聴けました。
- 漢方の基本が理解できていないので、もっと深く理解してから、また講義を受けたいと思った。
- 問診で何を聞くのか、構成生薬の見方など難しいですが、少しとっつきやすくなりました。