北海道医療大学

第7回将来ビジョン講座 開催報告

2019年9月10日「生き方に寄り添う医療介護~夕張財政破綻から12年~」と題しまして、超高齢社会にどう対応するのか、訪問薬剤師が行う在宅医療、薬剤師としての専門性という内容を、夕張市の調剤薬局でご勤務されている小島多加志先生にご講演いただきました。

2007年に353億円の赤字を抱え財政破綻した夕張市は、その後行政サービスを切り詰め、医療サービスは激変しました。171床あった市立総合の病院がなくなり、19床の診療所と介護老人保健施設へと変わりました。その後入院医療・高度医療から在宅医療・予防医療へ医療の体制を変えていったそうです。

小島先生は今から9年前に夕張市で勤務されることとなり、在宅医療・予防医療の体制を他の医療・介護スタッフと連携し、構築されてきました。

講演の中で驚いたことは、夕張市民の高齢化率は52%と極めて高いにも関わらず、総合の病院がなくなっても、夕張市民の人口減少はさほど変わらなかったとお話しされていたことです。そして病床数が171床から19床へ減っても、満床になっていないことです。その理由は、市民一人一人の価値観が予防医療、自宅で最期を迎えることへ変わったからでした。夕張市民の考え方が変わっていったのは、夕張市の医療福祉の方々の「住民の生き方に寄り添う医療福祉」へと仕組み作りを変化させようとするお力もあったからではないかと感じました。

また、小島先生の地域医療の取り組みは様々なものがありました。在宅医療の中での薬物治療モニタリング、服薬支援、認知症チェックなどで早期発見できた事例を多数紹介してくださいました。また、褥瘡治療では外用剤や栄養機能食品の提案もされていらっしゃいました。

地域の人が住み慣れた地域でその人らしく生活するために大切なことは、薬剤師は薬物治療を通じて支えていくことであり、また患者様の気持ちに寄り添うことであると教えてくださいました。

今回の受講者は33名でした。アンケートでは夕張市の深刻さを実感できた、地域医療の意味・重要性を理解できたという意見もありました。8割以上の方が、非常に役に立つ内容であったと回答されていました。

~アンケートより~

  • 具体的な症例とそれに対しどう介入していったかの話が多く分かりやすかった。
  • 患者様によりそう医療のヒントをもちかえることができました。モチベーションがあがりました。
  • 多職種協働の中に薬剤師として自信を持って入っていけるよう日々多くのことを学ぼうと思います。

薬剤師支援
センター

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