第6回将来ビジョン講座 開催報告
最近、オーラルフレイルという言葉が聞かれるようになり、さまざまな口腔の状況と疾病とのかかわりについて報告されるようになりました。これまで薬剤師と口腔領域との関連性について考えられることは多くありませんでした。しかし、薬剤師の職能の広がりにより、薬剤師として咀嚼、嚥下や口腔ケアについて学んでいく必要があることから、本講座を開催することとなりました。
最初に口腔機能の重要性について、お話しいただきました。口腔機能が変化することで、一般には栄養摂取低下が関与してきます。しかし、その状況が全身に及ぶことを自身の研究データをもとに説明されました。脳神経の活性化から記憶・学習に及んでしまうことにもなるとの内容でした。
次に、オーラルフレイルの概念について説明をいただきました。オーラルフレイルの定義から口腔機能低下症、口腔機能障害への変化について、関連する評価項目(機能)を列挙していただき、症状の様子からどの段階であるのかという分類が明確になりました。オーラルフレイルは口腔の状況によっては40歳代から始まっており、その予防、改善について、常に歯や口腔状態の変化に関心を持ってほしいと話されておりました。その中には、簡易的に咀嚼機能をチェックできる方法も示され、身近に感じる大変興味ある内容でした。
薬局での相談や在宅医療において、薬剤師が直接利用者(患者)と話しをすることは多くあります。その中から、オーラルフレイルについて情報を得ることもあるのではないでしょうか。先生は義歯の装着により咀嚼機能が改善しているようでも、身体の変化とともに顎が変化することもありメンテナンスが重要であることまた、義歯の間に服薬後の薬剤が残留していることもあると説明されました。オーラルフレイルは進行すると全身機能へ影響をもたらすが、機能回復が可能な領域でもあります。今後、薬剤師がかかわる患者へのケアの一つに、口腔機能との関係が加わっていくことと思います。
~アンケートより~
- オーラルフレイルについて、しっかり学べました。オーラルフレイルについて認知度が低いので、継続して講演してほしい。
- オーラルフレイルの早期発見に介入もできると感じた。
- 咀嚼や嚥下などの口腔機能が全身や生活習慣病にまで影響するというのが興味深かった。
- 口腔機能の重要性、オーラルフレイルについて理解を深めることが出来たと思う。