北海道医療大学

第3回将来ビジョン講座 開催報告

平成29年6月14日19時から北海道医療大学薬剤師支援センター主催の「将来ビジョン講座~プロフェッショナルな薬剤師を目指して~」の第3回目が開催されました。

ファルメディコ株式会社ハザマ薬局の代表取締役、狭間紀代先生をお招きして「これからの我が国の薬剤師への大きな期待を込めて~薬剤師50年余年で感じたこと~」というテーマでご講演して頂きました。

講演の冒頭で、狭間先生から参加者全員に素敵なプレゼントがありました。それは「芎帰調血飲第一加減」という気滞瘀血を改善する代表的な漢方です。試飲したところ、思ったほど苦味はなく、飲みやすいと好評でした。

ハザマ薬局は40年以上前から既に地域密着型かかりつけ薬局として機能していました。地域住民は処方せんを持っていなくても、何か困った事があれば気軽に薬剤師に相談する。そして薬剤師はフィジカルアセスメントを行い、病院への受診勧奨、もしくはセルフメディケーションとしてOTCや健康食品などのカウンセリング販売を行っていたそうです。また、症状に適した漢方を独自でブレンドし、患者さん個々に薬局製剤を販売していたそうです。今で言うところの「健康サポート薬局」としての役割を既に果たしていたというお話を聞き、とても感動しました。最近ではそういった薬局は少なくなっていると感じます。

また講演では、狭間研至先生が、「なぜ薬局に興味を持ったのか?」について下記のようなエピソードもお話して下さりました。

ある日、ハザマ薬局に肺の状態が悪い患者さんが、「医師に肺が真っ白だと言われたのだけど、よく分からないから教えてほしい」と相談しに来ました。

しかし、そのとき対応した新人の薬剤師は、上手く答えることが出来ませんでした。それを聞いた狭間紀代先生は、当時大阪大学医学部第一外科(呼吸器外科)に勤務していた狭間研至先生に電話しました。普段は多忙でなかなか繋がらないことが多かったのですが、運命的にもその時はすぐ電話に出てくれました。「肺が真っ白という意味が分からない薬剤師が居るから、呼吸器の外科医として解説してあげてほしい」と伝えると、狭間研至先生は色々なレントゲン写真などの資料を持って薬剤師に研修を開催しました。とても勉強になる内容で、薬剤師からは大絶賛の研修となりました。狭間研至先生は「薬剤師がもっと頑張らないとアカン、臨床を学ばないとアカン」と危機感を持ち、それが薬局経営の道に進むきっかけにもなったそうです。

さて、最近の薬剤師は、かかりつけ業務や在宅業務の負担が増え、膨大な業務を抱え込んでしまう問題があります。狭間紀代先生が理事としてもご活躍されている日本在宅薬学会では、薬剤師の時間、気力、そして体力を確保し、対人業務に専念するために「パートナー制度」が考え出されました。パートナー制度とは薬剤師と協働する存在(事務や助手などの非薬剤師)を指導・育成していくものです。現在の法律で非薬剤師が行っても問題がない業務は、研修を積んだいわゆるパートナーが責任を持って行い、薬剤師は本来行うべき業務に専念することができます。それにより医療の質を上げ、将来的に薬剤師の社会的評価を高めるという目的があります。パートナーが調剤行為を行うわけではないので海外のテクニシャンとは異なるものです。ハザマ薬局ではパートナー制度を実施してから、薬剤師と事務の残業時間が減り、やりがいは増え、離職率は減ったとのデータが出たそうです。大阪を中心にパートナーワークショップも頻繁に開かれており、参加者は非常に増え、その制度を導入する薬局も増えているそうです。

今回の講演では、狭間先生の長きにわたる薬剤師人生のエピソードを通じて薬局のあるべき形、薬剤師のあるべき姿について学ぶことが出来ました。

~アンケートより~

  • 病理を学んでいく大切さを感じた。
  • 薬剤師として人に寄り添うことの重要性を再確認できた。
  • これからの進むべき、ワクワクドキドキするモチベーションへの活動力となった。
  • 在宅、居宅にて私たちもバイタルチェックしているが、大切さとこれからの業務にいかして行きたい。

薬剤師支援
センター

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