北海道医療大学

第1回医薬安全対策講座 開催報告

平成29年7月22日14時から北海道医療大学薬剤師支援センターが主催しております「医療安全対策講座」が開催されました。

今回は、災害時における薬剤師の役割を学ぶべく、お二人の先生にお越しいただきご講演、ロールプレイ等を行いました。

熊本県山鹿地区薬剤師会 理事 大森眞樹先生からは、熊本震災の際にご自身が被災しながらも災害現場での支援の経験からご講演いただきました。薬剤師の持つ医薬品や公衆衛生に関する知識、能力が緊急時にも大いに役立つ場面が多くあることを学びました。また、震災での教訓を活かすために作られた「クロスロード」と呼ばれるカードゲームを通して、自らが現場にいる様々な人の立場で即座に意思決定をし、価値観や意見を共有するという経験をしました。例えば、以下のような問題があります。

『問題:あなたは食糧担当の職員です。
被災から数時間。避難所には3000人が避難しているとの確かな情報が得られた。現時点で確保できた食糧は2000食。以降の見通しは、今のところなし。まず2000食を配る?
YES:配る or NO:配らない
YESの意見としては、
・お年寄りや子どもなどに優先して配る(優先順位をつける)
・配らずに腐らせてしまったらもったいない など
NOの意見としては
・公平性がないので全員分揃うまでは配れない
・どんな理由があろうと、誰かに先に配ると文句が出る など』

岡山大学大学院医歯薬総合研究科救急薬学分野 教授 名倉哲弘先生からは、様々な災害支援の経験そして、大学教員の立場から「災害薬学」について学びました。大規模災害時に薬剤師がどのように貢献できるのか、薬学教育の中でも培っていくことの重要性を感じました。名倉先生の講演の中では、「DIG(簡易型図上訓練)」と「HUG(避難所運営ゲーム)」と呼ばれるロールプレイを行いました。DIGでは実際に札幌市の地図を囲みながら、ハザードマップと照らし合わせ、災害が自分たちの住んでいる地域で発生した場合、どこに、どのような被害が発生し、どのような対応をとればよいかなど話し合いました。また、HUGでは、とある町の避難所(小学校)が舞台となります。プレーヤーは避難所運営担当者となって、避難所に指定されている体育館のほか、校舎や校庭など、学校の敷地を有効活用しながら、数多くの避難者を適切に配置できるか模擬体験します。様々な規模の家族や、問題、要求を持った避難者が続々と訪れる中、どう対応したらよいかをゲームを通して議論することが出来ました。

大きな災害が起こることを想定したトレーニングをゲーム形式で「楽しく」学べることが重要であるという先生方の言葉が印象に残りました。また、災害支援も薬剤師だけで行うわけではなく多職種と連携することで早く適切な対応が可能となります。日頃のつながりの大切さも感じることが出来ました。

~アンケートより~

  • 避難所で処方された薬など興味深かった。
  • 多様な価値観を得ることが出来た。
  • クロスロードという手法を体験して、災害(医療)に直面した際の意見や」考え方について参加者から意見交換でき勉強になりました。
  • 報道だけでは知ることが出来ない避難所の指示の難しさを知ることが出来ました。
  • ゲーム感覚で体験することで、楽しく理解することができた。

薬剤師支援
センター

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