基礎看護学
■指導教員
明野 伸次 准教授
■研究内容
Evidence Based Nursingに基づいた人々の生活を支える看護技術の可視化と開発に関する研究
F.ナイチンゲールは、看護は健康の保持増進、病気の予防、健康の回復、苦痛の緩和を目的に、生命力の消耗を最小にするように対象者の生活過程に働きかけることであると述べている。超高齢社会において人々が健康で豊かに暮らすためには、生活を支える看護師の役割はますます重要となる。
そこで、基礎看護学分野では、対象者の健康レベルを問わず、人々の生活を支える看護技術の探求、看護技術の開発および効果の検証を目指す。そのため共通科目で学ぶ様々な理論や研究方法を基盤として、看護の技術・知識といった実践知の可視化に向けた研究課題について探究する。そして、Evidence Based Nursingに基づき、人々の生活が豊かなものになるように看護技術の可視化と開発を積み重ね、研究成果を臨床現場に還元することを目標とする。
■論文テーマ
- 経験3年以上の看護師における臨床判断の検討-状況の把握に焦点をあてて-
- 複数患者を受け持つ新人看護師の看護実践上の困難の実態と関連要因の検討
- 臨地実習指導者における学生理解の実態
- 臨地実習指導者の認識する看護実践のロールモデル行動の実態
- 清拭の援助の実施において看護師が注目する情報と判断
- 臨地実習指導者が実習中に認識する指導上の困難に関する教員との話し合い
- 看護師2年課程通信制における学習継続に対する学生の思い
博士論文
- 看護実践における行為の振り返り尺度の開発―患者の治療決定の支援に焦点をあてて―
- 地域で暮らす統合失調症の人々が思い描く生活の広がりに関する研究
看護管理学
■指導教員
福井 純子 准教授
■研究内容
現役の看護管理者を対象に、実践に根差した研究と先見性を備えた創造的な看護管理者の育成
近年、社会・医療・看護を取り巻く環境が大きくかつ急激に変化し、その中で必然的に看護の機能や役割の拡大が求められている。看護管理者は、この時代の要請を背景に看護の対象となるあらゆる人々に対し、質の高い医療・看護を提供するために、看護職の人材育成や他職種との協働、経営参画など、幅広い視点から思考し環境を整えるという役割が期待される。また、看護管理者が行なう看護管理の実践は、どのような看護の提供を目指すのかという明確なビジョンを持つことが重要である。
本研究科看護管理学専攻においては、看護管理に関連する知識体系を修得し、教員や学生との相互交流を通してその知識体系を実践に活用できるように具現化することを目指す。更に、看護管理の実践の中から生まれた問題意識や課題に対し研究として取り組み、看護管理者が行なう実践を言語化し、共に働く看護職や他職種ならびに看護の対象となる人々に対しても説明できる、看護管理者として重要な概念化能力の醸成を目指す。そして常に時代の先を読み、創造的な看護管理の実践能力を身につけ、チーム医療および地域の医療・看護の中で自らの役割を適切に果たせるようなリーダーシップを備えた看護管理者の育成を目指す。
*看護管理学専攻の修了(学位取得)は、日本看護協会認定看護管理者認定審査受験資格要件に該当します。(実務経験等のその他要件は、日本看護協会HPで確認のこと。)
■論文テーマ
- 副看護師長が期待される役割を発揮できるための看護師長による支援
- 看護師長が行う中途採用看護師のキャリア支援
- 看護師長が行う中堅看護師の看護実践における問題解決力の向上にむけた支援
- 就業後1年以内に離職し再就業した看護師の就業継続に向けた看護師長の支援
- 看護チームによる中途採用看護師の職場適応への支援
- 新任副看護師長の仕事上のストレスとコーピングとの関連
- 副看護師長の管理能力を高めるために看護師長が行う支援 ―ファーストレベル研修受講前後の関わりを通して―
地域看護学
※ 2024年度、2025年度開講せず
在宅看護学
■指導教員
竹生 礼子 教授
川添 恵理子 准教授
■研究内容
暮らしの場で療養する人々のQuality of Life(生命・生活・人生の質)の向上をめざした看護活動の探究
多死・超高齢社会の到来を目前にして、人々の住み慣れた暮らしの場で、健やかに生き安らかに生を終えることを支える看護実践が強く求められている。こうした社会背景を踏まえ、在宅看護を、病や障害とともにある療養者と家族の生活の場においてQOLの維持向上をめざす看護実践と定義し、看護師が配属されている場を問わずすべての看護職が共有する広義の概念として捉える。
在宅看護学分野では、在宅ケア、在宅での看取り、訪問看護や外来看護、病棟から在宅への継続看護・退院支援、地域での多職種連携・看看連携、療養者の在宅ケアマネジメント、看護事業所経営、在宅ケアシステムの構築や社会資源の開発など、扱うテーマは幅広い。
療養者・家族の在宅看護に関連する理論・知識・技術を学習しながら、研究課題の明確化と実践的支援方法を探求する。
■論文テーマ
- 高齢者住宅の入居者が他者の支援を受けることへの思い
- 同一の重度要介護高齢者を支援している訪問看護師と訪問介護員の協働
感染看護学
※ 2025年度開講せず
■指導教員
塚本 容子 教授
山田 拓 講師
■研究内容
【博士前期課程】では、感染予防を実践するための高度な知識・技術を学習します。基礎となる公衆衛生学・微生物学・感染症学の知識を習得し、医療関連感染予防から地域における感染予防と幅広く感染活動を実践することを目標としています。また、感染症を持つ患者、特にHBV/HCV/HIVを持つ患者の看護について、患者中心の看護提供を念頭に通暁することを目標とします。最終的に、感染予防・感染症を持つ患者の看護体系化を目指しています。感染症看護CNS養成を選択することも可能です。
■論文テーマ
- わが国の一般病院における感染症アウトブレイクに関する準備状況調査
- 手指衛生アドヒアランス向上のためのチーム・エンパワメント理論を用いた介入プログラムの検討
- 患者療養環境の清掃への介入とその評価:看護スタッフへの清掃教育と医療関連感染予防
- 感染管理専門家を対象としたバイオテロリズムに関する教育プログラムの検討:e-learningを用いて
プライマリ・ケア(ナースプラクティショナー、特定行為研修を含む)
※ 2025年度開講せず
■指導教員
塚本 容子 教授
石角 鈴華 講師
山田 拓 講師
■研究内容
地域で、地域住民の健康を包括的にマネジメントできる高度実践看護師の育成
地域住民の健康を、健康予防という観点から看護実践できるナースプラクティショナーの役割を果たすことができるように、 基礎的な医学的知識から高度実践看護師として実践できるような知識・技術の習得を目的とする。また、平成27年10月から 施行される厚労省の「特定行為研修」の内容を含む。
プライマリ・ケアにおいては、地域住民の身体的側面から精神・社会的な側面の状況を把握して、それぞれの住民の生活に合わせた医療の提供が重要となる。 その提供を可能とするために、高度なヘルスアセスメントの知識・技術や薬理学の知識、病態生理学の知識が求められる。 少人数で、ケースベースの実践的な内容、その基盤としてのエビデンスに基づいた医療の提供について学修する。 合わせて、高度実践看護師として必要な役割開発、コンサルテーションの知識・技術を獲得することを目標とする。
■論文テーマ
(新しく設置された分野であるため、今後の論文テーマとして考えられるものを列挙)
- 看護師または高度実践看護師の自律性と実践との関係
- 看護師または高度実践看護師の多職種との協働(コラボレーション)について
- 地域医療またはプライマリ・ケアにおける医療の質評価及び費用対効果
- 在宅医療における医療の質評価及び費用対効果
小児看護学
■指導教員
三国 久美 教授
木浪 智佳子 教授
■研究内容
子どもと家族の心身の健康に寄与する高度な看護実践と研究能力の育成
小児看護学分野では、子どもだけではなく家族を含めた看護実践が必要であることから、子どもを対象とした看護援助の専門的知識に加え、家族に関する諸理論や家族アセスメント、親子相互作用について学ぶ。
また、子どもの心の問題、児童虐待、育児ストレスなど近年の子どもや子育てを取り巻く様々な課題を取り上げ、子どもの心の健康と家族を含めた育児支援のあり方を考える。
本分野では、多様な小児看護実践の場において、子どもと家族の健康の向上に寄与できる高度な看護実践や研究能力を培う人材の育成を目指している。
■論文テーマ
- 思春期の炎症性腸疾患児の健康関連QOLと療養行動、ソーシャル・サポートの関連
- 小児科外来の看護職が行う育児支援の現状と関連要因
- NICUにおける父親に対する育児指導の実施状況とその関連要因―母親に対する育児指導の実施状況との比較―
- 小児看護学実習において学生が受け持ち患児とその母親3人で過ごす体験
- きょうだいが医療的ケア児に行う医療行為に対する母親と訪問看護師の思い
- 医療機関に勤務する看護職の子育て世代包括支援センターに関する知識の活用と課題
博士論文
- 重症心身障害児(者)施設の看護職および福祉職に対する相互作用を重視した食事の援助行為における教育プログラムの効果
- 継続的な支援が必要な家族に関わる助産師のための保健師との連携指標の開発
母性看護学
■指導教員
常田 美和 教授
■研究内容
周産期にある女性と子どもおよび家族を多面的に理解し、 最善の看護実践とは何かを探求できる看護職者の育成
リプロダクティブヘルスに関わる助産師、看護師は「女性と共にある」専門職として、女性とその子どもおよび家族の健康に寄与する責任がある。この専門職のコア・コンピテンシーは、助産師、看護師と女性の間のパートナーシップが看護実践の基盤であることを示している。その実現のためには、女性が置かれている多様な状況と女性の経験を理解し、最善の看護実践とは何かを探求し続けることが重要である。
そこで、母性看護学分野では、リプロダクティブヘルスに関連する諸問題を国際的視野も含めて学ぶ。さらに親となることに関する理論、愛着理論、喪失と危機理論などの周産期における母子の対象理解と支援に関する理論を学び、支援のあり方を探求する。
■論文テーマ
- 出産後1ヶ月の母親と父親による家族機能の評価とその関連要因
- 妊婦の胎児への愛着とその関連要因
- 北海道における生後1ヶ月児をもつ母親の乳幼児突然死症候群に対する知識とその関連要因
- 非妊時BMIの違いによる妊婦の体重変化と新生児の出生体重との関連
- 里帰り分娩をする女性に対する施設助産師と市町村保健師の支援の実態
- 分娩や育児に備えるために妊婦が知りたい情報の内容とその情報源
- 人工妊娠中絶手術を受けた女性が認識する医療者との関わり
成人看護学
■指導教員
桑原 ゆみ 教授
唐津 ふさ 准教授
神田 直樹 講師
■研究内容
成人期にある人の急性・慢性の健康障害に伴う心身の反応と看護介入
クリティカルな病態にある患者はもとより、特定疾患・生活習慣病などの多様な慢性疾患による健康障害は、その程度によって人の身体や精神・心理に種々の影響を及ぼす。また、健康障害の受けとめ方にも個人差が大きく、その人の生育歴や生活環境、価値観、信念などに負うところが大きい。
そこで成人看護学においては、まず健康障害に伴う患者の精神・心理状態を理解するために基本となる看護理論、すなわちストレスコーピング、不確かさ、健康信念、セルフケア、危機などの理論を学習する。また、家族理論など、患者家族の心理状態を理解するために欠かせない理論も学習する。
また、慢性疾患看護専門看護師の養成を実施しており慢性病のケアシステムの構築やコンサルテーション能力を培っている。
成人看護学特論では慢性病や難病を抱える人々を援助する上で役立つ概念・理論とその適用についてゼミナール形式で検討している。病みの軌跡、コーピング理論、自己効力感、不確かさなどである。なお、成人看護学演習では社会資源や具体的援助方法の検討へと発展させていく。
■論文テーマ
- パーキンソン病療養者が病体験の中で行う編み直しの様相
- 慢性心不全憎悪時の患者の受診に至る日数に関連する要因
- 心不全療養者の不確かさと主観的ウェルビーイングとの関連
- 人工膝関節置換術を受けた患者のQOLの改善状況に関連する要因
- 2型糖尿病をもちながら就労している人々のウェルビーイングと糖尿病負担感および職務満足の関連
老年看護学
■指導教員
山田 律子 教授
内ヶ島 伸也 准教授
舩橋 久美子 助教
■研究内容
老年期を生きる人々の生活・健康障害に関する看護研究
老年看護の究極の目標は、“有終の美”をもって成就される豊かで幸せな老いへの貢献である。それゆえ老年看護に携わるものには、老いと病いと生活とで描き出される高齢者像を多角的に評価・分析し実践できる的確な力が必要とされる。老年看護学分野では、研究を含めた看護実践の中で高齢者の幸せな老いに還元されうる力の習得を目指すとともに、心理・社会学的な視点を含む基本的な理論研究を行い、看護実践の質的向上につながる研究方法の構築を行うことを目標としている。
現在、認知症高齢者の食べる喜びを支えるケア、大腿骨近位部骨折で周術期にある高齢者の栄養状態と歩行再獲得,看護師教育プログラムの開発をはじめ、エンドオブライフ・ケアを含む高齢者の研究を行っている。
■論文テーマ
修士論文
- 介護老人福祉施設において高齢者の看取りに影響する要因
- 急性期病院において高齢者への身体拘束のない看護を可能にする要因
- 緩和ケア病棟において終末期がん高齢者の望む暮らしを支える看護:問題解決型思考から目標志向型思考への転換
- 外来通院している心不全高齢者の栄養状態の経時的変化
- 心不全をもつ高齢者の終末期を見据えた療養に関する対話への影響要因
- グループホームで暮らす終末期にある認知症高齢者の褥瘡を予防するケア
- 大腿骨近位部骨折で周術期にある認知障害高齢者の低栄養とその要因
- レビー小体型認知症高齢者への「認知症高齢者の自発摂食評価表(SFD)」の適用可能性
- 軽度認知障害(MCI)高齢者がライフデザインノートの作成を通して見出した意義:終末期医療の意思決定支援を見据えて
- 認知症初期集中支援チームによる活動の実態とその成果
博士論文
- 大腿骨近位部骨折で周術期にある認知症高齢者の生活機能を重視した療養支援のための看護師教育プログラムの効果
精神看護学
■指導教員
八木 こずえ 准教授
宮地 普子 准教授
中安 隆志 講師
■研究内容
精神看護の本質を探究し、その方法を開発する研究
精神疾患の罹患者数は近年大幅に増大している。精神看護分野では、統合失調症とうつ病という2大精神病の看護について研究してきたが、現在、統合失調症は軽症化して地域支援に支援の重点が広がり、うつ病は病態変化によるケアの困難性が生じるとともに、リハビリテーションの必要性も高まっている。これらの臨床の変化や精神保健医療に関連の深い社会現象を反映し、研究テーマは、古典的精神疾患から現代的メンタルヘルスや認知症、臨床現場に特有な困難性に焦点を当てた研究など多岐にわたっている。当事者と地域社会の支援ニーズに応える精神看護の本質や知見を学び、新たなケア方法を開発するための研究能力を身につけることを目的としている。
■論文テーマ
- 精神専門看護師が自らの役割を獲得するまでのプロセス
- 長期入院していた統合失調症患者が退院後早期の地域生活で体験する苦悩
- 精神科病棟入院患者の自殺に遭遇した看護師に対して精神看護専門看護師が行っているメンタルヘルスケア活動の実際
- 看護学生との関わりにより長期入院中の精神障害者に生じた変化
- 外来における統合失調症再発者に対する社会復帰援助プログラムの有用性に関する研究
- 精神科看護師のクリニカルジャッジメント-保護室患者の“退室時期”にかかわる判断要因の検討
- 患者の暴力と攻撃に対処する精神科看護実践の諸相
がん看護学
■指導教員
熊谷 歌織 准教授
三津橋 梨絵 助教
■研究内容
がんサバイバーシップの多様性を理解し、求められる支援や高度な看護実践について探求できる看護者の養成
がん医療の高度化に伴い、がんは慢性疾患として捉えられ、がんを抱えながら長期に生存するがんサバイバーが増えている。それとともに、がん医療において看護師が果たす役割は大きく、とりわけ、がんサバイバーシップの急性期から延長期、安定期さらには終末期への対応という幅広い実践力が求められている。
そこで、がん看護学分野では、このような状況を鑑み、がんサバイバーシップの各時期における高度な看護実践力の獲得をめざす。中でも、緩和ケアに重点を置き、痛みマネジメント、コンサルテーションや倫理的な調整力、研究的・教育的役割などを自律的に発揮する力を高めることを目標とする。また、サバイバーの家族にも注目し、家族ケア論において、家族システムの捉え方と家族アセスメント、家族に対する支援について取り上げる。
さらに、研究活動をとおして、がんサバイバーと家族の体験の多様性を探求し、がんサバイバーシップの支援方法を構築することをめざす。
■論文テーマ
- 化学療法を継続する進行がん患者の病気や治療の意味づけ
- 治療中の進行膵がん患者が困難に立ち向かおうとする力
- 化学療法を受けている進行・再発がん患者の配偶者が抱えている困難と対処
- 終末期がん患者に対し看護師が対応の困難さを感じながらも関わり続ける要因
- がん性疼痛に対するレスキュードーズ使用に伴う熟練看護師の判断のプロセス
- 進行がん患者が見いだす希望とその希望を支える要因
- 再発乳がん患者による生活の再構築への取り組み
- 緩和ケア病棟における看護師のスピリチュアルケアの実践と影響要因
社会福祉学原理
■指導教員
志水 幸 教授
- 社会福祉政策における正義の位相に関する研究 他
■研究内容
社会福祉学における原理的諸課題について研究する
社会福祉学原理とは、いわゆる社会福祉をある共通の視角から理解し、またそれを批判的に検討するための拠り所となる一般理論や基礎的概念を再審問する研究分野である。社会福祉学は、自発的行為を源流とする「ソーシャルワーク(臨床福祉)」と、制度的再分配に端を発する「社会福祉(制度的福祉)」の位相を包摂するものである。そこでは、「交換的正義(前者)」と「制度的再分配(後者)」との整序が原理的課題となる。この立場から見れば、「ソーシャルワークの社会的再編(専門職制の確立)」は、ソーシャルワーカーが、本来は異なる位相における規範の内面化・統合化(アイデンティティの確立)を促進すると同時に、葛藤の契機ともなる。 そこで、本分野では、当該課題の解法に向けて、あらためて“社会福祉をどう捉えるのか”について、原理的視点から研究を進める。
障害福祉学
■指導教員
橋本 菊次郎 教授
向谷地 生良 特任教授
- 当事者研究を活用した統合失調症等精神障がいをかかえる当事者の病状・服薬・対人関係対処能力の獲得に向けた支援方法の検討
■研究内容
障害者総合支援法が成立し、障害と疾病を併せ持つ総合失調症等精神障がいをかかえた当事者へのトータルな支援体制が構築されようとする中で、幻覚や妄想などの陽性症状を持つ当事者を地域で支援する手立てについての検討は、ほとんど手つかずの状態にあり、必要以上に医療資源に頼らざるを得ない現状が続いている。
そのような当事者を地域で支えるための支援のあり方について検討するために、メンタルヘルスソーシャルワークの領域の支援観の変遷を検証し、医療モデルの補完的な支援観から、世界標準のリカバリーの概念に基づいた支援へと移行する必要がある。ここでは、当事者研究やオープンダイアローグなどの対話実践を軸に考察し、支援モデルを確立する手掛かりを得たい。
高齢者福祉学
■指導教員
巻 康弘 准教授
■研究内容
高齢者を取り巻く諸課題に対するソーシャルワーク実践を多面的に探究する
病と共に生きる時代において、高齢期は、老い衰えゆく時であるとともに、入退院に伴う人生の転換期を迎える可能性を持つ時でもあります。高齢期の過ごし方は高齢者の尊厳にかかわる問題であるととともに、これからの時代を生きるすべての人や社会にとっての大きな課題でもあります。
高齢者の生活実態や、高齢者や家族が抱える経済的・心理的・社会的課題とその背景に迫ろうとしたとき、ソーシャルワーカーの実践力が問われます。さらに、個の実践からソーシャルワークチームでの実践や多職種チームでの実践を志向するとき、実践技能やチームの機能の可視化も重要課題のひとつとなります。
そこで、本分野では、超高齢社会において、多様な背景を持つ高齢者が地域で安心して暮らしていけるように、老いや病と共に生じる医療・福祉の諸課題とソーシャルワーク実践を多面的に探究していきます。
児童福祉学
希望者は要相談
教育福祉学
■指導教員
白石 淳 教授
福間 麻紀 准教授
■研究内容
すべての子どもたちの幸せにつながる途に横たわる「バリア(壁)形成」の要因を探求する
バリア(障壁)は、多くの人が捉えている「建築物」のみの問題ではない。私たちの日常生活をよく眺めると、誰にでも何処にでも存在する問題である。社会的経済的な問題、意識のなかに存在する問題についても、一つのバリアと捉えることができる。そしてそのバリアは恐ろしい力を持つ。人から自由を奪ったり、社会から排除したりとする。人を苦しめることもある。結果、幸せへの途を歩めなくなっている子どもがいるという事実がある。その学校、教育に係わるバリアを除去すること、しいてはみんなが幸せになれる社会へ変えていくことは必要不可欠なことである。学校、教育に係わるバリアの生成要因、解決のための方法を探求するのが、「教育福祉学分野の研究」である。