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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

山菜のお話

ワラビ

山菜ソバ、山菜ウドン、山菜茶漬け、山菜の炊込みご飯といえば必ず入っているのが「ワラビ(蕨)」です。私個人的には「ギョウジャニンニク」や「ウド」などが山菜として親近感がありますが、「ワラビ(蕨)」は私たちの食材の中に季節を問わず何気なくいつもいる、ある意味で非常に大衆化されていて山菜の代名詞にされています。「ワラビ」は源氏物語にも「早蕨の巻」のあるのをはじめ万葉集にもその名がありますから食用としてのかなり古い歴史をもっていることが分かります。

さてこの「ワラビ」、学名はPteridiumu aquilium var. latiusculumで、ワラビ科多年生のシダ植物です。日当たりの良い草原、谷地、原野などに自生しており、成長すると0.5〜1m くらいの背丈になります。食用として利用されるのは、まだ葉の開いていないものか、やや開きかけた若い茎を手で簡単に折れる部分から刈り取ります。刈り取ったものを、手で握っていると硬くなるので、早めに木灰などを刈り取った切り口につけておきます。

「ワラビ」のアクは山菜の中でもかなり強い方で、しかも生のままではビタミンB1を破壊するアノイリナーゼという酵素や発ガン性物質が含まれているので、ていねいにアク抜きをしなくてはいけません。アク抜きには、木灰をよくまぶして半日ほどおき、その上から熱湯をかけ、重石をのせ一晩放置後、苦味がなくなるまで水にさらしてから使用するのが一般的です。木灰の量はワラビの重さの1割まし程度で木灰の代わりに石灰か重曹でも代用できます。アクを十分抜いた「ワラビ」はオヒタシや和え物、煮物、汁の実、おでんの材料、天ぷらなどにして食べます。もちろん文頭に書いた4種類の料理にも使われることは言うまでもありません。

ところで、「ワラビ」の地下茎には良質のデンプンが含まれていることを皆さんご存知でしょうか。「ワラビ」の地下茎から澱粉を採る技術はず〜っと古くて、日本に稲作が渡来する以前からありました。ドングリや野生のイモ類から澱粉を得ていた頃ですから少なくとも縄文時代からあったというのは驚きです。 

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