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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

山菜のお話

コシアブラ

5枚の葉が掌状についている「コシアブラ」、学名はAcanthopanax sciadophylloidesで薬用の「ニンジン(panax ginseng)」と同じウコギ科に属します。このAcanthopanax属には最近健康食品で注目されている「エゾウコギ」もこの仲間になります。「コシアブラ」の樹皮はなめらかで、若芽は油っこく光沢があって、黄色味を帯びているのが特徴で北海道から九州まで広く分布しています。「コシアブラ」の名前はその昔、樹脂をこして、金属のさび止め油を採ったことに由来してます。

若芽を食用にします。「コシアブラ」はけっこう大きな木に成長するのでその若芽は採取し難いですが、若い木を探して枝をたぐりよせると食べきれない程の収穫になります。味はウコギ科特有の香りと苦味があり、栄養価も高くタラノキ(これもウコギ科です)とともにまさに山菜中の山菜と言えましょう。あくは強い方ですが、抜きすぎても味気がなくなります。生のまま天ぷらにして塩をふって食べるか、茹でてから水にさらしてゴマ和え、バターや油で炒め物、汁の実にして食べます。

「コシアブラ」の他にウコギ科の野草には先に述べた「エゾウコギ」、「ウド」、「タラノキ」、「ハリギリ」これらの若芽はいずれもが栄養価高く山菜として知られています。ウコギ科の植物は全てアクが強いのですが、またそれゆえに山菜好きな人にとってたまらないものなのでしょう。私個人的には「ハリギリ(Kalopanax 属)」,「エゾウコギ(Acanthopanax 属)」,「コシアブラ(Acanthopanax 属)」,「ウド(Aralia 属)」の順にアクが強いと思っているのですがいかがでしょう。山菜好きの方のご意見をうかがいたいと思っております。

ところでこの「コシアブラ」、薬用植物としても知られています。若葉にはケンフェロール、クエルセチン配糖体、イソクエルチトリンなどが含まれており、イソクエルチトリンには血圧降下作用が認められています。事実昔から若葉を生あるいは日干しにしたあと、煎じて飲むと高血圧にも効果があるとされていますし、健康食に若葉に塩を少量加えて短時間でゆで、お浸しにして食べると良いとされています。

さて、この「コシアブラ」山菜として食べるだけではなく、紅葉の季節に視覚的にも楽しませてくれます。本学(北海道医療大学)の薬用植物園裏にある保安林内にも何本か自生していますが、「コシアブラ」の葉は全く紅葉せず、葉の色が白く透き通っていきます。回りのイタヤカエデ、ハウチワカエデ、ヤマモミジなどの色鮮やかな中の「コシアブラ」はなかなかステキです。この頃になると山の中には虫も飛ばなくなりますし、ぜひ一度散策してみていただきたいと思います。野幌の森林公園内にも「コシアブラ」の木が多数自生しており、個人的には野幌森林公園内の晩秋の「コシアブラ」が一番ステキに思えます。

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