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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

山菜のお話

アズキナ

皆さん、「アズキナ」のことをご存知でしょうか。私は現在の職場である北海道医療大学に来る前までは札幌で毎年5月の末頃に職場近くの行きつけの居酒屋でよく食べていましたが、それがユリ科の「ユキザサ(雪笹)」だとは恥ずかしながら知りませんでした。「ユキザサ(雪笹)」は、日本全土に分布していますが、南の方では1500mくらいの亜高山帯に分布する植物です。山菜として簡単に採取できるのは東北・北海道地方だけ、本州では登山家などの特別な人だけが「高麗の山菜」として食べることができるだけで、一般の人にはなかなか手の届かない山菜です。また「アズキナ」は明治の初年、北海道開拓のために東京に設置された開拓使官園にも「雪笹草」の名があるので、野菜の一つとしての利用の可能性を検討していたと考えらています。

さて「ユキザサ」、新芽と若葉を食用とします。新芽が最も美味しく、新芽のゆで立ての香りはアズキをゆでた時の匂いと同じなので「アズキナ」という名がついたとされています。若葉の方もかなり生長したものでも食べることができます。ただ、「ユキザサ」の新芽は同じユリ科のオオアマドコロ、チゴユリ、ホウチャクソウなどの新芽と類似していますのでかなり慣れた人でなければ見つけることが難しいようです。オオアマドコロ、チゴユリの新芽は苦いだけですが、ホウチャクソウは有毒ですから注意が必要です。食べ方はやはり何と言ってもゆで立てを水にさらして、おひたしにするのが一番でしょう。その他に酢味噌和え、油炒め、マヨネーズにもあうのでサラダに。また生のまま天ぷらで食べるのも美味とされているようですが、私はおひたし以外では食べたことがありません。

ところで、この「ユキザサ」、花もとてもきれいなんです。「ユキザサ」も北海道医療大学が所有する保安林内にある程度の個体数があります。時期的には「エゾノリュウキンカ」の花が終わる頃、森の中が緑で一杯になる頃に真っ白で可憐な花をつけます。ある程度の群落で存在しますから花がかたまっているところは、緑の中にあたかも雪が積もっているように見えます。特に朝早くにこの花を見るととても良い気持ちになります。

それから・・・、9月の中旬になって、遊歩道の中の木々たちの葉が落ち始める頃、ユキザサの本当に真っ赤な実が、過ぎゆく短い秋を感じさせてくれます。春先に見たきれいな植物たちの花の実、これもまた秋を楽しませてくれます。一年に一度しか見ることができません。ぜひ遊歩道内のこの可憐な花を見に来て下さい。ただ個体数が少ないのでくれぐれも見るだけにしておいて下さい。この件心よりお願いいたします。

山菜のお話