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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

山菜のお話

ギョウジャニンニク

北海道の山菜の中でも、最も人気のあるものの一つで、アイヌネギの呼び名もあります。このユリ科の多年草の名の由来は、昔、山伏などの修験者が、山の中で体力をつけるために食べたところから「行者ニンニク」→「ギョウジャニンニク」になったのです。新鮮な葉にはビタミンCが100 mg あたり60 mgも含まれている他ビタミンAも豊富です。また自己免疫能力を高める働きのある本家のニンニクにも含有されている揮発性含硫化合物(硫黄元素を含む有機化合物)、強い殺菌作用のあるネギやキャベツに含まれている揮発性化合物も含まれるためウドと並び非常に健康に良い山菜の一つです。

食べ方には色々ありますが、切り口を空気にさらすと中の成分が酸化されニンニク臭が増してしまうので臭気の嫌な人はできるだけ採ったら速やかに食べることをおすすめします。

若芽と葉はさっとゆでて、おひたし、あえもの、酢のもに。生のまま汁の実、天ぷらなど。鱗茎は生のまま味噌をつけてかじっても焼いても美味しく食べられます。あまりポピュラーではありませんが、おろし金ですりおろして、醤油に落とし、刺し身の付け醤油にすのもなかなかという人もいます。その他、葉、鱗茎などをいれた野菜炒め、卵とじにするのも良いですし、蕾はゆでて酢の物に生のまま天ぷらにと「ウド」に負けず劣らず春の香りを楽しむことができます。ちなみに個人的には、春、七輪と炭を持って取れたてのギョウジャニンニクをジンギスカンや塩カルビーといっしょに食べるのが一番素敵な食べ方だと思ってますし、一番北海道らしい食べ方ではないかと思っています。

ところでこの「ギョウジャニンニク」、精のつく山菜と認められているわりには成長が遅いのです。種をまいてから二枚の葉ができるまでに七、八年もかかり、花が咲くのはその後二年程経ってからなんです。要するに、春の終わりに花をつけているギョウジャニンニク(めったに見ることはありませんが)十年もののギョウジャニンニクということです。ラッキョウやニンニクのように鱗茎がいくつもにも分かれることも少ないから、繁殖力は決して強くはないのです。昨今、山菜ブームですがこのことを頭の中にいれていただき、ギョウジャニンニクの自生しているところはかなりの部分を残して食べる分だけ採るというのがいつまでも春の香りを楽しむために大切な事です。

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