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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

山菜のお話

フキノトウ

「フキノトウ」と「フキ」のお話です。厳しい寒さがやわらぎ、雪解けを待ちかねたかのように、日当たりの良い土手や畦に浅緑色の「フキノトウ」が春を告げます。北海道では一番最初に楽しめる、最も人気のある山菜です。「フキノトウ」と「フキ」は全く別な種類の植物と思っている人がいらっしゃるかもしれんせんが、両者ともにキク科の多年草で「フキノトウ」はその花茎、一般的に「フキ」と称しているのはその葉柄部分なのです。フキは生える所によって形や色が異なるので、ヤマブキだのサワブキだの生えている場所で名前が違ったり、アカブキ、アオブキなどと茎の色で区別したりしていますが、北海道に自生している種類はみな同じアキタブキ(Petasites japonicus subsp. giganteus Kitamra)です。

フキの名の由来については色々ありますが、面白そうなお話を二つ程。先ず、江戸時代中期の儒学者であった新井白石(1657〜1725)の説:「フキはフブキの略で、フブキとは茎を折った時、繊維が糸のように出てくることをさす。」と言っています。国語学者、金田一春彦氏の説:対馬に所用で行ったおり、ある部落のトイレに新しいフキの葉が前の方に置いてあり、使用済みのフキの葉が捨ててあったのを見てフキは「拭き」からきていると言っているのは、ウソのようでホントの話のようでおもしろいと思います。

フキは雌雄異株の植物なのでその花茎であるフキノトウにも雌雄の別があります。雌の方は花が終わると茎が高く伸びて、いわゆる「トウが立つ」状態になって、白い綿毛のある種子が風で飛ばされて散るようになります。雄の方は余り高くは立たず用が済むとそのまましぼんでしまいます。

フキノトウは芽出し直後の花が開く前のものを、根ぎわから採取すると、若いものほど苦味が少なく、香りも強くて美味しい。食べ方はアク抜きし過ぎないようにして、汁の実、油炒め、煮物、酢の物などにしたり、生のまま天ぷらにします。私個人的には、もぎたてのフキノトウを天ぷらして塩かけて食べるのが一番だと思っています。一方、フキはおもに、一番最初に出てくる葉の葉柄を根元からナイフなどでていねいに切り取り、ゆでてアク抜きして、水にさらしながら皮をむき、みそ汁の実、煮物、和え物他、佃煮、ぬか漬けなどにして食べます。私個人的にはフキと美味しい薩摩揚げ、あるいは美味しい揚げと醤油味の油炒めが大好きです。

ところで、フキの花茎(フキノトウ)と葉は薬用にも使われます。煎じて飲むと、せき止めや痰を切り、解熱作用もありかぜの初期には効果があります。またフキノトウのほろ苦さは食欲増進効果があります。  

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