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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

山菜のお話

ニリンソウ

「ニリンソウ」は雪どけ後の早春、林の下草として大群落をつくるキンポウゲ科の多年草のことで、北海道や東北地方では「フクベラ」とも呼ばれる春を代表する植物です。林茎は高さ15センチ程に伸び、葉は3つに大きく分かれ、直径2センチの5弁の花が1つの茎に2輪ずつ咲きます。「ニリンソウ」の名前の由来はここからきてます。アイヌの人たちは「ニリンソウ」のことを「プクサキナ」、あるいは「オハウキナ」と呼んで、色々な汁物の実にして食べていました。

「ニリンソウ」は全道各地の林野にごく普通に見ることができますが、針葉樹林の林床や高いところにはいません。広葉樹林の林床に好んで生えます。この植物は背の高い木々が活動を始める前、陽光がふりそそぎ、林床部が明るい時期に芽を出し、木々に葉が繁って林床が暗くなってしまう7月には、まだ夏だというのに枯れて休眠してしまう面白いライフサイクルをもっています。ちなみに、カタクリエゾエンゴサク、ナニワズも「ニリンソウ」と同じライフサイクルをもっている植物です。

さて「ニリンソウ」、植物の地上部分全体を食することができます。ものの本には若いものよりも、ある程度生長あいて花の咲いているものの方が良いと書いてあるものもあります。食べ方はさっと茹でて、おひたし、酢みそやゴマの和え物、汁の実として食べるのが一般的ですが、ちり鍋やすき焼きなどの鍋物の具や貝類などと油いために食べて美味しいようです。一度茹でたあと干して貯蔵することもできますが、山菜以外に色々な葉菜を食べることのできるようになった現代ではそこまでする必要はなく、春の旬を感じる程度にした方が良いのではないかと私は思っています。

ところで、「ニリンソウ」の若葉は、有毒植物の「トリカブト」の葉にとても良く似ているので間違って若葉を摘んでしまうことがあるのです。「トリカブト」は皆さんがご存知の通り、間違って食べてしまうと生命を脅かすほど有毒ですからかなり注意して「ニリンソウ」を摘まなければいけません。幸いなことに、「ニリンソウ」は早春に白い花を咲かせますが、「トリカブト」の花期は秋で、さらに色は青紫です。従って慣れないうちは「ニリンソウ」に花が咲いてから食べるのが一番間違いのない方法でしょう。

「ニリンソウ」は北海道医療大学が所有する保安林内の大沢から東側の尾根にかけて相当数が自生し、群落を形成しています。5月の連休ころから咲き始めます。

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