北海道医療大学

お知らせ

生成 AI の教学面の取扱いについて

北海道医療大学
学長 浅香 正博

 

1.基本的な考え方

 生成 AI を含む AI の利活用は、利便性や生産性の向上、さらには人間の様々な能力をさらに発揮することを可能とするなど、経済社会を前向きに変えるポテンシャルがあります。医療の現場においても、多種多様なAIの利活用が考えられます。例えば、診断支援、治療戦略の決定、患者とのコミュニケーション強化などがあり、AIは医療の効率性と精度を向上させる重要な役割を果たす可能性があります。
 このような中、本学では2020年にDX推進計画を策定しました。DX推進計画では、誰もがいつでもどこでもAIを活用できる環境を構築したうえで、学年進行やクラスサイズに合わせたAI活用を実践しながら、学生生活に多種多様なAIを溶け込ませて全学的に個別最適化教育を実現することを目指しています。AIの理解を学生へ促すことは、次世代の医療人育成のために必要不可欠な要素であり、本学では、AIを使いこなすスキルを修得するために数理データサイエンスAI教育プログラムも実施しています。
 生成AIはDX推進計画をより加速する先進的情報技術であり、本学では、DX推進計画に沿って生成AIの活用を図ります。しかし、AI の信頼性や誤用・悪用などの懸念やリスクも指摘されていることから、懸念やリスクへの対応とバランスを取りながら進めます。
 

2.利活用が想定される場面例

 生成 AI を利活用することが有効と想定される場面としては、例えば、グループワーク、ブレインストーミング、論点の洗い出し、情報収集、文章校正等の学生による主体的な学びの補助・支援などが考えられます。
 この他にも、生成 AI は、今後さらに発展し社会で広く使われるようになることが想定されるという視座に立ち、生成 AI の原理への理解、生成 AI へのプロンプト(質問・作業指示)に関する工夫やそれによる出力の検証、生成 AI の技術的限界の体験等により、生成 AI を使いこなすという観点について数理データサイエンスAI教育プログラムをはじめとした教育活動に取り入れます。
 また、上記の学生による利活用以外にも、教員による教材開発や、効果的・効率的な大学事務の運営等に利活用することも考えられます。
 なお、こうした生成 AI の利活用の取組事例やその際に生じた懸念事項といった新たな知見について教職員間で共有し、適切な利活用を追求します。
 

3.留意すべき観点

3.1.学生のみなさんへ

  • 生成 AI の出力をそのまま用いるなど学生自らの手によらずにレポート等の成果物を作成することは、学生自身の学びを深めることに繋がらないため、一般に不適切です。
  • 生成 AI の出力に著作物の内容がそのまま含まれていた場合、これに気付かずに当該出力をレポート等に用いると、意図せずとも剽窃に当たる可能性があります。
  • 大規模言語モデルを活用した生成 AI は、基本的に、ある語句の次に用いられる可能性が確率的に最も高い語句を出力することで、文章を作成していくものであり、AI により生成された内容に虚偽が含まれている又はバイアスがかかっている可能性があります。
  • 生成 AI に関する技術的限界を把握した上で、インターネット検索等と同様に、出力された内容の確認・裏付けを行うことが必要です。
  • 生成 AI への入力を通じ、機密情報や個人情報等が意図せず流出・漏洩する可能性等があるため、一般的なセキュリティ上の留意点として、機密情報や個人情報等を安易に生成 AI に入力することは避けることが必要です。
  • 生成 AI を利用して生成した文章等の利用により、既存の著作物に係る権利を侵害することのないように留意してください。

3.2.教職員の皆さんへ

  • 学生がレポート等に生成 AI を利活用した場合には、適切に学修成果を評価するため、利活用した旨や利活用した生成 AI の種類・箇所等を明記させることや、小テストや口述試験等を併用するなど評価方法の工夫を行うことも有効と考えられます。
  • AI が生成した文章かを判定するツールを学修成果の評価等に活用する場合でも、その結果を過信しないことが重要です。
  • 利活用や学修成果の評価等に当たっては、生成 AI の種類(有料版か無料版かの提供形態の違いなどを含む)により、成果物に差が生まれ得ることにも留意することが重要です。
  • 各大学・高専における情報セキュリティに関する指針や、個人情報保護法を踏まえた対応が必要であることから、情報センターでは、入力の内容を生成 AI の学習に使用させない(オプトアウト)環境での生成AIの利用サービスを提供します。
  • 学生に対して授業や研究活動でプロダクトを課す際には、生成系AIの利用可否および利活用方法について周知する必要があります。

 

4.むすび

 生成 AI を含む AI の利活用に当たっては、本学の学生等が、その最新の動向、AI の普及による可能性とリスク、倫理面やデータリテラシー等を含むデジタル化社会に対応するための基礎的な知識・能力等について理解・習得することが重要です。本学では数理データサイエンスAI教育プログラムにより、これらの知識や能力などの習得を図ります。また、これらの授業科目等については、AI に関する技術の進展や社会での活用状況等を踏まえて、適宜改善を図ります。

アーカイブ

Line Instagram X YouTube