北海道医療大学

学校法人東日本学園 中期計画

新中期計画の策定

学校法人東日本学園では1993年の「21委員会の提言」に始まり、1998年度からの「2008行動計画」、2009年度からの「2020行動計画」と、これまでも継続的に改革・改善計画を取りまとめ、実行に移してきた。
直近の計画である「2020行動計画」が2020年3月で終了を迎えるに当たり、今後の5年を見据えた運営の指針として、新たな「中期計画」(2020年3月20日から2025年3月31日まで)を次のとおり策定した。

ビジョン

「全国的にブランド力がある医療系総合大学としての地位を確立する」

本学園は1974年の開設以来、建学の理念に基づいて、保健・医療・福祉の連携統合をめざす創造的な教育を推進し、確かな知識・技術と幅広い教養を身につけた人間性豊かな専門職業人の育成を行ってきた。
18歳人口の減少等大学を取り巻く環境が厳しさを増す中、引き続き「選ばれる大学」であり続け、北海道のみならず全国的にブランド力がある大学へと飛躍していくため、上記をビジョンとし、実現のため7項目の重点課題を実行する。

重点課題

以下の7項目を重点課題とする。
①教育の充実
②大学院の充実
③研究の推進
④グローバル化の推進
⑤地域連携の推進
⑥学生の受け入れ
⑦経営管理
各重点課題に目標を設定する。目標は社会情勢の変化等を踏まえ、計画期間中であっても必要に応じ見直すこととする。

中期計画

  1. Ⅰ 学園全体
    1. 教育の充実
      1. ポリシーに基づく教育の質向上
        ・見直しが行われた3ポリシー(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)に基づく体系的な教育を実施する。
        ・アセスメント・ポリシーに基づいて、機関レベル(大学全体)、教育課程レベル(学部・学科・研究科等)、科目レベル(授業・科目)の3つのレベルで、学修成果等を測定・評価し、その結果を教育の改善につなげる。
      2. 多職種連携教育の充実
        ・保健・医療・福祉の現場で、多様な専門職種と連携・協働を行うための必要な知識や態度、コミュニケーション技術を身に付けるため、上級学年での専門教育も含めた全学連携による「多職種連携教育」の更なる充実を図る。
      3. 学生の主体的学修及び能動的学修の促進
        ・学生の能動的・主体的学習を促し、学習意欲向上や学生のキャリアパスを見据えた教育課程を担保するため、能動的学修(アクティブ・ラーニング)を取り入れた授業を充実させる。
      4. 初年次教育の充実
        ・入学後の学習面、生活面での不安を解消し、大学への適用が円滑に進むよう、初年次教育(大学で必要とされる基礎学習技術の獲得、学生自身が能動的に学びへ参加できる能力の養成等)の充実を図る。
      5. 入学前教育の充実
        ・入学確定者の学習意欲を継続させるため、各高校と連携した入学前教育を実施する。
      6. 休退学への対応
        ・現状の支援体制をさらに強化するとともに、IRによる分析データをもとに休退学の状況を的確に把握し、その対応策を検討する。
        ・学生個々に向き合った修学指導体制をさらに強化する。
      7. 国家試験合格率の維持向上
        ・国家試験の合格率は、大学に対する評価の重要な基準のひとつであることから、引き続き学生一人ひとりの学力に応じた修学支援体制の強化に努め、国家試験合格率の更なる向上を目指す。
      8. キャリア・就職支援の充実
        ・就職委員会による全体ガイダンスの他、ゼミ担当教員による個別の進路相談、面接指導等、全教員が学生のキャリア・就職支援に積極的に関わる体制を強化し、専門分野に特化したキャリア支援体制の充実を図る。
        ・IRデータや卒業生アンケートなどを活用し、キャリア教育の内容について点検、改善を行う。
    2. 大学院の充実
      1. ポリシーに基づく教育の質向上
        ・見直しが行われた3ポリシー(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)に基づき、高度な専門性と研究能力を有する高度専門職業人を養成するため、大学院の教育内容をさらに充実させる。
      2. 社会人の学び直しの推進
        ・社会人等の多様なニーズに応じた様々な分野の学習機会の積極的提供を目的とした履修証明プログラム等社会人の学び直しを支援するプログラムの開発を検討する。
        ・社会人学生への経済支援策として、教育訓練給付制度の活用について検討する。
    3. 研究の推進
      1. 研究の質向上
        ・大学として組織的に取り組む研究体制を構築し、インパクトの大きな本学を代表する研究を創出する。また、これにより大型の外部資金獲得を目指す。
        ・当別町や社会福祉法人ゆうゆうと共同で予防医療というキーワードで介入研究を進めていくなど、臨床研究、フィールドワーク、介入研究などの実践的な研究活動を全学的に行う。
      2. 研究活動の活性化
        ・研究活動を活性化し、研究の質を向上させるため、評価の高い学術誌への公表、大型外部資金の獲得等の実績に基づき、競争的な配分を行う「傾斜的研究費」の実施について検討する。
      3. 外部資金の獲得
        ・科学研究費補助金の応募資格者数に対する申請件数比率を上げる取り組みを行うとともに、採択率向上のため研究者間のピアレビュー等の実施を検討する。
        ・外部資金獲得のため、産業界や他の教育研究機関と連携した研究の推進を検討する。
      4. 研究成果の発信強化
        ・研究成果の発信を強化するため、ホームページの掲載情報を整備するとともに、学術機関リポジトリを通じて広く社会に公表する。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外大学等との提携
        ・学部間提携の多くが歯学部であることから、国際交流の全学的な取り組みを進めるため、他学部での提携を促進させる。
        ・デュアルディグリープログラムや相互研究交流を推進するなど、提携校との教育・研究交流を深化させる。
      2. 海外研修・留学プログラムの推進
        ・グローバルな感性を備えた人材を養成するため、海外研修・留学プログラムの充実を図る。
      3. 留学生受け入れの促進
        ・海外からの留学生受け入れを拡大させるため、日本語教育を含めた支援体制及び学修・生活環境の整備充実を図る。
    5. 地域連携の推進
      1. 地域との連携・協働事業の活性化
        ・現在地域連携を推進するために、当別町、滝川市、北海道教育委員会、江差町教育委員会、社会福祉法人ゆうゆう、㈱北洋銀行と連携協定を締結しており、今後も継続して実施する。中でもメインキャンパスのある当別町との連携は着実に進んでおり、子どもの人口減、高齢化、医療の過疎化といった町が抱える問題解決に向けた協力等、多様な連携を今後も進める。また、近隣の自治体等との新たな連携について検討する。
      2. 人材の育成と教育の充実
        ・地域の課題を理解し、地域貢献することができる医療人育成のために、地域連携・地域支援を全学的なカリキュラムに位置付けることを検討する。
      3. 地域の課題解決に向けた研究の推進
        ・当別町をはじめとする自治体等からの委託研究を積極的に受託し、地域の課題解決に協力する。
        ・地域の課題解決に向けた研究を奨励する制度を設けるなど、学内における地域研究・地域援助研究を活性化する。
      4. 生涯学習講座の充実
        ・本学の特徴を生かした講座の充実を図るとともに、小中学生向け講座を拡充する。
      5. 他大学との連携
        ・長岡科学技術大学、福岡歯科大学、日本体育大学(当別町、北海道銀行を含む4者協定)、札幌医科大学・千歳科学技術大学(3大学協定)等との連携を今後も継続して実施する。
        ・複数の大学が共通する理念の下で教育研究を遂行することができるプラットフォームの構築について可能性を探る。
    6. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・本学のポリシー、教育目標に合致する、双方にとってミスマッチの少ない志願者の確保を目標とし、また定員未充足学科の定員確保を目指し、各種の広報活動を展開する。

        具体的には、従来の広報活動は継続して展開しながら、下記の方策を重点的に実施する。
        ・オープンキャンパス等参加者への直接接触による本学への理解促進
        ・高大接続、高大連携事業への積極的な取組
        ・各種メディアによるブランドイメージの浸透、定着、向上

      2. 多様な学生の受け入れ
        ・18歳人口の減少に伴い、社会人や留学生等多様な人材の受け入れについて検討する。
    7. 経営管理
      1. 財政基盤の確立
        ① 学生生徒納付金収入の確保

        ・経営の基盤をなす学生生徒納付金の安定的確保を図るため、多様な学生の受け入れや休退学への対応等諸政策を確実に推進し、入学定員、収容定員をそれぞれ超える学生数を確保する。

        ② 外部資金の獲得

        ・文部科学省における私学振興政策等の動向に注視し、私立大学等経常費補助金においては一般補助に加え、「私立大学等改革総合支援事業」をはじめとする競争的補助金を積極的に獲得するとともに、他省庁、自治体等からの公的資金の新たな獲得を目指す。また、大学として組織的に取り組む研究体制の構築により、科学研究費補助金の獲得増大を目指すとともに、産業界など外部機関との間で受託研究・共同研究を推進することによって外部研究資金の増収を図る。

        ③ 寄附金収入の増加

        ・企業、卒業生等への広報活動を一層強化するとともに、ホームカミングデー等の実施により卒業生との連携をさらに深めることにより、寄附受け入れ金額の増加及び継続的な獲得を目指す。

        ④ 医療機関収支の改善

        ・医療収入の増加に向けた戦略を病院運営検討委員会等において策定・実施し、さらなる収支改善を図る。また、医療機関の効率的運営を行うため、あいの里、当別の二院体制の在り方について検討する。

        ⑤人件費の抑制

        ・最大の支出項目である人件費について、教育研究水準の維持向上に配慮しつつ、非常勤教職員も含めた人員配置、人件費ポイント等の見直しを行い、事業活動収入に占める支出割合を一定水準に抑える。併せて、給与体系等の見直し、効果的なアウトソーシングの導入等についても検討し、さらなる人件費の削減に努める。

        ⑥ 経費の削減

        ・教職員のコスト意識の徹底を図るとともに、予算編成における各経費の必要性及び妥当性の十分な検証と厳格な予算執行により、さらなる経費の削減を行い、各部局の収支の均衡を図る。

        ⑦ 新たな収益事業の検討

        ・収入構造のさらなる強化を目的とし、新たな収益事業の展開を検討する。

      2. 運営体制の強化
        ① ガバナンスの強化

        ・改正私立学校法の趣旨を踏まえた理事会機能・評議員会機能の実質化、監事機能の強化などにより、ガバナンスの一層の強化に取り組み、より強固な経営基盤に支えられた大学づくりを進める。

        ② 教学マネジメントの確立

        ・内部質保証のPDCAサイクルを推進し、3ポリシーに基づく教育及び学修の質の向上に向けた改善に取り組むことにより、教学マネジメント体制を確立する。

        ③ 既存学部・学科の改組・再編の検討

        ・18歳人口の減少や社会的ニーズの変化等大学を取り巻く環境の変化に対応した、既存学部・学科の改組・再編を検討する。また、入学定員割れが続くなど今後収支改善が見込めない部局については、事業縮小などを慎重に検討する。

  2. Ⅱ 部門別
    <薬学部>
    1. 教育の充実
      1. ポリシーに基づく教育の質向上
        ・全学的なプロジェクトの一環として、3ポリシーに基づく教育の質向上にかかわる検討を行った結果、薬学部独自の教育理念、教育目的並びにアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーが改訂され、社会並びに医療現場からの要請に柔軟に対応できる教育体制が整った。これらのポリシーに基づき、教育上の様々な問題点をPDCAサイクルにより解決し、IR推進センターと協働して構築したエビデンスに基づく学生中心の教育を実践する。特に、教員と学生が相互に学習到達度を常に評価(自己及び客観的評価)し、3ポリシーに対応した教育・学修が実践されていることを、ポートフォリオをツールとした教員・学生間の相互確認する体制を整える。
      2. 多職種連携教育の充実
        ・薬学部は2~6学年のどの学年においても履修可能な多職種連携授業科目を設定している。これらの科目の内容が他学部の他職種連携と共有できるものであれば、積極的に授業科目として実現できるよう取り組みたい。そのためには、より積極的に授業科目の実現を目指すワーキンググループなどの設置が必要である。
      3. 休退学への対応
        ・休学、退学の要因は、個人差があるものの、その多くは学業不振による場合である。特に低学年では、薬学部で学修する目的が明確でない学生の休退学が散見されることから、担任教員と協働で学修の目的を見出し、学生が自ら学修するモチベーションを高めることを促す取り組みを検討する。
        ・学業不振の要因は多様化しており、学習時間の不足(量的問題)、学習方法が適切ではない(質的問題)、学習意欲が少ないなどがあげられる。薬学教育支援室や担任の教員が学生からのヒアリングに基づき、これらの問題点を明確にして、学習計画を立てさせ、学生自身が主体的に学習できるよう促す。
      4. 国家試験合格率の維持向上
        ・高い国家試験合格率を維持するためには、教育にかかるエフォートの比率を一定以上維持する必要がある。より質の高い教育を実践できる方策を教員が協働して構築する必要がある。
      5. キャリア・就職支援の充実
        ・今後の薬剤師の動向を踏まえ、教員と職員の協働により、学生の希望に応じた対応ができる体制を整える。
    2. 大学院の充実
      1. 社会人学び直しの推進
        ・本学ではTA、RA制度や学費減免制度などを実施し、経済支援をおこなっており、今後も継続して実施する。また、社会人の場合、実務と研究の両立が厳しい状況にあり、全国的にも4年で学位を取得できる学生の割合が低いことが問題となっている。経済的支援のみならず、研究活動への介入が、結果的に短期間での学位取得につながり、間接的に経済支援につながると思われる。
    3. 研究の推進
      1. 研究の質向上
        ・学部や研究科主導の研究開発プロジェクトを立ち上げるような方策が必要と思われる。最近若手教員にその傾向がみられるので、そのようなシーズを活かせるよう促す。
        ・多職種連携によるユニークな研究活動を学内で検討できるような企画を設け、実現に向けるのは一方策と思われる。
      2. 外部資金の獲得
        ・1研究室3人体制の研究活動は、教育・学部運営等と並行して行うには厳しい環境である。今後、外部資金を獲得するには、共同研究等の推奨、研究者同士のネットワークによる新領域の研究などを積極的に展開していく必要がある。
      3. 教員研究費の傾斜配分
        ・研究者各自が、研究費の使途についてより経済的視野のもとに効率的な執行する努力が必要と思われる。薬学部は研究室単位で、一律に教員研究費を支給しているが、基盤研究室研究費と個人研究費を組み合わせた支給により、研究室の人員の多少によるアンバランスを解消することにより、効率的に研究費を執行する方法を検討する。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外提携校・海外留学の拡充
        ・現在、大学間で提携している台北医学大学等と学生の相互派遣を行っているが、ドイツ・イエナ大学などとの学部間連携についても今後検討を進める。
    5. 地域連携の推進
      1. 他大学との連携
        ・本学薬学部の地域特性や医療系総合大学としての特色を生かした教育・研究と、大都市圏で競合校の多い地域に立地する近畿大学薬学部との学部間連携を行い、相互に教育・研究分野での連携・補完を行い、特色ある事業を推進する。
        また、本学と大学間連携協定を結んでいる日本体育大学と、スポーツを通して共有できる教育・研究、社会貢献を推進するため、本学薬学部教員と交流を深める。特に薬学で貢献寄与できる分野として、薬学的見地からのアンチドーピングに係る教育、研究等が想定される。
    6. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・薬科系大学は全国に多数あり、北海道医療大学の薬学部の最も重要な役割は、東北・北海道地域における地域医療を担う優秀な人材を養成し、輩出することにある。
        この役割を果たすためには、北海道地区の優秀な志願者をできるだけ多く本学に入学するような広報活動が必要であり、そのポイントは、本学の特色をいかに周知するかにある。これには従来型の広報活動に加え、高校へのアプローチの仕方も工夫が必要となる。また、北海道地区からの取り込みばかりではなく、いかに道外他地区からの志願者を取り込むかにも工夫が必要である。
  3. <歯学部>
    1. 教育の充実
      1. 学力向上・国家試験の維持向上
        ・短期的視点からの国家試験対策と中長期的展望に立った歯学教育体制の構築を両輪として、教員がそれぞれの役割を果たし歯学部全体として効果が上がるように教育改善・改革を強化する。
        ・実習内容の充実を図る目的で、医療系総合大学の特色を前面に打ち出した「多職種連携シミュレーション実習(全国初の多職種連携シミュレーション実習室における実習)」、「訪問歯科診療実習(全国最多実績を誇る実習)」、「福祉施設実習」、「海外臨床実習」等を導入した。これらの試みは文科省等からの評価も高いことからより発展させ、第5学年での質の高い臨床教育を維持しつつ、座学により知識の定着を図り、第6学年における国家試験対策に円滑に移行できる体制を整える。
        ・留年者、成績不振に伴う休学者・退学者対応として、学年主任・クラス担任による学生指導体制の強化を図る。また、IRによる全学生の分析データをもとにした対応策、効果的な入学前教育の実施法について検討する。
      2. 特色ある歯学教育の展開
        ・多職種連携教育に関して、「教育向上・改善プログラム」に採択された「全人的医療の実践を目指した多職種連携教育のための新規教育資材の開発」等を基盤として、医療系総合大学としての特色ある教育プログラムを開発し、歯学教育カリキュラムに順次導入していく。さらに全学連携の多職種連携教育、6年一貫教育の体系化を他学部と連携して構築する。
        ・多職種連携医療の実践教育の場として地域包括ケアセンターを利用する。在宅医療を専門に行う在宅歯科診療所での実習、訪問看護利用者の口腔機能に関するアドバイス、専門職向けの口腔ケア講習会および地域住民への口腔機能・口腔ケアに関する啓発活動の実施等により地域包括ケアセンターを歯学教育に有効に利用することを検討する。
        ・大学病院、歯科クリニックを中心とした臨床実習では、今後も自験を中心とした診療参加型臨床実習の充実に努め、2020年度に本格実施される臨床実習終了時OSCE(Post CC-OSCE)に対応できるよう学生の卒業時の基本的臨床能力を担保する。また、臨床実習と卒後臨床研修のカリキュラムの整合を図るとともに、歯学部で開発した電子ポートフォリオ評価システムを活用して卒前・卒後のシームレスな臨床教育の実践を目指す。
    2. 大学院の充実
      1. 教育等の充実
        ・未来の歯科医療を拓く研究者の養成のために毎年安定した入学者数を確保するためには、学部から大学院にかけて一貫した対策、他専門職が入学しやすい環境作りが必要であり、研究に携わる機会を増やすことによって、大学院入学の動機付けを行う。
        ・研究医としてのキャリアパスを見通したDDS-PhDコース(歯学研究者早期育成コース)の導入の可能性について検討する。
        ・台北医学大学口腔医学院と実施しているデュアルPhDディグリー制度を他の海外連携大学に拡大することを検討する。
      2. 外国人留学生の受け入れ
        ・外国人留学生について、アジアのみならず欧米諸国からの受け入れを積極的に行う。大学院修了後の本学教員としての採用や、帰国後の就職先と本学とのネットワークの強化等によって、本学大学院の国際的な通用性・信頼性のアピール、国際的競争力の強化、国際社会に対する知的貢献といったメリットが見込まれる。
    3. 研究の推進
      1. 研究の質向上
        ・歯学部全体として世界に注目される研究を遂行するための研究プロジェクトをワーキンググループで検討して創生する。
      2. 外部資金の獲得
        ・科学研究費の採択件数・金額の増加のために、ベテラン教員が若手教員の申請を強力にサポートする体制を構築する。これにより科学研究費の採択件数・金額が増加し、研究の活性化にもつながると思われる。
      3. 研究活動の活性化
        ・重点配分研究費相当分と現在講座に一律配分されている教員研究費を一括管理し、研究実績に応じた傾斜配分を行うことによって研究活動の活性化を図ることを検討する。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外大学等との連携
        ・現在の交流活動を維持するとともに、歯学部教員の共同研究先等の繋がりを活用し、学部間連携の更なる拡大を図る。また、国際シンポジウムを定期的に各大学持ち回りで開催して、連携の深化を図る。
        ・国際交流活動を行っているロシア、アジア地域の連携大学や、バングラデシュ、ネパール、スリランカ等の共同研究大学を中心として、歯学部が持つ特色ある歯科医療技術(口腔インプラント、CAD/CAM、歯のバイオリサイクル等)の移転を行い、国際貢献に資する取り組みを行う。
      2. 海外研修・留学プログラムの推進
        ・現在、海外派遣希望者に対して、学業成績と英語での面接結果を勘案して派遣学生を決定している。連携大学の中には英語での臨床に関するディスカッション能力を必須としている大学もあり、今後、英語教育に注力する必要がある。
      3. 留学生受け入れの推進
        ・海外連携大学から受け入れる短期留学生の教育に関して、医療系総合大学の特色を示すようなプログラムの導入に向けて各学部の協力を仰ぎ、まずは、他職種から見た多職種連携の重要性に関する授業を検討する。
    5. 地域連携の推進
      1. 地域との連携・協働事業の活性化
        ・北海道が策定した「北海道歯科保健医療推進計画(8020歯っぴいプラン)」において、「保育所・小学校等におけるフッ化物洗口の推進」、「障がい者歯科医療協力医の確保と歯科医療ネットワークの充実」等4重点施策に関して、本学小児歯科学分野、高齢者・有病者歯科学分野等が中心的な役割を果たし、連携・協力してきた。また、「北海道総合保健医療協議会」と連携して難病の歯科医療提供体制支援、相談支援、災害時個別支援等を行ってきた。今後もこれらの取り組みを強化するとともに、北海道歯科医師会、近隣郡市区歯科医師会、近隣自治体との連携により、口腔ケア、咀嚼機能評価、摂食嚥下リハビリテーション等の高齢者・障がい者歯科治療に関する講演や生涯教育を実施する。
        ・災害時の歯科医療支援は医療系大学としての社会への責務である。災害発生時には、大学内に災害対策本部を速やかに設置して医療支援活動が円滑に実施される体制を作るシステムの構築を検討する。
      2. 人材の育成と教育の充実
        ・「北海道歯科医師会在宅歯科医療推進室」と連携して「多職種連携シミュレーション実習室」を利用した要介護高齢者に対する歯科治療のための生涯教育、「マルチメディア臨床シミュレーション実習室」を利用した若い歯科医師・歯科衛生士や女性の職場復帰のための社会人教育等を実施して、地域社会ニーズに対応した取り組みを行うことを検討する。
      3. 他大学との連携
        ・大学間連携に関しては、本学歯学部の強みを補強する特色を持った他大学との連携を検討・推進していく。日本体育大学との連携に関しては、2021年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを控え、スポーツ界に貢献するための「スポーツと歯科の関わり」に関する研究が歯科界全体で取り組まれているところであることから、本学においても長野オリンピックスキージャンプ代表選手の歯科医学的サポートの経験を踏まえ、口腔衛生管理はもちろんのこと、歯列・咬合の各種競技への影響に関する研究や多機能性マウスガード開発等の新たな歯科的貢献について検討する。
        ・本学の特色である多職種連携教育の大きな柱の一つである「臨床実習における訪問歯科診療実習」を補強する「周術期口腔ケア実習の導入」が可能となる他大学・医療機関との連携を進め、臨床教育を盤石なものとする。
    6. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・高校訪問に関しては、受験生確保対策委員会を改組し、その活動を活発化させるとともに同窓会との連携をさらに強化して、高校訪問の一部を教員および卒業生(同窓生・在校生)が担当し、教員・卒業生から本学歯学部の魅力を高校生に直接伝えることにより志願者の増加につなげる。
        ・オープンキャンパスでは、多くの学生ボランティアを募り、参加者と在校生が密に接触できる内容の実施へと転換を図る。また多職種連携シミュレーション実習室「高齢者ロボット」での実習など、高校生・保護者の興味を引く体験実習や、再生医療など高校生の知的好奇心を煽る模擬講義を組み合わせて実施し、高校生・保護者に本学歯学部の魅力を伝える。
        ・札幌市・当別町近郊の小学校・中学校への広報により小学生・中学生を対象とした職業体験(「1日歯医者さん」等)事業を充実させ、低年齢時から歯科医師の職業の魅力を伝え、将来的な志願者増加へつなげる。
        ・歯学部ホームページでは、学生の活動についての情報をより多く掲載し、高校生、保護者が本学の学生生活や教育の状況についての様々な情報を得られる内容に改善する。
      2. 多様な人材の受け入れ
        ・社会人(編入学者)および外国人留学生の積極的な受け入れを行う。特に外国人留学生の受け入れに関しては、引き続き基礎学力の高い韓国・台湾からの受け入れを行う。さらに2021年度以降の入試においては、他国留学生(ベトナム等)の受け入れも検討する。
        ・今後留学生の受け入れを拡大するにあたり当別町・札幌市あいの里地区のアパート協会と提携し、留学生が安心して本学で学べるための学修・生活支援を伴った受入れ環境を整備する必要がある。
  4. <看護福祉学部>
    1. 教育の充実
      1. 多職種連携教育の充実
        ・階層的な教育展開とするため、全学的に多職種連携教育を推し進めるプロジェクトチームを立ち上げ、多職種連携教育における卒業時到達目標を定め、当該科目の学習目標を位置づける必要がある。
        ・学部においては、卒業時到達目標を検討し、多職種連携科目のねらいとの整合性を図り、卒業時の評価指標を作成し評価を実施する。
      2. 学生の学修力の向上
        ・教育支援室のコーディネートのもと、科目担当者と学生を結びつけたサポート体制を構築する。特に、近年増加している発達障害、学習困難のある学生に対する支援システムを再考し新たな内容を構築する。
      3. 教育のさらなる強化
        ① 看護学科

        ・複雑化する医療現場、多様化する健康ニーズに対して、いつでも、どこでも、誰に対しても看護ケアを創造・開発し、実践の結果を出す人材を養成する。そのための能力として、あらゆる状況への「適応力」、自分で考えて行動しその結果を評価できる「自律性」、現状では持ち得ていないケア内容・方法を編み出す「創造性」と「イノベーション力」、多職種連携の中で発揮できる「リーダーシップ力」を養成する。
        具体的には以下の取り組みについて検討する。

        ・「リーダーシップ力」に関する強化策として、科目新設、現行科目の再編などを検討し、実施する。
        ・学年の到達目標を再検討するとともに、養成する人材像と卒業時到達目標の整合性を検討する。
        ・Active learning、反転授業、ルーブリックの取り組みをさらに強化する。
        ・地域における多職種連携を学ぶサマーキャンプなど、地域包括ケアセンターを活用した教育の拡大を図る。
        ・ゆうゆうとの連携によるボランティア活動、「オープンカレッジ」活動での学びを整理し、地域での暮らしを支えるとはどうあるべきか、知的障害を持つ人の暮らしを支えるために何ができるのか、福祉マネジメント学科の学生と一緒に学ぶ機会を創る。

        ② 福祉マネジメント学科

        ・地域の中であらゆる分野の相談支援体制を担い、必要な資源を開発でき、「地域」の中に根づき、「現場」の状況や課題を的確に吸い上げ、社会を創生できる、「あらゆる人の暮らしと地域社会をクリエイティブする人材」を養成する。
        具体的には以下の取り組みについて検討する。

        ・「地域共生社会演習」の位置づけを既存の科目との連動から検討する。
        ・社会福祉法人ゆうゆうとの連携による教育プログラムを発展させ、地域に必要な社会資源を開発する能力を強化するプログラムを検討する。
        ・支援を必要とする学生への対応について、教育支援室の役割を明確にし、支援ネットワークおよび支援内容を見直す。

      4. 国家試験合格率の向上
        ・学生の主体性を軸に、ガイダンス、模擬試験の実施とフィードバック、総合講義について今後も同様に実施する。福祉マネジメント学科で実施している国家試験対策合宿について、内容および代替方法を再検討する。
      5. キャリア・就職支援の充実
        ・ポートフォリオを用いた支援システムを充実させる。
    2. 大学院の充実
      1. 教育の充実
        ・臨床福祉学専攻において、「スーパービジョン特論」を開設する。現在、社会福祉施設における中堅管理者は、スーパービジョンニーズが高いにもかかわらず受ける機会が少ない。そこで、地域での社会資源開発、スーパーバイズの在り方、マネジメント理論と実践、起業経営学などを含む科目を設置したい。現場ニーズに合わせた科目等履修も可能であり、看護福祉学研究科の特徴を発信するとともに、入学者増加への布石にもなる。
        ・NP活用によるアウトカムを明確にしてNP活動のモデル事業を展開する。すでに、本学の訪問看護ステーション(NP)と連携病院により、「心不全患者の在宅支援(仮)」を検討し調整を始めている。NP活動の評価については、定期外外来受診回数、救急外来受診回数、入院回数および満足度をアウトカム指標として活躍を可視化する。
    3. 研究の推進
      1. 研究活動の活性化、外部資金の獲得
        ・講座ごとに研究会を開催し、研究力の向上とともに申請に当たっての支援を行う。このような研究プロジェクトの更なる推進、若手教員の研究推進にむけた講座・領域単位での支援を推し進め、その成果を教育、臨床現場での実践に活用していく。本研究科では高度専門職の養成をめざしているため、研究成果が臨床あるいは教育の実践にどのように貢献するのか、この関連を重視し研究成果を活用しなければならない。臨床、研究、教育のリンケージが教育力、研究力の向上につながる。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外大学等との連携
        ・提携を結んだ韓国崇実大学と福祉マネジメント学科の間で、学生の交流事業を開始する。また、韓国カトリッ  ク大学との具体的な交流について今後検討する。
        ・台北医学大学との交流について、人数の拡大および期間の延長を行うなど拡大を図る。
    5. 地域連携の推進
      1. 地域との連携・協働事業の活性化
        ・当別町、滝川市との連携事業を今後も推進するとともに、社会福祉法人ゆうゆうとの「共生型ボランティア養成講座」の充実を図る。
      2. 他大学との連携
        ・札幌医科大学、北海道大学、旭川医科大及び本学連携による「人と医を紡ぐ北海道がん医療人養成プラン」(がん看護コース(緩和ケアアウトリサーチナース養成プログラム)を今後も引き続き実施する。また、札幌医科大学、千歳科学技術大学、本学の3大学連携においては、専門性の連携による保健・医療・福祉職の実践強化をめざしており、本研究科では選択科目として配置し教育を継続する。
    6. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・オープンキャンパス、高校訪問、入学説明会などを通じて、養成する人材、教育の特徴を発信する。福祉マネジメント学科においては、「何となく人の役に立ちたい」「人と関わりたい」「地域で活躍したい」という人が学ぶことができる学科であること、福祉以外の選択肢も可能であることを発信する。
        ・福祉マネジメント学科において、北海道主催「知ると楽しい!魅力がいっぱい!介護のしごとトークイベント&バスツアー」の登壇者として学生を派遣し、さらなる情報発信を行う。また、介護福祉部会セミナーも継続して実施する。
  5. <心理科学部>
    1. 教育の充実
      1. ポリシーに基づく教育の質向上
        ・公認心理師を習得するためのカリキュラムに加えて、産業・一般職コースに対応できるカリキュラムの2本立てとし、後者はキャリアコンサルタントの習得を視野に入れた内容を含めることを検討する。キャリアコンサルタントは、人事労務分野、就職・転職等の教育分野で活用できる新設された国家資格であり、従来行ってきた産業カウンセラー養成に代わるものである。
        ・公認心理師制度では、学部・大学院において医療機関での実習が必須となった。卒業生を雇用している医療機関を中心に実習先を開拓し、併せて公認心理師試験に対応した卒後学習講座を提供するなど、医療機関に対するサービスの拡大を図る。卒後学習講座については、現状大学院修了生を対象として、臨床心理士資格試験対策卒後講座を行っているため、このノウハウを適応することでスムーズに効果的なものが提供できると考えられる。
        ・上述の教育内容が必要とするコンピテンシーを明確化する作業を行い、入学者選抜に反映させる他、進級や卒業のポリシーとして明示できるように努める。
      2. 多職種連携教育の充実
        ・コミュニケーション能力の涵養と各学部で求められる心理的ケアに対処するプログラムを提供する方向で検討する。具体的には、カウンセリング技法としての傾聴、ストレスの性質を深く理解したうえでの認知的・行動的ストレスマネジメント、応用行動分析の観点を活用したパフォーマンスマネジメントなどである。人間関係と行動という様々な医療分野に通底する二つの必須要素についての堅実かつ最先端の教育を展開していく。
      3. 休退学への対応
        ・1・2年次に不合格科目が多い学生については、そのまま留年させるのではなく、講義の数が減る3年次に、担任や教育支援室などによるフォローを加えつつ再度チャレンジする機会を設けることで、留年数を減らし、結果退学者を減少させることにつながると期待される。仮進級制度の見直し (仮進級が許容される不合格単位数の上限の変更など)により、1~3年生の間で総合的に学生の実力を担保するようなシステムが可能であるか、実現に向けて検討する。
        ・学習上の困難を抱える学生をフォローするために教育支援室に配置しているTAに対し、FD研修を導入するなどのさらなる改善を実施する。また、入学前教育については、対象者を拡大する方向で検討する。
        一方、急速に進む学生の多様化や質的変化に対応した教育を実施するため、常勤教員の教育力向上を行う。中でも、教授工学や中等教育の事情に詳しい専門家をFD担当客員教員として招へいし、主体的・対話的で深い学びを実現するための教育方法論の訓練や、学生主体のルーブリック評価の導入などの知識・スキルに関する個別の指導助言を受けることができるようにするなど、積極的な授業改善活動を展開していく。
      4. 国家試験合格率の維持向上
        ・臨床心理士受験者に対してこれまで行ってきた卒後教育の経験を踏まえて、卒業・終了後の公認心理師受験対策講座を新設して実施する。
        ・公認心理師試験の過去問と解説をHPへアップすることなどを検討する。また、CBTによる試験実施機会の増加を図り、試験慣れさせるなどのきめ細かな出口対策を実施していく。
      5. キャリア・就職支援の充実
        ・大学院定員20名が公認心理師を目指し、他大学院に5名程度が転出すると考えると、50名が一般就職相当となる。従来の就職動向から、今後も一般企業、公務員、福祉施設等が中心となると考えられる。そのため、キャリアコンサルタント養成講座に連動して、公務員試験対策や時事問題研究、面接練習など就職活動全般に関するきめ細かな教育的サービスを受けられるように配慮するとともに、採用企業・自治体に対する情報提供を活発化させる。
    2. 大学院の充実
      1. 社会人の学び直しの推進
        ・学部卒業後に社会人経験を経てから入学してくる院生への経済的支援および履修上の便宜等についても検討する。
        ・学部を卒業して公認心理師を目指す卒業生、大学院の修了生を対象にした専門的技術に関する教育・研鑽の機会を提供する。
      2. 環境の整備
        ・大学院生が通うあいの里キャンパスとほとんどの教員が常駐する当別キャンパスは分断されているため、研究・実験室環境の整備や、スカイプなどを活用したコミュニケーションの利便の向上を行う。
        ・大学院において研究のメインとなる博士課程大学院生の研究環境の整備を進める。
    3. 研究の推進
      1. 研究の質向上
        ・従来の臨床心理学的研究や、心理科学研究を発展させて、内外に発信する努力を継続する。さらに教員の外部研究資金の獲得率を高める努力を行う。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外大学等との連携
        ・オーストラリア、ポーランドの大学との学部間交流の可能性を検討する。
    5. 地域連携の推進
      1. 地域との連携・協働事業の活性化
        ・大学の地域連携推進センターと連携して潜在的ニーズを収集し、地域連携担当教員を中心に対応する方向である。現在行われている江差町や道教委との連携協定を発展させ、人材の双方向での派遣・受け入れを図る。
      2. 人材の育成と教育の充実
        ・公認心理師カリキュラムの整備を行う中で、地域の高齢化や在宅医療などのニーズに対応できる内容を盛り込む検討を行う。
      3. 生涯教育の充実
        ・従来の活動に加えて、公認心理師の養成、国家試験対策講座を卒業生だけでなく地域にも開放するなどの活動が必要である。こころの相談センターにおいては、より公認心理師の領域(保健医療、福祉、教育、司法、産業・労働)に対応したプログラムを用意する。
      4. 他大学との連携
        ・日本体育大学との連携協定に基づき、1)疼痛管理、2)発達障害の2項目について、臨床心理学的側面から、相互連携を行えるように検討する。
  6. <リハビリテーション科学部>
    1. 教育の充実
      1. ポリシーに基づく教育の質向上
        ・3ポリシーをしっかりと明示するとともに、体系的な教育を実施するため、科目間の連携をより意識したカリキュラム構成とする。また、3ポリシーの入り口を構成するアドミッション・ポリシーは、そのポリシーに基づく入学試験が有効に機能しているかを検証する。
      2. 多職種連携教育の充実
        ・上級学年での専門教育も含めた全学連携による「多職種連携教育」の体系化を行う。また「多職種連携教育」のより一層実践的な学習の場としての北海道医療大学病院の多職種連携教育システムを構築し、6学部が合同で多職種連携を学ぶ実践的な環境を整える。
      3. 休退学への対応
        ・学部内の「休学・退学防止対策ワーキング」で検討を行い、①休退学に至る学生の入学時の動機とその後の学習成果とを比較してより一層の分析を図ること、②それを通して有効な入学試験方法を提案すること、③入学前教育および入学後のリメディアル教育をより有効な教育としていくこと、④面接を通して学習上の困難な問題を教員と一緒に解決を図ることを提起した。今後はこの提起に基づき、さらに具体的な対策の検討を行う予定である。
      4. 国家試験合格率の向上
        ・国家試験対策は、短期間で成果を挙げられる性質のものではなく、低学年からの学習の積み重ねと、それを担保する学習習慣の体得が重要である。高度で実践的な専門職教育の成果の一環として国家試験対策はなされるべきであるものの、国家試験合格率は外部からの評価指標の一つでもあるため、より一層、綿密に指導を実践しながら取り組む必要がある。
      5. キャリア・就職支援の充実
        ・就職支援と就職を意識した取り組みは、本学入学時より始まっているといっても過言ではない。すなわち専門職という仕事を通してどのように社会参加をするのかを学生生活のスタートから意識して考えていくことが必要であり、そこに教員・職員が有効に介入していくことが求められる。教養科目や教員らとのディスカッションにより自らの価値観や社会観、人生観を形成していくことも重要である。
    2. 大学院の充実
      1. 社会人の学び直しの推進
        ・医療機関などで活躍する社会人専門職に対して、テーマ毎のプログラムを通して最新の知識と技能の修得と必要な能力の向上を図る機会を設定する。また、理学療法士・作業療法士の指定規則改訂を鑑み、実習指導者の教育を北海道の職能団体と連携して推進する。
        ・社会人の学び直しを高齢社会にある現在、多様なニーズに応じた様々な分野の学習機会として積極的に提供することは、大学の一つの社会的使命として重要である。またこのような学習機会の拡大は、北海道医療大学で学んだことを社会に生かす社会貢献にもつながり、それらが本学のブランディングにもリンクしていくものと思われる。
    3. 研究の推進
      1. 研究の質の向上
        ・連携協定を締結している当別町や滝川市、社会福祉法人ゆうゆうとの共同研究、社会医療法人社団カレスサッポロとの共同臨床研究、および今後人員的にも患者層の面でも拡充および充実してくるであろうあいの里の大学病院リハビリテーション室および地域包括ケアセンターとの臨床連携を介した共同研究に取り組んでいく必要がある。
      2. 研究活動の活性化
        ・質の高い研究を推進するため、職位にかかわらず競争的な配分を行うことを検討する。また若手の研究者の育成のために、各学科内に大講座制を取り入れ、共同研究の推進および若手研究者に対する指導・助言を可能とする体制の構築を検討する。そのため、傾斜配分というコンセプトではなく、講座の提出する研究計画に基づいて研究費を配分することを検討する。
      3. 外部資金の獲得
        ・科学研究費の応募資格者数に対する申請件数比率を上げる取り組みを行う。また、採択率を向上させるため研究者間のピュアビュー等の実施を検討する。さらに外部研究資金獲得のため、科学研究費申請の際の申請書類の書き方や採択されるための方法に関する研修を開催する。
      4. 研究成果の発信強化
        ・海外大学との連携を視野に大学運営を行っていく必要があることから、英語でのホームページの作成と充実を行い、また研究成果の公表も英語で表示し、海外大学との共同研究や連携の可能性を探るためのツールにしていく。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外連携大学等との連携
        ・国際化に関する基本施策に基づき、各施策を進める。
        ・留学生の受け入れや提携校と本学学生の派遣、学部間協定などの大部分が歯学部であるため、国際交流の方策などについて歯学部の手法を参考にしながら本学部独自の特色ある取り組みを検討する必要がある。そのためには、留学生の受け入れと学生の派遣をよりしやすい環境づくりや教員配置を検討する必要がある。
        ・海外より大学院入学を希望する留学生は積極的に受け入れる。
        ・長期的展望として大学院におけるデュアルディグリープログラムや相互研究交流など内実の伴った提携関係とするよう検討を行う。
        ・「海外研究員」の派遣制度の活用やサバティカル・イヤーの実質的に可能な体制の構築をめざす。今後も更なる国際化を推進するための「国際化に関する基本方針」をより意識的に実践していく。
      2. 留学生受け入れの推進
        ・正規カリキュラムに基づく学部学生の留学生受け入れを拡大するため、渡日前の留学希望学生の日本語教育や多様な入試選抜試験の実施などを含めた支援体制及び学修・生活環境の整備充実を検討し、海外留学生受け入れの拡充を図る。
        また教員の英会話能力の向上に向けた対策を講じる。
    5. 地域連携の推進
      1. 地域との連携・共同事業の活性化
        ・本学が医療系総合大学として実質的に北関東以北において最高の実践科学に基づく教育を行っていることを標榜するためには、あいの里にある北海道医療大学病院を基盤として病院内外の診療及び地域連携を有機的に結合させながら、医療実践を大学教育の付随事業として行っていくことを今後検討する必要がある。
    6. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・入学者を安定的に確保するには、本学の特徴や強みを生かした実績を生み出し続け、それが受験生、保護者および進学指導教諭の高い評価を受け続けることが重要である。
        そのために、以下の対策を検討する。

        ① 受験生への直接接触による本学への理解の促進

        ・受験生への直接接触機会とは、オープンキャンパス、大学進学説明会および出前授業である。ここでのアピールが、その後の受験行動に大きく影響する。しかし、直接接触機会の増加を志向しているのみでは不十分である。オープンキャンパスでは、教員のプレゼンテーションも重要ではあるが、当該学部学科の学生に、いかに自らの学んでいる学問と学生生活を生き生きと語らせるかが重要である。

        ② 広報活動委員会による検討

        ・現在、リハビリテーション科学部では全学の委員会とは別の位置づけと役割をもつ広報活動委 員会を設置しており、3学科の協力のもと、学生募集広報の強化策を検討する。

        ③ ブランドイメージの一層の向上

        ・多職種連携を身につけた「優れた卒業生を多く輩出」することが教育内容としては重要であり、さらに、大学病院を有し、そこで理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が病院全体のシステムの中で多面的に連携し、実践的な臨床教育の中で学生がプロフェッショナルとして成長できるという、具体的で魅力的なシステムを持っているということをアピールすることが必要である。

      2. 多様な学生の受け入れ
        ・大学を卒業した社会人の学びなおし、日本での留学が一つのステイタスと考えられている東南アジアなど諸外国からの留学生の受け入れを検討する。この場合、社会人における入学への最も大きなハードルは学力と資金力である。その両者をいかようにクリアしていくかを合わせて検討していく必要がある。
  7. <医療技術学部>
    1. 教育の充実
      1. ポリシーに基づく教育の質向上
        ・完成年次に向けて、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーの再考をおこなう。これらは、全学の3ポリシーとの整合性を取りながら最終的な完成を目指す。
      2. 多職種連携教育の充実
        ・多職種職種連携、チーム医療に関する講義、演習は他の医療系養成校でも行われていることから、実質化と成果の可視化が必要であり、充実のため、上位学年(3年もしくは4年次)での他学部との合同連携講義・演習(集中)の検討、全学年次での他職種やチーム医療に関する講義・演習・実習の充実、介護施設などでのコミュニケーションを目的とした実習科目の必修化の3点について検討を行う。
      3. 休退学への対応
        ・休退学防止のため、データに基づいた退学、休学学生の事前補足、出欠席管理と不良者への通知、年次での専門科目の増加などについて検討する。
      4. 国家試験合格率の維持向上
        ・国家試験合格率100%を目指し、スマホ等を利用した学習支援ツール(国試対策問題)の充実、学習支援ツールを日常的に利用させる仕組みと達成度を評価するシステムの構築、国家試験を見据えた講義と定期試験の組み立てについて検討する。
      5. キャリア・就職支援の充実
        ・学生が本学に求める最終目標が就職・進学である。本学の学生を売り込むためには、学生自身の学業成績のみならず学業以外の能力を数値化・保証することが必要である。
    2. 大学院の充実
      1. 大学院の開設
        ・学部が完成年度を迎える2023年度の大学院開設を目指し、検討する。
    3. 研究の推進
      1. 外部資金の獲得
        ・個人で外部研究資金を獲得することは難しく、また獲得したとしても継続していくことが難しいと考えられる。学部内で全教員が関与できる幾つかの臨床検査に関係するテーマに絞り、他学部との共同研究による新しいテーマの発掘等の研究戦略が必要である。
      2. 研究成果の発信強化
        ・医療技術学部臨床検査学科HP内で研究内容や成果を発信する。
    4. グローバル化の推進
      1. 海外提携校・海外留学の拡充
        ・4年次の海外の病院見学の実現可能性について大学提携校を中心に検討する。
    5. 地域連携の推進
      1. 地域との連携・協働事業の活性化
        ・当別町およびあいの里地域に貢献する研究や事業を検討する。
      2. 他大学との連携
        ・大学や企業との各種協定の趣旨に沿った研究や事業を検討する。
    6. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・現在、北海道で臨床検査技師の養成校は国立4年制大学1校(定員37名)、3年制専門学校3校(総定員160名)があり、本学部は臨床検査技師を養成する北海道・東北以北で初めての私立4年制大学となる。18歳人口の減少、北海道内外での4年制大学の臨床検査技師養成学科の新設も予定されていることから、今後入学定員確保が厳しい状況になることが予想される。そのため、5年、10年後を見据えた入学定員確保のための計画を複数、早期に企画、実施することが必要である。
        具体的には、小学生、中学生、社会人(親、高校教員等)を対象とした臨床検査職業体験、あいの里あいあい祭りでのイベント企画、地域に還元でき、わかりやすい研究プロジェクトなどの検討を行う。
  8. <歯学部附属歯科衛生士専門学校>
    1. 教育の充実
      1. 多職種連携教育の充実
        ・大学も含めた全学的な「多職種連携」教育を段階的に体系化するため、地域包括ケアシステムの中でそれぞれの立場の専門職業人が異なる視点を共有し、理解しあえる方策を検討する必要がある。
      2. 学習支援ツールの充実
        ・専門学校は卒業後直ちに専門職業人として社会に貢献できる人材を輩出することが使命であり、確かな知識に裏付けられた優れた技能を修得することが求められている。そのため、歯科衛生士として求められる高度な技能を修得するため、専任教員によるリアルな動画を教材として整備することが最も有効である。従って、現状の学習支援ツールの動画内容をさらに充実していくことが最優先に取り組むべきで課題である。言葉では伝えられない部分を的確に視覚的に伝えることが可能となる。
      3. 初年次教育の充実
        ・入学直後から学習に取り組む姿勢や学習集中力、国語力が身につくように指導すると同時に、歯学部卒業生の経営する歯科医院でのアルバイト等診療現場の体験を通じて、モチベーションを持続させる工夫を検討する。
      4. 入学前教育の充実
        ・AO方式入学試験で早期に合格した学生に対し、学力を測る入学前課題を課すことを検討する。例えば、小冊子などの読書を課し、その要約をまとめさせるなど、入学前の時点から学力を把握する。
      5. 国家試験合格率の維持向上
        ・国家試験合格率、各学年の留年数は、志願者の増減に関係しており、専門学校の評価に繋がることから、引き続き学生一人ひとりの学力に応じた修学支援体制の整備に努め、国家試験合格率の更なる向上を目指す。
        ・成績が思わしくない学生に対する個別指導をさらに強化し、学力の向上を図る。例えば、歯科衛生専門3科の国家試験過去問を臨床実習期間中から週末課題として10問ずつ課すなどの方策を考案する。国家試験不合格者への対応は従来通り聴講生をして受入れ、第3学年国家試験授業に参加させる。
      6. キャリア・就職支援の充実
        ・ミスマッチによる早期離職を防ぐため、現在実施している「就活セミナー」の実施時期や希望診療所での体験実習などについて、今後検討する必要がある。
    2. グローバル化の推進
      1. 海外校との提携
        ・台湾における歯科衛生教育事情を鑑みると、技能修得のための修練教育が十分ではないことが垣間見える。現在台北医学大学以外の教育機関からの要望も出てきており、今後協力締結を視野に入れつつ、入学生の確保や研修指導などに繋げていくこととする。
    3. 学生の受け入れ
      1. 学生募集広報の強化
        ・歯学部同窓生への資料送付、オープンキャンパスの開催回数等の見直し、高校向け広報展開の充実など、志願者増に向けた取り組みを行う。
        特にオープンキャンパスについては、高校生と直接接触でき、入学動機へと直結する貴重な機会であると位置づけている。本校のオープンキャンパス開催は年5回に限られているが、札幌市内他校では年に10~12回開催しており、開催回数の見直しを検討する。また、オープンキャンパス・スタンプラリーを実施し、すべてのオープンキャンパスに参加した何らかの特典を用意するなど、新手の企画で高校生の参加を促すなど思い切った方策を検討する。
      2. 多様な学生の受け入れ
        ・歯学部との間で連携協定を締結している台北医学大学口腔衛生学科卒業生の2年次編入生受け入れを実施しているが、歯学部で実施している留学生の受け入れ制度とは異なるルートである。これに加えて、歯学部と同じ新入生受け入れルートでの制度で、第1学年への新入生の確保を図る。なお、日本語修得に関しては、2年次編入と同様に、日本語能力検定N2以上の取得を義務づける必要がある。
  9. <医療機関>
    1. 地域医療への貢献

      ・キャッチフレーズである「地域とともに育む 信頼の医療と支えあう福祉」のもと、地域住民に信頼される病院となるとともに、より高度で良質な専門医療を提供できる体制を目指す。
      ・地域医療を担う病院として、近隣医療機関と緊密な連携を行う。
      ・歯科部門においては、地域包括ケアセンター在宅歯科診療所、訪問看護ステーションとの連携、高齢者・有病者の歯科治療の専門機関としての機能と人材の育成など、2025年の地域包括ケアシステムの稼働を踏まえた対応を促進する。

    2. 教育の充実

      ・歯学部の附属医療機関として、診療参加型臨床実習のさらなる充実を図る。
      ・臨床教育を充実させるなど、大学各学部の臨床・教育機関としての役割を果たす。

    3. 経営基盤、機能の強化

      ・高度で良質な医療を提供するための機能を強化するとともに、医療収入の増加を図り、収益改善を実現する。

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