第2回将来ビジョン講座 開催報告
令和6年8月6日、令和6年度第2回将来ビジョン講座がWEB形式で開催されました。「薬局薬剤師における腎機能評価~処方監査・服薬指導から服薬フォローまで~」と題して、なの花薬局・美しが丘店 管理薬剤師 桜田尚季先生にご講演いただきました。
桜田先生からは、はじめに「患者腎機能の把握・評価」について解説いただきました。腎機能を評価するマーカーの1つとして、糸球体濾過量(GFR)があり、イヌリン投与による実測GFRや蓄尿による実測クレアチニンクリアランス(CCr)、Cockcroft-Gaultの式による推算CCr、血清Cr値やシスタチンC値からの推算GFRについて、各マーカーの利点や腎機能評価時の注意点をお示しいただきました。このことは、病院・薬局いずれの薬剤師においても重要であり、腎機能を正しく評価し、処方設計や疑義照会を含めた処方監査に明日の業務に参考となる内容でした。
その後、「腎チーム」発足の経緯や本講座の座長である手稲渓仁会病院薬剤部・小島雅和先生から同チームへのサポート体制、研究発表実績についてご紹介いただきました。具体的な研究内容として、腎機能低下時に注意を要するメトトレキサートやアシクロビルについて適正使用ガイドを作成し、グループ店舗内で用いた際の薬剤師の行動変容(疑義照会、服薬フォローアップ、服薬指導内容)について、データを交えてご紹介いただきました。
後半の講演では、急性腎障害(AKI)を意識した飲水励行を中心とした生活指導の取り組みについてご紹介いただきました。まとめのスライドでは、薬局での生活指導や飲水励行の啓発により、薬剤師はAKIおよびそれに伴う慢性腎臓病(CKD)の進展を防ぐゲートキーパーの役割を果たす必要があるとの桜田先生からのメッセージが強く印象に残りました。
受講された方のポートフォリオでは、腎機能の各マーカーについて理解が深まった、明日からの業務に役立てたい、CKD進展を防ぐような患者指導に心掛けたいといった意見が寄せられました。また、店舗間での情報共有について、とても参考となったという、薬局のマネジメントに関しての意見も寄せられました。