北海道医療大学

第2回将来ビジョン講座 開催報告

令和4年8月9日に令和4年度第2回将来ビジョン講座が開催されました。講師は福岡大学 薬学部教授 江川 孝 先生です。

江川先生はテーマをネパール地震での国際緊急援助とウクライナ避難民の医療支援に分けてお話しされました。先生は一つ一つの災害支援の経験が次の災害支援の取り組みに活かされていることと、中でも東日本大震災での災害支援の経験がその後の活動につながる非常に大きなきっかけになったことを繰り返しお話しされました。

ネパール地震での国際緊急援助の実体験に先立って、先生はJDR法における国際緊急援助制度について説明されました。JDRの登録から派遣までの流れ、JDR医療チームの構成、災害医療チームの国際標準化についてお話しいただき、実際の要請から派遣までの経験や現地での活動、遭遇した困難や人々の様子などについてお話しいただきました。その中には、先生が現地でさらに規模の大きい地震に遭遇した際に帰還指示を受けたが、支援が完了していないという意思の元で現地に留まったというお話や、現地の病院でさらに支援を継続していたところ、病院に寄せられた各国からの支援物資を薬剤別に整理整頓をする中で、東日本大震災の時の経験が活かされたというお話もありました。

さらにウクライナ避難民の医療支援について、ウクライナでは医療支援を行うためのブースを確保するところからはじまったとお話しいただきました。近隣の薬局の立地を調べて、滞在の目的を現地の薬剤師と共有することで、コミュニケーションを円滑に進めていたとのことでした。また、それぞれの薬局の特徴から、購入できる薬品の種類や所要時間を確認して、他の医療スタッフでも薬を調達できるように環境整備を進めたり、アプリの開発を進めて、医師が在庫薬品の種類や数、欠品情報や医薬品情報を確認できるようにしたりしたそうです。先生は帰国後も、学生と協力しながら支援を継続しており、アンケート調査など日本からさらに支援を継続できるように進めていらっしゃいます。また、ウクライナにおいても東日本大震災やネパール地震での経験や知識を活用して、医薬品の整理や服薬指導のツールを用意できたというお話から、災害支援においては実際に現地で活動した経験が以後継続して活かされていくということが理解できました。

ポートフォリオより、災害時に薬剤師に求められる役割についてよく理解できたという意見や、国際緊急援助が JDR 法によりきちんと定められており、災害医療チームが国際標準化されていることを知れたという意見が寄せられました。

薬剤師支援
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