北海道医療大学

第1回将来ビジョン講座 開催報告

令和4年7月12日に令和4年度第1回将来ビジョン講座が開催されました。講師は有限会社イナガミ薬局代表取締役社長 宇野雅樹先生です。「2025年地域包括システムの実現に向けた診療報酬改定と薬局の地域活動」というタイトルでご講演いただきました。

はじめに宇野先生は、これからの日本の人口動態について解説され、地域包括ケアシステムを推進していくにあたり、それぞれの地域で自主性や主体性に基づいて構築していくことが重要であると述べられました。

続けて今年度の診療報酬改定について、対人業務と対物業務がより明確に分けられたことを話題に取り上げられました。その中であらためてポリファーマシーの問題について、定義や疫学となぜポリファーマシーになるのかといったことについて述べられました。

さらに、外来支援料の見直しや調剤後薬剤管理指導加算の見直し、医療的ケア児に対する薬学的管理の評価、服薬情報等提供料の見直しについて解説され、薬局における対人業務の評価が充実していると述べられました。特に「高齢者は入院そのものがリスク」すなわち、入院というイベントによって身体機能および認知機能はともに低下して、若年者と比較して退院後も入院前の状態まで戻ることは非常に困難であるといった実態について述べられたことは非常に印象的でした。

また、近年の新型コロナウイルス感染症に対する薬局の取り組みについて、0410通知による電話での服薬指導と配薬対応、コロナ内服薬供給事業、高濃度アルコール無償提供事業、PCR等検査無料化事業、新型コロナワクチン接種事業のそれぞれの意義についてや、現在診療報酬で点数化されていなくても役割が認知されていくことで先につながり、形となっていくということを述べられました。

宇野先生の十勝での取り組みについて写真を交えてご紹介いただきました。具体的には、多職種合同による在宅医療や医療的ケア児研修会、さらに特徴的な取り組みとして、ほとんどすべての医療に関わる職種が参加して症例の人生の時間軸に基づいて話し合う、暮らしにつながる事例検討会といった内容でした。このような検討会を継続することで、他の職種の視点からの気づきや問題点を共有することができ、それぞれの参加者が日々の医療に反映させているということをお話しされました。他にも消防隊員との共同研修や福祉施設整備事業に取り組まれているお話で福祉施設「レンガの家」が日本財団の助成を行う事業として選出されたことについてもご紹介いただきました。

最後に、薬剤師・薬局の地域活動はかしこまらずに、同じ地区に住む者の一人としてまずは外に出てみることが大切だと述べられて講義を締めくくられました。

参加者から寄せられたポートフォリオより、対人・対物業務がより明確になった、診療報酬改定や薬局の地域活動など幅広く学び理解することができた、地域での活動は薬局、薬剤師の肩書に捉われず参加してみて自ずと構築されてくるなど、参加者にとって意義深い講座であったことが分かる意見が多数寄せられました。

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