第1回臨床薬学講座 開催報告
平成29年9月25日19時から北海道医療大学薬剤師支援センターが主催しております、「臨床薬学講座~基礎から学びなおそう「臨床薬学」」が開催されました。「ポリファーマシー対策と薬剤師の本質的機能」をテーマに東京大学大学院医学系研究科地域医薬システム学講座 教授の今井 博久 先生にご講演いただきました。
ここ数年の高齢者への多剤処方・多剤併用による相互作用の問題、残薬が大きな問題となっており、ポリファーマシー対策が急務と言われています。
現在の超高齢社会以前の医療は単一疾患、急性期疾患を外科等の侵襲治療をして完全治癒を目指す病院中心の医療であったが現在の超高齢社会では多疾患で慢性疾患が大多数のため、治療は薬物治療が中心、治療のゴールも治癒ではなく現状維持の場合が多く、治療の舞台も病院から地域へと移っている。そうなると医師単独で治療をすることは難しく多職種が絡んでの治療となっている。このような状況下のなかで、薬剤師は「地域のチーム医療において薬物治療をマネージメントする」という役割がある。では、この超高齢社会において薬剤師が果たさなければならない機能としては①処方の再設計、②多職種連携 ということになる。この処方の再設計こそがポリファーマシー対策の要である。医師は治療を目的に処方する、看護師は患者のケアの観点から必要な薬を医師に依頼する場合が多い。しかし薬剤師は副作用回避の観点から処方の中止を提案できる機能を持っている。すなわち「ポリファーマシーの改善は薬剤師という専門職こそできる」というのが今井先生からの強いメッセージであった。次に多職種連携について超高齢社会以前は医師だけで対応できたシンプルな問題が多かったが、現在の超高齢社会では認知症・虚弱高齢者・社会的問題・経済的問題など、複雑な事例が多数あり、これら混沌とした問題を解決するには多職種連携による介入は必須となっていることが話されました。
研修を受講された方々は4年制卒の病院薬剤師、調剤薬局薬剤師、6年制卒薬剤師、現役薬学生と多数参加いただき、アンケートでも76%の方が、大変役に立ったと回答がありました。
次回はファルメディコ株式会社 代表取締役社長 狭間 研至 先生に、「患者のための薬局ビジョンから読み解く平成30年度調剤報酬改定~波の高低ではなく、潮の流れを読む~」を医師の視点でお話して頂きます。
~アンケートより~
- 今後の薬剤師のあり方について学ぶことができた。
- 薬剤師は商法再設計に関与し、意思と協働していきたいと思った。