第1回認定・専門薬剤師養成講座 開催報告
平成 28 年11月12日(土)17時から北海道医療大学薬剤師支援センターが主催しております「認定・専門薬剤師養成講座:薬のエキスパートになるために」が開催されました。スポーツファーマシストをテーマに薬剤師、医師、選手の立場から3名の先生をお迎えしてご講演を頂きました。
始めに、北海道大学病院薬剤師 副部長 笠師久美子先生より、スポーツファーマシストの立場として、「スポーツにおける適切な薬物治療」についてお話を頂きました。風邪薬や漢方薬などの使用による、うっかりドーピングが多いとお話がありました。また、メチルヘキサンアミン含有のゼラニウム油やトロフォデルミンと呼ばれるリップクリームなど、薬以外にもドーピング対象となる場合があると教えて頂き驚きでした。選手からアンチ・ドーピング情報を求められた場合は、Global DROでの検索や、薬剤師会への問い合わせ等で確認し、安全な情報を伝えることができると学びました。また、薬だけではなく選手の背景などの情報収集をすることで、選手の抱えている不安の解消へと繋がると学びました。
次に、NTT東日本札幌病院 整形外科 部長 井上雅之先生より、「スポーツファーマシストとスポーツドクターとの連携」についてお話を頂きました。選手がスポーツドクターに診てもらう時間は、必ずしも日中とは限らないため、スポーツドクターからスポーツファーマシストへのドーピング禁止薬などの問い合わせもまた、同様であるとお話されておりました。スポーツドクターとスポーツファーマシストが顔の見える関係であると、安心な医療をいち早く選手に提供することができるため、両者の連携は大切であると感じました。
最後に、長野オリンピック モーグル 金メダリストの里谷多英さんより、「ドーピングのかかわり」についてお話を頂きました。第一線で活躍された選手時代のお話を聞くことが出来、私たちの知らない選手の苦悩があると感じました。ドーピング検査の大変さ、居場所情報を提出するADAMSの負担、薬物治療やサプリメントに対する不安などを聞くことが出来ました。選手にとって、身近な存在にスポーツファーマシストがいることで、薬に対する不安を軽減することが出来るとお話されておりました。
選手自身がクリーンである事を証明しなければいけませんが、それには周りのサポートも必要になります。スポーツファーマシストの認知度が低いのが現状のため、薬剤師も専門性を発揮し、選手が安心して相談できるスポーツファーマシストが今後増えていくことに期待されていると感じました。薬剤師、医師、選手と様々な立場からお話を聞くことが出来、大変貴重な機会となりました。
~アンケートより~
- スポーツファーマシストに大変興味もてました。
- 臨床で活躍している薬剤師が少ないことが課題であると感じた。
- スポーツファーマシストを目指したくなりました。
- 具体的にスポーツの現場で働く方のお話が聞けて、スポーツファーマシストへの理解が深まった。