研究科の特色
看護・臨床福祉をオープンにした独自の教育体系
本研究科では、保健・医療・福祉の高い専門知識と技術に裏づけされたトータルな視点をもって、全人的なケアにあたることのできる人材の育成を目指しています。そのため看護学、臨床福祉学の分野とも、選択科目群を多く導入し、トータルな視野に立ったうえで各分野の固有性を追及しているほか、教育と研究の統合も積極的に推進しています。さらに、臨地実習を重視して実践科学としての認識が確かなものとなるようにしています。
看護学専攻
すぐれた専門的知識と臨床実践を有する
専門看護師(CNS=Certified Nurse Specialist)
ナースプラクティショナー(NP)、及び教育・研究者の育成
本専攻が養成する人材は、高度実践者と研究者、教育者です。高度実践者とは、医療の受け手である患者・家族・地域住民の保健医療への主体的な参加と選択・決定を援助できる臨床能力にすぐれた看護の知的技術者をいいます。修士課程においては、専門看護師(CNS)教育課程として認定されたプログラムを用意していますが、CNSとは「特定専門看護分野で卓越した実践能力を備え、実践家をサポートできる指導力と研究能力を有する」看護師のことで、日本看護協会が資格認定制度を実施しています。同制度は1996年にスタートしましたが、本学では1999年度の老人看護に続き、精神看護、母性看護(2018年3月終了)、2001年度に成人看護(慢性)、2008年度以降、がん看護、感染看護、在宅看護とあわせて、現在6分野が専門看護師※1の教育課程として認定され、1大学で6領域の認定を持つ、トップクラスの大学院です。
CNSの専門技術・知識の高さと指導力は臨床現場において高い評価を得ており、看護学生のなかにも、CNSを目標とする人が増えています。本学の修了生が臨床現場の指導者として、今後ますます活躍することが期待されます。
1999年4月に開設した博士課程では、大学や高度専門教育機関からの期待に応える教員、教育研究者の育成にも力を注いでいます。
ナースプラクティショナー(NP)とは
5年以上の実務経験を積んだ看護職が、看護系の大学院で2年以上の教育を受け、比較的安定した状態にある患者に対して、医師と協働して作成したプロトコール内で診断・治療が提供できる新しい看護の人材です。NPを日本NP教育大学院協議会では「診療看護師」と呼称しています。我が国では、まだNPに関しての国家資格は存在しませんが、その役割に関して検討が始まっています。
本学では、そのNPの育成を大分県立看護科学大学、国際医療福祉大学などに続いて、平成22年度より養成を開始しています。
1 CNS教育課程として特定されている14分野
がん看護/精神看護/地域看護/老人看護/小児看護/母性看護/慢性疾患看護/急性・重症患者看護/感染症看護/家族支援/在宅看護/遺伝看護/災害看護/放射線看護
臨床福祉学専攻
保健・医療・福祉の分野を越えて活躍できる、高度専門職業人を養成
本専攻では、生活の質(QOL)の向上を中心とした保健・医療・福祉領域の多様なニーズに応え、社会サービス全体の安定的維持向上に寄与することを目的として、ケア能力ばかりではなく様々な課題に対処するための「プログラムの作成・維持・管理能力」、「関連する諸領域との連携・調整能力」、「福祉的相談援助能力」など幅広い能力を身につけ、実践現場でリーダーシップを発揮できる高度専門職業人及び教育・研究者を養成します。
各職域におけるリーダーの養成をめざし、専門領域を明確にした教育を展開
本専攻では、「社会福祉学原理」「障害福祉学」「高齢者福祉学」「児童福祉学」「教育福祉学」という専門領域をコアとする科目群を設定。コア科目の特論と演習をリンケージさせることで、独自の専門性と教育研究手法を深めていきます。あわせて「臨床福祉学実習」を重視し、保健・医療・福祉に関わる各機関で必要とされる相談・ケアマネジメント能力の強化を図ります。また、看護学専攻と共通する「研究科共通科目」を配置し、学際的共同研究に対するインセンティブ能力も修得します。