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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

鍋は究極の薬膳だ!

野菜類のお話

ハクサイ(白菜) アブラナ科

水分が95〜96%ですが、色々な栄養素が微量ながらまんべんなく含まれています。ビタミンCやミネラルであるカルシウム、カリウム、マグネシウムの他にアブラナ科(大根、かぶなど)の辛味成分であるイソチオシアネートなども含まれています。カリウムイオンはナトリウムイオンと拮抗しますから高血圧の予防に効果があります。アリルイソチオシアネートにはがんや動脈硬化を予防するといわれています。白菜をたくさん食べて栄養素を効果的にとるためには、スープ煮、煮込み、炒め物、鍋物の具にするのが良いでしょう。当然ですが食物繊維は豊富に含まれています。

シュンギク(春菊) キク科

β-カロチン, ビタミンB, B, 鉄, カルシウム, カリウム, 食物繊維などが含まれていますが、特にβ-カロチンの含量が多いのが特徴です。β-カロチンはビタミンAの前駆体として重要であるばかりではなく、生体内で常に生成している活性酸素をトラップする作用があるので、細胞の老化や癌化に歯止めをかけます。葉菜の中ではカルシウムの含量が多く、牛乳と同じくらい含まれているので骨粗しょう症などの予防に効果的な食材の一つです。塩(NaCl)かげん控えめな鍋にすると水に溶けやすい成分(例えばビタミンB, B, カリウム など)でも煮汁を食べることによって丸ごと摂取できます。さらに春菊に特有の香りの成分はα-ピネン, ペリルアルデヒドと呼ばれる比較的分子量の小さな揮発性の物質で、胃腸の働きを促進する作用が有り、胃のもたれを解消し、胃酸過多による不快感を取り除いてくれます。また緑黄色野菜の代表的な葉菜であるホウレンソウ(アカザ科)に比べ、アクの成分であるシュウ酸含有量がホウレンソウの4%ほどしかなく、そのまま食べられるのも大きなメリットの一つです。

キャベツ アブラナ科

代表的なアブラナ科の葉菜である生キャベツにはキャベジン(ビタミンU)が大量に含まれる他、キャベジンと同じ作用を持っている グルタミン酸が大量に含まれるため、胃炎や胃潰瘍の予防に大変効果的であるとされています。また、ビタミンCやカルシウムも比較的多く含まれており、ビタミンCは春菊の2倍、カルシウムはグリーンアスパラの2倍に及びます。美肌効果や、イライラを解消する働きがありそうです。その他にインドール化合物やイソチオシアナートなどが含まれており、これらはビタミンCとともにガン予防に大きな効果があります。食物繊維も当然豊富です。

ネギ(葱) ユリ科

ネギには大きく分けて白い部分の多い「根深ネギ」と全体が緑色の「葉ネギ」と呼ばれる2種類がありそれぞれ少しずつ含まれているものの割合が異なります。

「葉ネギ」:緑の葉にはカロチンやビタミンCが多く、カルシウムやカリウムなどのミネラル分も豊富に含まれており、緑色の濃い葉ネギに含まれるカロチンの量はグリーンアスパラを上回っていますし、ビタミンCの量もアボガドを上回っています。
「根深ネギ」:特有の刺激性の芳香のもとは硫化アリルという硫黄原子を含む低分子有機化合物のせいなのですが、この硫化アリルという化合物には殺菌作用や抗菌作用、身体を温める作用があるのでかぜの予防に非常に適しています。また血液をサラサラにする作用もあるので、血栓の予防効果も期待できます。さらに硫化アリルは消化液の分泌を促し、食欲を増進させ、肉や魚の生臭さを消す作用もある他、体内でビタミンBと結合してその吸収を良くするのでエネルギー代謝をスムーズにし、疲労回復にも役立ちます。

セリ(芹) セリ科

春の七草の一つで、古代からリウマチ、神経痛、血圧降下に薬効があるとされてきました。カルシウム, カロチン, ビタミンCが多く、増血を促す葉酸, 鉄なども含まれます。

ダイコン(大根) アブラナ科

大根をすりおろすと組織が分解され、酵素の働きによって辛味を生じます。この辛味成分は山葵のそれに似ていますが、その化学構造が微妙に異なるため、舌にピリピリくる独特の辛味となります。根部に消化酵素アミラーゼ(ジアスターゼ)とビタミンCが多量に含まれる他、葉にはカロチンがいっぱいです。根部を食する時はアミラーゼ(ジアスターゼ)とビタミンCが熱に弱いのでダイコンおろしなどの生食がよいのです。

ニンジン(人參) セリ科

代表的な有用成分は、なんと言ってもβ-カロチンです。野菜の中でずば抜けて高い量なのです。β-カロチンは動物体内に取り込まれるとビタミンAに変化するのでプロビタミンAとも呼ばれます。ニンジン1/2本(80g)で大人一人の一日あたりの所要量の1.5倍に達する量のβ-カロチンが含まれているのです。また「ニンジン」にはβ-カロチンの他にα-カロチンという物質も含まれており、数ある野菜の中の「カロチン大将軍」と言っても良いでしょう。カロチン類には生体内で発生するフリーラジカルをトラップする働きがあるので、癌予防に効果があります。その他にも視覚、聴覚、生殖機能維持、免疫機能を高める作用も報告されています。カロチンは水には溶けず、油に溶けやすい性質がある上に比較的熱に対して安定であるので、油を使って調理する方が効果的にカロチン類を摂取できます。その他に食物繊維ペクチンも含有されており、余分な中性脂肪を体外に排出する働きがありますから、血管を正常な状態に保ち、高血圧、動脈硬化の予防にも役立ちます。ニンジンにはビタミンC失活させるアスコルビナーゼという酵素が含まれているので生食は避けるべきです。もっとも鍋に使う時には熱をかけますから、この心配は全く必要ありません。

「鍋は究極の薬膳だ!」

鍋の材料のお話