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ブログ「堀田清の元気が出るお話」

すずしろの花



北海道医療大学 薬用植物園・北方系生態観察園

日本のスパイスと『七味唐辛子』のお話

七味唐辛子の中身のお話

山葵

辛味は日本料理のなかで、味の引き立て役としてとても重宝されてきました。とても個性的でありながらも繊細、それが日本人の好んできた「旨い辛さ」です。今回はそんな香辛料のうち、最も良く使われているものの一つである山葵を紹介します。

 山葵はその学名 Wasabia japonica (ワサビア・ジャポニカ)が示すように、日本が原産地です。平安時代(1221 年)には天皇家への献上品として用いられたという記録も残っており、古くから珍重されていたことがわかります。栽培されるようになったのは400年後の江戸初期まで待つことになります。静岡市内の駿府城に住んでいた晩年の徳川家康が、献上された山葵をたいそう気に入り、門外不出のご法度品として独占してしまいました。また徳川家の家紋が葵であったため珍重されました。何者かが噂の山葵をこっそり持ち出して栽培、江戸の庶民まで食べられるようになるには、1700年代に入ってからのことです。このころから魚の生臭みを消してくれる香辛料として、また蕎麦の薬味として使われるようになります。

 山葵はそのままでは辛くはありませんが、おろすと辛味成分である硫酸エステル形の配糖体シニグリン(sinigrin)が酵素ミロシナーゼの作用で硫黄を含んだカラシ油を生じて辛味を呈します。防腐殺菌効果の他、消化を促進させ、食欲を増進させる効果があります。民間薬として魚肉や鳥肉の中毒に搾汁を服用したり、リウマチや神経痛に外用薬として用いられます。

 生の山葵は今でも高価なものですが、皆さんが普段使っている粉山葵は辛味成分が似ている西洋山葵(ホースラディッシュ)の粉末を緑に着色したものです。この代用品がなければ、日本人の誰もが山葵醤油で刺し身を味わうことは、いまだにできなかったかもしれません。 

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七味唐辛子の中身のお話