施設
薬用植物園
北海道医療大学は全国の国公私立薬学系大学の中で最も北に位置しています。薬学部附属薬用植物園は1985年(昭和60年)に薬学教育と研究の目的で設立されました。全敷地面積は標本園と栽培園を合わせて2,900㎡です。標本園、栽培園には主に北方系の薬用植物を中心に、59科190種の植物を保有し、貴重な遺伝子資源の系統保存を行っています。なかでもムラサキ、ゲンチアナ、ウラルカンゾウ、シナマオウ、モッコウ、オタネニンジン、トウキ、オクトリカブト、ダイオウ、シャクヤク、ボタンなど医薬品原料としても重要であり、冷涼気候に適した薬用植物の保有を特徴としています。
温室は1991年(平成3年)に設置され、総面積は342㎡です。チョウジ、シナニッケイ、インドジャボクなどの薬用植物、バニラ、コーヒーノキ、コショウ、バナナ、マンゴー、パパイヤ、パイナップル、キダチトウガラシなどの香料・食用植物、ヒスイカズラ、ブーゲンビリアなどの華やかな植物、その他を合わせて熱帯・亜熱帯性の植物を主として81科199種を植栽、展示しています。
北方系生態観察園
北方系生態観察園は薬用植物園の北側に隣接するわたなべ山を中心にして2001年(平成13年)に設置されました。総面積15万3千㎡(15.3ha)の広大な自然林の中に、総延長2kmのウッドチップを敷きつめた散策路が整備されています。設置4年前の1997年(平成9年)から山林の植生調査を行い、なるべく自生の貴重な植生の維持に留意しながら管理運営されています。
園内には114科524種類の植物が自生していることが確認されています。春の雪解け後には、エゾノリュウキンカ、ミズバショウ、カタクリ、エゾエンゴサクなどが一斉に花々を咲かせます。医薬品原料としても重要なホオノキ、キハダ、トチバニンジンなど多くの薬用植物も自生しています。そのほか、エゾリス、シマリスなどの小動物、ヤマゲラ、カケスなどの野鳥、アオヤンマ、エゾハルゼミなどの昆虫、エゾサンショウウオなどの希少生物、その他の多様な生物の集う豊かな森林を楽しむことができます。
北方系伝統薬物研究センター
薬学部附属北方系伝統薬物研究センターは文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「薬草園を機軸とした北方系伝統薬物の生物多様性から創薬まで(2008~2010年度)」により、2009年(平成21年)に設立されました。薬用植物園内に位置し、鉄筋2階建て総面積550㎡の博物館を兼ねた研究施設です。
当センターは、アイヌ民族が残した北方系伝統薬物などの調査、保存を進めるとともに、あらたに薬のもととなる植物の発掘を行うなど北方伝統薬物研究の先端的研究拠点を形成することを設立目的としており、①研究、②人材育成、③教育に取り組んでいます。
研究では、「栽培・保存・情報部門」、「生物多様性解析部門」、「機能解析部門」の3部門が密接に融合して、協力・連携を図り研究を推進しています。
人材育成では、薬草園・北方系生態観察園を活用して、薬草ガイドインストラクターなどの薬草および生薬に関する幅広いプロフェッショナルな人材の育成に努めています。
教育では、本学の学生、教職員のみならず、一般市民にも広く薬用植物・生薬に関する教育を実施しています。また乱用薬物防止についての啓発活動にも取り組んでいます。