申請大学はこれまで福岡市西部地区5大学連携懇話会(福岡歯科大学、九州大学、福岡大学、中村学園大学および西南学院大学が参加)、福岡市地下鉄七隈線沿線3大学連絡協議会(福岡歯科大学、福岡大学および中村学園大学が参加)、4大学協議会(昭和大学、北海道医療大学、岩手医科大学および福岡歯科大学が参加)を通じて種々の連携事業を行っている。

 西部地区5大学連携懇話会は平成18年から既に4回協議会が開催され、協議会の下に教育、研究、職員研修および地域貢献に関するワーキンググループを作り、具体的な連携事業を検討している。教育については九州市民大学の講座を利用した単位認定や、単位互換を前提とした授業を九州大学と福岡歯科大学で実施することを検討している。

 福岡歯科大学と福岡大学は中村学園大学と協力して、平成17年度から健康に関する合同公開シンポジウムを開催し、多くの市民の参加を得てきた。こうした実績に基づいて、平成19年には3大学で教育、研究、地域交流における連携活動を協力して行うため、地下鉄七隈線沿線3大学連絡協議会を設立し、これまでに協議会を4回開催している。現在、教育研究、地域交流(シンポジウム)と医療活動に関する作業部会を設置し、大学院学位審査の相互援助、第4回シンポジウムの開催準備等具体的な連携協議を進めている。

 代表校である福岡歯科大学では口腔医学教育に関連が深い内科・外科・耳鼻咽喉科・心療内科・麻酔科・放射線科等の専任教員について福岡大学や九州大学と活発な人事交流を行っており、その他の一般医学教育についても福岡大学や九州大学専任教員の非常勤講師委嘱等の積極的な支援を受けて教育を行っている。また、生命科学系教員や臨床歯学系の教員については九州大学、九州歯科大学と活発な人事交流を行っている。

 昭和大学、岩手医科大学、北海道医療大学および福岡歯科大学は平成15年から4大学協議会を作り、教育研究に関する定期協議を年1回行っている。また、平成18年度から第6学年学生に対する臨床実習を相互に受け入れる協定を結び、相互交流を図っている。昭和大学が実施しているFDワークショップに4大学協議会の教員が参加し、合同でFD研修を実施している。また、協議会には学務を担当する上級事務職員も参加し、学務運営に関する意見交換や交流を行っている。

 福岡歯科大学は併設する介護老人保健施設サンシャインシティおよび隣接する社会福祉法人「学而会」特別養護老人ホームサンシャインプラザを利用した介護実習教育を、平成13年から第1学年、第3学年、第5学年の学生を対象に実施しており(第5学年は平成16年、第3学年宿泊実習は平成19年から実施)、口腔ケアに対する教育として有効な授業となっている。

 本連携取組はこうしたこれまでの連携事業で作られた大学間、法人間の関係を有効に用いて、より大きなネットワークを構築し、患者ニーズ、社会ニーズに応える医療と教育を目指すものである。医学部・歯学部を持つ8大学が協力して、現在医学教育、歯科医学教育が直面する問題に対して、特に口腔医学・口腔ケアに焦点を当て調査研究し、近未来的教育モデルとして日本はもとより世界に向けて提言することを考えている。医歯連携と広域連携を同時に図ることによって大きなグループダイナミクスが働くことが期待でき、これまでの連携事業では行えなかった医学・歯学教育体制の再考等、社会ニーズに応える基本的教育フレームの再編に関する提言やその実行が可能になる。