実施報告
① 成人歯科健診、歯科保健教育
通常の「歯科検診」ではなく、口腔保健指導を含めた「歯科健診」を推進するための当別町２万人歯の健康プロジェクトを遂行した。そのために歯科衛生士のトレーニングを行い、疾患に対する感受性や生活習慣の違いなど、「個体差」を考慮した個別の保健指導を行っている。歯科保健教育（特に主婦、自営業者）においては、地域住民の口腔状況を把握し、健康増進をはかる目的で、年間約1,700名の歯・口腔の健診を行った。当別町では健康推進事業「みんなでつくろう健康とうべつ」を行っており、その１分野「歯の健康」に貢献し、報告書等の資料作成、情報提供を行い、町民に還元した。また、健康手帳の配布や、歯科衛生士による教育活動の徹底により、町民の口腔保健に対する意識は高まった。
② 学生教育への住民参加
当別町民からボランティアとして養成した模擬患者（SP）をOSCEや医療面接の授業に活用している。SPを用いた授業には臨場感があり、コミュニケーション能力、問題解決能力を持つ優れた医療人の育成に貢献するとともに、学生教育を通じて地域と大学との交流を深めている。現在も「歯の健康プラザ」をその養成の場、あるいは課外授業の場として有効利用している。SP養成直後より、歯学部４年生の「歯科医療行動科学」を改変し、SPと直接対話することにより、今まで見学に終始してきた医療面接の実習がリアリティを持って可能となり、スムースにOSCEに移行する体制が出来上がったことに加え、低学年からのカリキュラムの改変にもつながった。
③ 歯学部低学年学生の総合学習の場
「小学生1日歯医者さん体験」「病院探検隊」「6474（むし歯なし）キャンペーン」などを実施した結果、本学職員の教育力のアップ、あるいは地域住民のデンタルＩＱの向上に資することができた。また、各イベントには本学学生が参加し、子供達と触れ合う機会を得、口腔保健教育の重要性を体感できた。 ④ 歯科学生の学外臨床実習の場：前述した通り、歯学部４年生の小児歯科実習の一環として本年度より当別町内の全保育所の園児を対象に視覚素材等を用いた口腔保健教育と個別口腔保健指導を行った。すべての４年生の歯学生が小児と触れあい、また、園児にとっても個別に指導を受け、歯と口腔の健康について意識する機会となった。
⑤ 口腔保健に関するボランティア活動
プレイハウスでの活動に歯学部学生、歯科衛生士専門学校生徒らが参加することにより、小学生と親交を深めることができ、保健教育の重要視を認識できた。通常は遊びの場であるこのような施設を活用することは大変有意義であると思われる。「歯の健康プラザ」をこのような目的で使用したこともあり、今後の展開に大きなヒントとなっている。