言語聴覚士は、失語症や聴覚障害、ことばの発達の遅れなど「ことば」「聞こえ」の問題に対して医師以外で、診断、訓練、指導にあたることのできる専門職で、ST(Speech Therapist)とも呼ばれます。国家資格化されたのは11年前で、その数は絶対的に不足しており、さらに急速に進む高齢化でニーズは高まるばかりです。言語聴覚療法が医療保険、介護保険の対象業務となったように、医療や福祉の現場からの期待も大きい国家資格です。
2002年に誕生した心理科学部は、文系と理系を連携させて、「人の心」と「コミュニケーション」の問題を心の科学と医学の両面から捉え、科学的にアプローチする高度専門職業人を養成する、わが国最初の学部です。言語聴覚療法学科では、「ことば」「聞こえ」の問題をコミュニケーションの問題として学ぶ新しい教育を展開し、広い視野から問題解決にあたることのできる、より高い実践力をもったST(言語聴覚士)を養成しています。
全国の言語聴覚士養成校に先駆けて2004年から、4年次の臨床実習に先立って診療技術やマナーがどの程度身についているかを判断するOSCE(オスキー/客観的臨床能力試験)を本格的に実施しています。OSCEは臨床現場を再現した複数のブースを回り、模擬患者を相手に医療面接、聴覚検査などの課題に取り組みますが、単なる採点・評価にとどまらず、試験後の教員によるフィードバックに力を入れることで臨床能力向上へと確実につなげています。

1・2年生も模擬患者として協力。患者さんを迎えて検査説明、検査実施、次回の予約をして送り出すまで、といった一連の流れがチェックされる。
4年次には隣接する北海道医療大学病院での1カ月の基礎実習を含め、学外の医療機関や福祉施設などで計3カ月の臨床実習があり、実際の患者さんを担当して一連の治療行為を体験します。

言語聴覚士や医師として臨床を熟知した教員がわかりやすい授業を展開しています。ブタの心臓や喉頭を使って行う1年次の解剖生理学など、医師免許を持つ教員ならではの授業も好評です。
2009年の言語聴覚士国家試験における本学の新卒者合格率は74.2%(受験者66名、合格者49名)と、1期生から連続して全国平均を上回る結果となりました。また、これまでの全卒業者228名のうち207名が言語聴覚士国家資格を取得しています。

心理的要因でことばを失った人たちの支援も視野に、心理系科目も豊富に用意。言語と身体科学、心理を対応させながら学び、心の領域に踏み込んだリハビリテーションの実践者をめざします。
| ○認知心理学 | ○老年心理学 |
| ○学習心理学 | ○臨床心理学 |
| ○発達心理学 | ○心理測定法 |
| ○生理心理学 |
人体の構造、機能を理解した上でスムーズに「ことば」「聞こえ」の専門領域に学びを進められるよう、医科・歯科学関連の科目を充実させ、1・2年次に学ぶようカリキュラムに配置しています。
隣接する北海道医療大学病院には2008年開設の音声言語外来、2005年設置の言語聴覚治療室があり、本学教員、専任の言語聴覚士が援助・治療にあたっています。もちろん本学科の臨床実習にも活用されています。
耳鼻咽喉科の専門外来である音声言語外来と言語聴覚療法室で、赤ちゃんから高齢者までの声、ことば、聞こえ、嚥下障害などの症状に対応している。
医療専門職のなかでも新しい分野であるため、高度な実践者、指導者が不足していることから2006年4月、大学院心理科学研究科言語聴覚学専攻を開設しました。独立した言語聴覚学専攻のパイオニアとしての期待に応え、先駆的な研究、教育が進行中です。
博士前期(修士)課程と博士後期課程を同時に開設。「特論」では、大学院生と複数の教員が同席して、活発な議論が展開される。
心理科学研究科言語聴覚学専攻では文部科学省に選定された「言語聴覚士卒後研修プログラムを含む大学院」で、総合的臨床実践能力と研究力を養成する体制の強化をはかると共に、言語聴覚士養成教育にとどまらず医療系大学院の新しい教育モデルを確立し、全国に向けて発信することをめざしています。
専門の治療・訓練を必要とする言語聴覚障害者の増加、言語治療を行う医療機関や福祉施設の増加から言語聴覚士の需要は年々高まり、就職実績は安定したものとなっています。2009年3月卒業生も9割以上が病院へ就職しました。言語聴覚分野で不足している指導者、教育者をめざし、大学院へ進学した学生もいます。