がん看護コース研修
緩和ケアリソースナース養成プログラム研修会

 平成28年度がんプロフェッショナル養成基盤推進プランの第2回目の講演は、村上好恵先生をお迎えしました。村上先生は、本事業で2回目の講演となります。前回は「遺伝性腫瘍の患者と家族をサポートする看護」をテーマとし、受講生に遺伝性腫瘍に対する基本的な考え方を伝えてくださりました。今回は、「遺伝看護の重要性と課題」と題し、新たな知識も追加されたアドバンス編となりました。
 がん患者全体の5-10%を占めるといわれている遺伝性腫瘍患者は、2013年にA・ジョリーさんが両乳腺切除したことで注目を集めました。しかし、参加者の中からも「遺伝看護という言葉自体なじみのないもの」という声があがるほど、まだまだ一般的な疾患とは言えない現状でもあります。遺伝性腫瘍の特徴は “若年でがんを発症することが多い”、“何度もがんを発症することがある”、“家系内に特定のがんが多く発症している”の3つです。とくに家庭内に特定のがんが多く発症する場合は、家系図を作成することももちろんですが、第1度から第3度近親者まで遺伝子の共有率が異なるといった知識をもつことも大切です。さらに、遺伝性腫瘍の発症に関連する遺伝子の知識、正常タンパクと異常タンパクの生成過程など看護師の研修では聞く機会が限られる専門的な内容も豊富な講義でした。
 遺伝性腫瘍の患者に「現段階では関わることが少ない」との参加者の声もありましたが、実際に患者に会うときに「どういった知識があったらよいかなど分からなかったが参加して理解できた」というように、難しい内容を整理して聞くことができました。それに加え今回は、「遺伝情報を受け取ることへの精神的反応」や「罪責感」に対してどのように関わったらよいかという知識と技術も知ることができ、具体的な介入イメージを持てるような内容となっていました。
 参加者は、18名となりました。今回の研修は“役に立った”と回答された方が94%となり、参加者の満足度が高い研修会となりました。参加者からは、「具体的な介入のイメージを持つことができた」というご意見や、「FAPの患者さと会った時に、どういった知識があったらよいかなど分からなかったが参加して理解できた」というご意見が寄せられました。今回も村上先生のお人柄と看護実践、看護教育に対する熱い思いに触れながら、遺伝看護について学ぶことができました。遺伝看護というと難しく感じますが、私たちの前にいる遺伝性腫瘍の患者はがん治療過程をたどるほかのがん患者さんと何一つかわらないということを再認識できた研修会となりました。
会場写真 会場写真

〜アンケートより〜
  • 具体的な介入のイメージをもつことができました。
  • FAPの患者さんと会った時に、どういった知識があったらよいのかなど分からなかったが参加して理解できた。
  • 知識として聞いたことないこともあり、現段階では患者様とかかわることが少ないが、知っていると知らないとでは全違うのでありがたい内容でした。
  • 遺伝看護という言葉自体なじみのないものでしたが、どのような役割があり、実践しているのかを知ることができました。