がん看護コース研修
緩和ケアリソースナース養成プログラム研修会

 平成27年度がんプロフェッショナル養成基盤推進プランの第1回目の講演は、「調整・教育におけるOCNSのコミュニケーションスキル」をテーマとして、梅澤志乃先生をお迎えしました。 梅澤先生は、東邦大学医療センター大森病院で精神看護専門看護師として活躍されており、学会や教育セミナーなどで、 緩和ケア領域のコミュニケーションなどの講演を多数お引き受けしているという大変お忙しい中でしたが、今回、札幌にお招きすることができました。
 平成26年度の診療報酬の改定により、がん患者指導管理の充実が望まれ、がん患者の精神・心理的なケアや継続的な指導管理が求められるようになりました。 これまでも、対患者・家族との面接やカウンセリングを行っていましたが、北海道のがん看護専門看護師も資格更新者が増えるに従い、調整や教育といった横断的な役割を担う場面や機会も増加し、 対看護師・他職種といった場面でもコミュニケーションスキルが問われることがあります。 さらに平成28年度に診療報酬改定では、地域包括ケア推進のために訪問看護体制や診療所との連携・協働といった分野への改定が見込まれており、 今後は地域や他施設の医療従事者との調整・連携の機会が増加すると思われます。今回の講演では、キャリアを重ねるに従い、 コミュニケーションの大切さと難しさを痛感するという参加者の声に応えたロールプレイを用いた実践的な内容を多く含むものでした。
 特に印象的だったのは、看護師と患者の言葉のやりとりを抜き出し、会話のどこに違和感があるか、自身はどのような感情を抱いたか、 さらに、やりとりのどこがどう変わると会話が変わるのかといったプロセスに焦点をあて、相手の言葉にどう応えることができるかを検討した点です。 このワークを行うことで参加者自身のコミュニケーションの癖に気づくことができ、さらにどのような言葉を選んで伝えると良いかといった示唆を得ることができました。
 今回は、札幌市内外の病院勤務している数名の看護師や大学・専門学校生にもご参加いただくことができました。 参加者の所属からもコミュニケーションがOCNSだけに限ったテーマではなかったことがうかがえました。 参加者からは「コミュニケーションスキルの再確認の時間になった」、「日頃のコミュニケーション困難場面では、自分のやりとりの振り返りや、 その時の感情に向き合ってみようと思えた」といった感想が寄せられ、今回の研修でたくさんの学びを得ることができたのではないかと思います。 研修の開催方法について、シリーズ化や他領域との合同セミナー開催への要望も寄せられておりました。がん医療を担う医療人養成プログラムとして開催しているセミナーではありますが、 より教育効果の高い研修形式を検討し、次年度の開催に活かしていきたいと考えております。

〜アンケートより〜
  • CNSではないが、普段のコミュニケーションの方法だけでなく、自分のマイナスな感情を認めること、自己不一致のこと、学べて良かったです。ありがとうございました。
  • 自分の「こうあらねば」という意識がコミュニケーションの障害になっていたのではないかと振り返ることができました。患者さんの話は聞けるのに、スタッフの話を聞けていない自分にも。ありがとうございました。
  • 具体的内容で実践に活かせると思いました。日頃のコミュニケーション困難場面では、自分のやりとりの振り返りや、その時の感情に向き合ってみようと思います。
  • コミュニケーションのロールプレイを体験し、学びを体感することができました。
  • すごく臨床にある場面を丁寧に解説していただけた。対Nsになった場面、どうしていったらいいのか、自分の中で考えていく必要がある。