第2回目がん看護コメディカル研修 緩和ケアリソースナース養成プログラム研修会を開催

会場写真
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 平成26年度 文部科学省選定 がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン がん看護コースの第3回目の事業は、「キャンサーサバイバーシップ−その意味するもの−」をテーマとして、ジュディ・ジョンソン(Judith L. Johnson)先生をお迎えし、講演会を開催しました。
 ジュディ先生は、1977年に国際がん看護学会で「I Can Cope Program」を紹介し、その普及にも尽力されている第一人者です。今では、全米の1,000箇所で実施されており、日本を含む諸外国でも実践されてきています。
 キャンサーサバイバーシップとは、日本では「がんサバイバーシップ」とも言われています。これは、1986年に米国のNCCS(The National Coalition for Cancer Survivorship)によりがん患者ががんと共に生き、充実した生活を送るための取り組みや生き方について提言された時に生まれた言葉です。「がんサバイバーシップ」には、急性期の生存の時期、延長された生存の時期、長期に安定した生存の時期、終末の生存の時期という4つの季節があります。この変化する4つの季節にどのように折り合いをつけ、より良く生きようとすることができるか、自分らしく生きられるかがサポートする上での鍵となります。 近年、がんに対する医療技術の進歩により、早期診断、早期治療が可能となり、がん患者の5年生存率は50%を超え、10年、20年という単位でがん患者の長期生存者は増加しています。そのような社会状況を踏まえ、看護師としてどのようなサポートができるかということを「Journey(旅)」という言葉を使って、ジュディ先生の講演が始まりました。旅路には、3つの段階があると話され、それぞれの時期にサバイバーシップケアプラン(Survivorship Care Plan)を作成し、実践していく必要性が具体的に示されていました。これまでの「がんサバイバーシップ」という考え方だけに留まらず、サバイバーシップケアプランは、がん患者の長い旅路を継続的にフォローするためのプログラムとなっていました。がん患者が診断を受け、治療をし、在宅に戻り、外来通院するという長い旅路で、患者自体が主人公として自身の病気や治療、今後起こりえることに取り組み続けられるようにサポートすることが大切であることを再確認できました。
 参加者は、大学院生やがん看護専門看護師として活躍されている方だけでなく、ジュディ先生の生徒であった方々の参加もあり、31名となりました。参加者からは、がんと共に生きている人を支えるというよりも、さらに深く、がんと共に生きる人がよりよく生きるために、看護師としてどう支援できるのかが大事だと気づけたというご感想や、フォローアップケアプランの必要性や具体的内容について学べたというご意見が多く寄せられました。
 がん看護専門看護師は、Change Agencyとしての役割を期待されているといえます。今回のジュディ先生の講義は、これまでのがんサバイバーシップの意味が進化し、Sift From “Surviving” to “Thriving”という言葉で締めくくられていました。固定概念を自らが作り変えるというがん看護専門看護師にふさわしい内容とともに、ジュディ先生の暖かい人間味あふれる講義によって、参加者の心も温かくなったことと思います。
 特に、個人としましては、ジュディ先生の対応や所作の一つひとつ、お人柄に触れることを通して、癒しと勇気をいただくこともできた貴重な機会となりました。

〜アンケートより〜
  • がんと共に生きている人を支える、ということよりも、さらに深く、がんと共に生きる人が、よりよく生きるために、Nsとしてどう支援できるのか、そこが大事だと思いました。考えていきたいと思います。
  • 診断から治療、または終末期ケアに焦点が当たりがちで、私たちのケア対象者も、治療期または終末期の方が多くなってしまいます。サバイバーの方も身体・精神的ケアの重要性、晩期障害へのケアの重要性が学ぶことが出来ました。
  • サバイバーよりジャーニーの方が聞こえがよいし前向きなイメージがある。先生の優しさが伝わった。
  • がんと共に生きる人々の身近にいる看護であるからこそ、できることは何か、日々考えている。業務が多忙となってしまうこともあるが、今回の講義を聴いて、改めて、自分ができるケア、行う必要がある看護を提供していきたいと思いました。
  • Surviving to THRIVING へとシフトする。他の領域の支援についても大切なことだと感じました。ありがとうございました。