第1回目がん看護コメディカル研修 緩和ケアリソースナース養成プログラム研修会を開催

会場写真
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 平成26年度の診療報酬の改定では、従来の「がん患者カウンセリング料」の名称が変更となり、「がん患者指導管理料」となりました。さらに「がん患者指導管理料」は3段階に設定されており、がん看護専門看護師の場合は、がん患者指導管理料2が算定できるようになっています。がん看護専門看護師として、患者の心理状態に十分配慮した環境を整え、心身の状態を評価し、対応することや、情報提供、意思決定支援といった専門的なスキルが求められるようになっているといえます。
 そこで、平成26年度 文部科学省選定 がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン がん看護コース 第1回目の事業として、平成26年7月5日(土)に、戸田中央総合病院の看護カウンセリング室長 広瀬寛子さんを講師にお迎えし、「看護カウンセリングの実際〜事例を通してみるカウンセリングの姿勢」について、研修会を開催しました。参加者は、大学院生やがん看護専門看護師として活躍されている方だけでなく、緩和ケア認定看護師の参加もあり、41名となりました。
 講義では、はじめに「わかる」という言葉を3つ「分かる」、「判る」、「解かる」という観点から意味や使い方について考える機会を持つことができました。さらに、「傾聴」について、いつも黙って聴くことでもなく、オウム返しに言い返すことを繰り返すことではないという言葉も印象的でした。会話の基本的な会話術として「オウム返し」は頻繁に使われていますが、会話の技術として取り入れるだけではないことを強調しておられました。話し方のスキルだけに囚われず、質問なり、答えなり、配慮なりを送りこみ続けることが、看護師が実践するカウンセリングの前提であると感じました。事例の中では、希死念慮のある患者へ対応した事例や母親との死別を若くして経験しなければならなくなった家族の事例を紹介していただき、現実に即した知識や技術の活用の仕方も学ぶことができました。講義の後半は、看護師への看護カウンセリングと題して、広瀬先生の活動の内容や実際の事例について話していただきました。看護師は感情ルールにそって、自分の感情をコントロールすることが求められることが多く、看護師も自身の心のありように目を向けることが大切であることを学びました。
 参加者からは、患者さんへの対応について非常に参考になったというご意見や、日々の看護師としての悩みや不安も“自分自身として受容する”こと、自己一致していくことの大切さを学べたというご意見も多く寄せられました。がん看護専門看護師は、患者さんやご家族へのカウンセリングだけでなく、患者さん・ご家族のさまざまな感情に直接的に触れる機会が多い看護師に対してもアプローチすることが大切だと思います。今回の広瀬先生の講義は、がん看護専門看護師として活動していく中でさまざまな場面で必要とされるカウンセリングの具体的方法と応用について教えていただける貴重な機会となりました。

〜アンケートより〜
  • 日頃の自分の関わりなどを振り返ることができた。自分も傾聴しただけで良い反応をもらったときに、何もしていないのにという思いを抱いていたが、本日の話を聞いて、それだけでも良かったという自分の活動へのフィードバックともなった。
  • 日々の関わりの中で悩んでいたりする場面など、どういう姿勢、対応、思いでいけばいいかが分かることができました。症例を通しながら具体的な内容でわかり易かったです。
  • 外来看護をしていて、がん患者と話す場面が多くあります。自分がかける言葉に迷ったり、いつも同じことをいっているなと感じたりしていました。そのようなとき、自分の関わりを同僚と振り返ったりすること、先生の事例を通して、こういう態度、言葉が効果的になることがあることを知れたことで、この研修にでてとても良かったと感じました。
  • Nsとしての自分だけではなく、最近唯一の家族を亡くした遺族としての自分にも大きな支えとなりました。感情を大切にするということがケアの質を高めることにつながるということを学びました。
  • 事例が多く、事例を通して深く理解することができた。