第1回目がん看護コメディカルコース研修を開催

会場写真
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 がん看護専門看護師養成コースプログラムとして、平成22年9月25日(土)、「がん医療における統合医療〜その意義と実践」と題し研修会を開催しました。講師として、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC) 統合医療サービス部門のジェーン・グリーン先生をお迎えし、ご自身の実践経験を踏まえながら「統合医療」の考え方や最新の情報についてご講演いただきました。統合医療サービス部門は、11年前、グリーン先生を中心メンバーとし5人の看護師によりスタートした部門ですが、現在は75人のスタッフメンバーにより運営されており、MSKCCでのがん医療において重要な役割を担っている部門です。統合医療には、日本では代替・補完療法として広く知られているマッサージ療法や鍼治療、ヨガや瞑想療法などが含まれます。講演では、これらの統合医療は、主流のがん治療に代わる「代替」療法ではなく、症状コントロールを目指して「同時に利用する」補完療法であること、あくまでも科学的根拠に基づいて実施されるべきものであることが強調されていました。当日は、学部の学生やCNSコースの院生、CNS認定に向けて準備されている方、認定看護師、臨床でがん患者の看護を実践している看護師など合わせて54人にご参加いただきました。逐次通訳による講演であるため、講演後の質疑応答には60分程の時間を設けました。質疑応答では、グリーン先生の専門であるマッサージ療法について、他職種からの依頼システムや実施のガイドライン、依頼後のアセスメント内容などについて具体的にイメージすることが出来ました。また、サプリメントや酸素療法など、巷で利用されている製品にも根拠のないものがあり、利用の仕方によっては弊害すらあることも紹介されました。MSKCCのサイトでは、これら「インチキな方法」を含め、薬草や植物性薬品、ビタミンなどについて約250項目について紹介されており、サイエンテイフィック・アメリカン誌とNYタイムズ科学記者により有益な医療情報資源として認められているということでした。がん患者が求める情報源を紹介できるよう、看護職には確実な情報と知識を有する責任があることを改めて痛感しました。日本では、補完療法に関する考え方や普及に関してアメリカと異なる環境にあるためすぐに実践することは難しいと思いますが、今後の課題も含めて大いなる刺激を得ることができた講演でした。