3-6 保健機能食品制度厚生労働省は,平成13年度より保健機能食品制度を施行した.これにより保健機能を有する食
品が明確に一般食品と区別され,健康維持のための食品の選択の指標となった.
保健機能食品の種類
1)特定保健用食品
個別許可型:身体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含ん
だ食品であって,健康の維持増進および特定の保健の用途
に資するもの
2)栄養機能食品
規格基準型:高齢化,食生活の乱れ等により,通常の食生活を行うこと
が困難な場合等に不足しがちな栄養成分の補給・補完に資
するもの
それぞれ独自の表示を認めることにより,保健機能食品を他の食品と区別
することができるようにするもの
注意!
いわゆる健康食品は,これらの範疇には入らず,
一般食品として扱われる!
3-7 科学的根拠に基づく栄養学 (Evidence Based Nutrition: EBN)
食品の機能性についてを論じるとき,その根拠が明確であるかどうかが
重要である.
例:ある食品のがん予防効果に関する報告
○○という食品は△という成分が含まれており,これらをよく食べる
民族はがんが少ないことで有名である.
○○を食べることでがんが予防できる.など
健康に関する雑誌や単行本,マスコミ情報などは今や洪水といって過言
ではないほどにあふれている.
それらの情報の根拠は明確なものなのかどうかを確かめずに,いいなり
になってしまうことは本当の意味で,健康維持につながらない.
情報の正確さを見極める目を養うことも 健康維持に必要である
例:当教室で発見した銀杏食中毒の教訓
間違っていた常識1) 銀杏食中毒は含まれる青酸配糖体による中毒で
ある.
正しくは,含まれるアンチビタミンB6(ビタミンB6拮抗作用)
による.(構造式板書)
間違っていた常識2) 銀杏には豊富なビタミンB6が含まれている.
分析法が間違っており,毒性のあるアンチビタミンB6をビタミンと
して測定していた.
教訓:食品機能の解析や評価には多方面の専門家が関与して,
メリット(よい点),デメリット(悪い点)の両面から総合的に判断
する必要がある.
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