この事業について

認知症高齢者の研究は、脳生物学的な研究などによって進展しつつあるが、人々の生活という観点にたてば、彼らのケアの方法を確立していくことは必須である。ケアは人と人の間に現象することであり、社会をバックボーンとしている。従ってケアは、経済や施策、人間の尊厳といった社会基盤状況の観点、健康な時点を含め予防から疾病期、ターミナル期という時間の観点、ケアが行われる施設や地域という場の観点、ケアにかかわる人々という人的観点からのアプローチが必要である。本研究では、こういった観点からケアをトータルに捉え、21 世紀における世界の最重要課題である認知症高齢者のトータルケアを目指す。

認知症高齢者のケアは、本人・家族や地域の人々・専門職者の3者間で繰り広げられている。現在、この3者間で虐待をはじめとする新たな問題が生じ始めている。また、認知症高齢者本人への直接的ケアに関しても、嚥下機能や不可解な行動の意味やそれへの対応など、複雑な要素が絡み合って成立している不明な領域が多々残されている。本研究では、そのような現状を踏まえ、認知症高齢者の予防期からターミナル期までを視野におさめ、一方ではケアにかかわる本人・家族や地域の人々・専門職者間に新たに生じている問題の実態を把握し、もう一方では、複雑系に属する本人への直接的なケアの方法を開発する。最後に、認知症高齢者のトータルケアの全体図を構成することを目的とする。


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