実務薬学(実務薬学教育研究)

研究実績

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研究概要

平野教授は、胎児の発育に大きく関与するアミノ酸、葉酸やカルニチン等の母体─胎児間輸送を明らかにしてきました。現在は、臨床現場で大きな問題となる注射薬の配合変化について、pH変化や力価低下に着目し検討しています。また、前職の神戸大学医学部附属病院薬剤部において、薬学部での教育内容と臨床現場で必要とされる知識の橋渡しを可能にする統合型薬剤師研修システム(iPES)を構築しました。薬剤師国家試験合格のための教育ではなく、優れた研究能力を有する薬剤師の育成、Pharmacist-scientistを目標に活動しています。

中山講師は、北海道学校薬剤師会副会長など学校保健に関わる役職に就いており、関係団体と協力しながら、薬剤師の社会貢献活動の一つである、学校薬剤師について研究を行っています。現在は、薬物乱用防止教育に関する教育資材の作成と実践、また、学校教育での、薬に対する正しい知識が、将来の医薬品の適正使用に大きく貢献すると考えられることから、学校現場の先生などと協力して、薬の正しい知識の効果的な教育法ついて研究を行っています。さらに、学校保健に関して、小児腎疾患スクリーニング調査、校内感染症予防対策、学校環境衛生の向上、校内薬品管理に関する研究も行っています。そのほかにも、実務実習支援システムや、北海道地区調整機構実務実習受入登録システムなど、薬学実務実習に関する教育システムの開発も行っています。

櫻田講師は、社会における薬局の役割や、在宅医療、災害医療に関する研究を行っています。薬局における薬剤師業務は、単なる処方せん調剤に留まらず、地域住民の健康増進や、在宅医療、衛生保持など、様々なかかわりを持っています。高齢化社会を迎え、薬剤師が在宅医療に係わるニーズも高まっています。近年、日本においても、大規模な災害が続いています。災害に襲われた時、現場の医療活動を、どのように維持し、展開していくのか。薬剤師としてどのように取り組んで行くべきかを考えています。

早坂講師は、臨床栄養に関する研究を行っています。医療において栄養療法は適切な健康を維持するための基本となり、がん化学療法、周術期医療、フレイル、褥瘡、在宅医療など様々な場面で栄養療法の知識が必要になります。本邦は、世界に先駆け高齢化社会を迎えていますが、高齢者の多くがサルコペニア(筋肉の質と量の低下)を発症していると言われます。サルコペニアは、高齢者のADLおよびQOLの低下を起こし、その原因は低栄養状態と報告されています。高齢者の健康寿命を延ばすためにも栄養療法は重要です。前職では、NST(栄養サポートチーム)専門療法士として、病院内でのNST活動や褥瘡ケアチーム、口腔ケアチーム、感染対策チーム、がん化学療法のチームに関わり、患者の栄養状態の改善に参画してきました。当講座では、臨床の場で活用できる栄養管理の研究を行っています。

吉田教授は、調剤薬局におけるリスクマネジメントに関する研究を行っています。医薬分業が進み、薬の責任者が薬剤師であると国民から認識されてきています。薬剤師として歓迎すべきことですが、法的責任の観点から、薬剤師の責任もより大きいものとなっています。調剤ミス・調剤過誤に対して、どのように防止していくか、どのような対応を取っていくかなど、薬剤師としてすべきことを常に考慮することが重要となっています。