衛生薬学(衛生化学)

研究実績

研究概要

銀杏中毒に関する研究

当研究室では「銀杏中毒の原因はアンチビタミンB6 (4´-O-Methylpyridoxine: MPN) によるビタミンB6 欠乏症状に基づくものである」事を発見した。さらに、銀杏中毒患者より採取した血液中のMPNの検出、定量にも成功した。現在でも、銀杏中毒は年に十数件発生しており、当研究室はインターネットによりPOISON-mlというグループや日本中毒情報センターと情報交換し、中毒予防法の普及や治療法の開発のための協力体制にある。さらに研究室のホームページ(http://www.hoku-iryo-u.ac.jp/~wadakg/keyword/ginkgofoodp.html)で銀杏中毒の解説をしており、全国各地の病院からの中毒症例に関する問合わせに対し、治療法等の情報提供や中毒患者の血清中の中毒成分の分析を行っている。ここ数年は、MPNの代謝経路等の体内動態についての解析を中心に行っており、水酸化活性や抱合活性に種差があることを明らかにしている。さらに、銀杏中毒患者の血清中の分析により、ヒトにおけるMPNの体内動態に関する情報も集まってきている。また、銀杏中毒患者のほとんどが子供であることに着目し、子供で銀杏中毒が起こり易い要因の解明に向けて研究を進めている。また、ビタミンB6の体内動態に関する研究も並行して進行している。

ビタミンの体内動態に関する研究

ビタミンB6は、アミノ酸代謝等様々な生体内反応に関与するが、その体内動態は、生体内でのリン酸化による活性化や、アルデヒドオキシダーゼによる不活性化等により制御されている。当研究室では、ビタミンB6の体内動態の個体差や、体内動態に影響する薬物や食品成分に関する研究、ならびに、ビタミンB6の体内動態に関わる酵素の活性測定を行い、ビタミンB6の体内動態の解明を目指している。一方、アルカリホスファターゼ活性が低い低ホスファターゼ症患者では、骨の成長不全により重篤な場合は死に至る。ピリドキサールリン酸は、アルカリホスファターゼの生体内基質であるため、生体内ビタミンB6濃度の測定が、低ホスファターゼ症の診断ならびに治療効果の指標となりうるか共同研究を行なっている。最近、水溶性ビタミンであるビタミンB1 やB2のリン酸体も、ビタミンB6と同様に測定条件を確立した。今後、これらのビタミンの体内動態の変化が、どのような生理作用の変動を引き起こすか検討中である。銀杏中毒、低ホスファターゼ症などが疑われる際、PLPなどの測定が可能ですので、興味のある方は、kobadai@hoku-iryo-u.ac.jp までご連絡ください。