食品衛生学定期試験解答例  

(最終更新日2011年2月2日トップページ

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 本学の「食品衛生学」の講義をベースとしたページです

新着情報平成22年度食品衛生学定期試験解答例(2011.2.2)

解答例の一部追加・訂正(2011.2.3)

自己採点の参考にして下さい.間違いの多かったコメントも参考にして下さい.

問題1

 1) リポポリサッカライド(LPS) 2)  食品衛生法 3) S 4)  マウスユニット  5) ムスカリン

問題2

1) 食品には自由水と結合水がある。水分活性とは、食品中の自由水の割合を示すもので、食品

の変質の原因となる微生物自由水のみを利用することができるため変質の要因の指標となる。

2) 式: Aw = 食品の水蒸気圧 /  純水の水蒸気圧      

Awの取り得る範囲:0 <  Aw  <  1 または 0 ≦ Aw  < 1

3) ヒスタミン ②アグマチン ③カダベリン ④チラミン ⑤トリプタミン 

γ-アミノ酪酸 (GABAでも可)

4) メチオニン ②トリプトファン

 5) 原因成分:オルトジフェノール類(ポリフェノールも可) 関連因子 1)ポリフェノールオ

キシダーゼ  2) 酸素(O2も可) 褐色色素名:メラニン色素
6) 食品中の還元糖由来のカルボニル基(還元性カルボニル化合物)とタンパク質やアミノ酸由来の
  アミノ基
非酵素的に縮合して生成するシッフ塩基から転移反応や重合反応によって褐色色素で

あるメラノイジンを生成する反応。

   糖尿病患者は一般に血糖値が高いために、グルコースとヘモグロビンのアミノ基との間で

メイラード反応が生体内で進行すると考えられている。その結果として、Hb1Ac値が健常

人より高値となり、糖尿病の指標となる。(赤字は必須)

[講評]腐敗アミン(アミノ酸の脱炭酸反応生成物)のうち、アグマチン、カダベリンの正解率が低かった。
   問題2 2)のメイラード反応についての説明は、○○と××から□ができるという基本的な文章
   構成になっていないものが散見された。説明文は主語、述語等が対応していなければ説明には
   ならない。また相手に納得してもらえないので、注意して欲しい。

問題3

 1) マイコトキシンの生成を防ぐために①食品を乾燥させる、②食品を低温で保存する。

 2) 化学名 アフラトキシンB1   属名 Aspergillus (コウジカビでも可)

  毒性発現機構:肝ミクロソームでシトクロムP450により代謝を受け、反応性の高いエポキシ

ドが生成する。これがDNA塩基と共有結合することによって発がんの原因となる。

[講評]マイコトキシンは耐熱性であるにも関わらず、「加熱処理する」という回答が多かった。
 マイコトキシンの基本的性質であるので留意すること。健康被害を回避するためには廃棄
 するしかない。

  

問題4 
問1 動物性自然毒の特徴

 1) 冬に多い 2) フグ中毒が多い (その他:フグ中毒により致死率が相対的に高いなど)

  植物性自然毒の特徴1) 秋に多い 2) キノコ中毒事件が多い 

2    番号 化    名   原因動植物名                         

      1    シロシビン    ミナミシビレタケ等     幻覚作用      

       2   テトロドトキシン   フグ             知覚麻痺、運動障害、呼吸麻痺   

       3   アミグダリン  青梅(バラ科植物)  細胞呼吸障害        

       5   サキシトキシン   ホタテ、イガイなど 知覚麻痺、運動障害、呼吸麻痺 

       6  ソラニン         ジャガイモ          縮瞳、痙攣、悪心、嘔吐、下痢など

       7   シガトキシン   亜熱帯サンゴ礁の魚介類    ドライアイスセンセーション

3 a) 肝臓、卵巣  b) 条例によりフグ調理師免許取得者のみ調理が許可されている

   c) フグ毒は食物連鎖によりフグに蓄積され毒化するため、養殖条件により毒性は異なる

4 テトロドトキシン(2)、サキシトキシン(5)、シガトキシン(7

* 2及び5Na+の膜透過抑制、7は膜透過促進  訂正問4 シガトキシンが正しい

5  アミグダリン   6 ソラニン

[講評]問2の毒性の項目をすべて、「麻痺」と回答しているものが散見されたが、何の麻痺か
判断できないので、正答とは認めなかった。
 化学名は正確に記載されていない場合は、誤答とした。薬品名は1文字違うだけでまったく
作用の異なるものとなり、医療過誤の要因ともなる。用語や化学名を正確に覚える習慣をつ
けてほしい。


問題5 1) ノロウイルス  2) 食品の加熱、手洗い、井戸水の塩素消毒

3) ノロウイルスによる食中毒は冬季に多発し、夏季に多発する細菌性食中毒と多発する時

期が異なる。

[講評]過去問類似問題のためか、よくできていた。

問題6 ① ボツリヌス菌 ② 陽 ③ 偏性 ④ する ⑤ 弱い ⑥ アセチルコリン 

⑦ 阻害⑧ ハム、ソーセージ ⑨ 腸炎ビブリオ  ⑩ 陰性 ⑪ しない ⑫ 3 

⑬ しない⑭ 溶血環 ⑮ 神奈川 ⑯ 魚介 ⑰ 2 ⑱ 発熱 ⑲ 黄色ブドウ球菌 

⑳  ㉑ 通性 ㉒ しない ㉓ 単純 ㉔ 嘔吐 ㉕ ない ㉖ 無効 ㉗ 手指

㉘ メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(またはMRSAも可)

[講評] 概ねよくできていた。代表的な食中毒菌の学名、性質、中毒症状、予防法その他の
特徴などは記憶しておく必要がある。

問題7 ①陰 しない 乳 ガス 赤痢 ベロ 溶血性尿毒症 ⑧ 3

問題8  1  A) ベンゾ[a]ピレン     B) Trp-P-1

2A) 有機化合物(食品)の不完全燃焼:焦げや燻製(くんせい)B) タンパク質の熱分解

3 A) シトクロムP450(CYP1A1)により代謝を受け、7,8-エポキシ体となった後、加水分解を

受け7,8-ジオール体となる。さらに7,8-ジオール-9,10-エポキシ体に代謝(CYP1A1)されDNA

塩基と共有結合して発がんの原因となる。 訂正:問3A ジオールのルが抜けていた

B) 1級アミノ基がシトクロムP450CYP1A2)により代謝を受け、ヒドロキシアミンを経て、

O-アシル化を受けるかそのままでDNA塩基との共有結合を形成して発がんの原因となる

[講評]問題7は過去類似問題のため、正答率が高かった。

 問題8は正答率が低かった。特にベンゾ[a]ピレンTrp-P-1の生成の原因の説明ができて
 いなかった。また、生体内の発がんメカニズムをすべてエポキシ化で説明しようとする回答
 が散見された。化学構造をよく把握し、毒性発現のメカニズムを理解して欲しい。

問題9 問1   A) プタキロシド ワラビ B) サイカシン ソテツ

2 シクロプロパン環が解裂し、DNA塩基との共有結合を形成し発がんの原因となる。

3 加熱またはあく抜き 問4 β-グルコシダーゼ(グリコシダーゼも可)、メチルカチオン

   (またはメチルカルボニウムイオン、CH3+ も可)

問題10

 1  利点1 短期間で変異原性の結果を評価できる

      利点2 代謝活性化や突然変異のメカニズムを予測できる

2 ネズミチフス菌ヒスチジン要求性 問3 高い相関性があるが、一致しない

[講評] 問題9、10の正答率は低かった。
  問題10のAmes試験は発がん性の予測のための代表的な変異原性試験であり、試験の
意義、方法(用いる菌、突然変異の評価方法)、試験法のメリットなどを理解しておく必要がある。

試験の講評:語句は一字一句正確に記憶する必要がある.医療現場では,文字がわずかに違うだけでまったく
異なる医薬品になり,医療事故につながることがある.4年生へ向けての準備:4年次には,食品添加物,保健機
能食品,遺伝子組み換え食品,食品汚染物などを学習するので,余裕のある人は,3年で使用した教科書の該当
部分を読んでおいてください.追再試対象者は定期試験と同じ問題は出題されないので、問題の答えを丸暗記しな
いこと。意味をよく理解すること。

 


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  *このペ-ジは北海道医療大学薬学部衛生化学教室教授和田啓爾が作成したものです。

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