食品衛生学定期試験解答例  

(最終更新日2010年1月26日トップページ

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 本学の「食品衛生学」の講義をベースとしたページです

新着情報平成21年度食品衛生学定期試験解答例(2010.1.26)

自己採点の参考にして下さい.間違いの多かったコメントも参考にして下さい.

問題1:解答例(配点20点:一部完全解答あり)

 1) Aw = P / Po

 2)水分活性とは、食品中の自由水の含量を表す。食品中の遊離の形の自由水とタンパク質や糖質などに

   化学的に結合あるいは吸着した結合水が存在しており、食品の腐敗に影響を与える微生物は自由水のみ

   が利用できる。(赤字の部分が記載されていれば良い)

 3)

腐敗起源化合物
腐敗に関与した反応名
コメント
a
リシン(リジンも可)
脱炭酸反応
正答率低かった
b
システイン
脱アミノ反応および脱炭酸反応
正答率極めて低かった
c
トリプトファン
脱アミノ反応および脱炭酸反応
正答率低かった
d
グルタミン酸
脱炭酸反応
正答率低かった
e
ヒスチジン
脱炭酸反応
正答率高かった
 *
脱アミノ酸反応という答えが多かった。反応名を「分解」と記載している人が多かった。

 4)

  原因成分:オルトジフェノール(ポリフェノールも可)

  関連因子:1)酸素、2)ポリフェノールオキシダーゼ、 色素名:メラニン

   *オキシターゼ、オキシラーゼと記載している人が散見された。酵素の名称を復習して下さい。

 5)

  原因成分名: 1)還元糖(カルボニル基、カルボニル化合物も可)、2)アミノ酸(タンパク質、アミノ化合物、アミノ基も可とした)

  反応名:メイラード反応、 色素名:メラノイジン *メライジン、メイラノジンと誤記している人が散見された。

問題2:解答例(配点6点)

 1)マイコトキシンの産生は、カビが生育・増殖する環境条件と栄養源に依存する。すなわち、一般に

   水分が15%以上温度が20〜30℃で、栄養源として炭水化物に富んだ穀物類でよく産生される。

   *赤字部分が記載されていれば可。

 2)化学名:アフラトキシンB1  属名:アスペルギルス属(Aspergillusも可、単にA.は不可)

   *アスペルギウスと記載している人が散見された。

  毒性発現機構:アフラトキシンB1は、シトクロムP450による代謝で、2,3-エポキシド体となり、

    活性化され、これがDNA塩基と共有結合(付加体も可)を形成し、肝がんを誘発する原因となる。

    *赤字部分が記載されていれば可。

  

問題3:解答例(配点20点)

問1 

番号
化学名
原因動植物名
毒性
コメント
1
アミグダリン
青梅等(バラ科植物も可)

細胞呼吸毒性(シトクロムオキシダーゼ阻害)

-

2
サキシトキシン
ホタテ、ムラサキイガイなど

自律神経、運動神経遮断による呼吸麻痺、運動麻痺など

単に「麻痺」や「神経麻痺」は不可

4
テトロドトキシン
フグなど

自律神経、運動神経遮断による呼吸麻痺、運動麻痺など

「神経症状」は何を指すか不明なので不可。

6
シガトキシン
ドクウツボなど

温度感覚失調(ドライアイスセンセーションも可)

原因に「シガテラ」は不可。シガテラは食中毒の意。

7
ソラニン
ジャガイモ(発芽部、緑皮部)

悪心、めまい、縮瞳、痙攣、胃腸症状など(コリンエステラーゼ阻害作用も可)

神経麻痺は不可

問2 a) 卵巣、肝臓、  b) 都道府県条例に基づくフグ調理の有資格者が調理 c) マウスユニット

問3 化合物2(サキシトキシン)と化合物4(テトロドトキシン):番号のみで可

問4 ソラニン  問5 アミグダリン

問題4:解答例(配点14点)

1)ナス  2)ヒヨスチアミン(アトロピンも可)  3)副交感  4)散  5)ゴボウ  6)ジ

7)アコニチン  8)痙攣  9)B6  10)GABA(γ-アミノ酪酸も可) 11)ムスカリン

12)コリン  13)アセチルコリン  14)アトロピン

問題5:解答例(配点5点)

1)ノロウイルス  2)食品の加熱処理および、調理器具の洗浄、消毒、調理人の手洗いなど

3)わが国におけるウイルス性食中毒は冬期に多発しており、細菌性食中毒が夏期に多発するのと対照的である。

  また、1件当たりの患者数が多いのも特徴である。

問題6:解答例(配点15点)

学名(和名)
グラム染色性
中毒発現機構
特徴的中毒症状
コメント
ゲルトネル菌
陰性
感染侵入型

発熱、嘔吐、下痢など

発熱は必須

ウェルシュ菌
陽性
感染毒素型

嘔吐、下痢、腹痛など

「発熱はない」だけでは不可

腸炎ビブリオ
陰性
感染毒素型

発熱、嘔吐、下痢など

発熱は必須

カンピロバクター ジェジュニ・コリ

陰性
感染侵入型

発熱、嘔吐、下痢など(ギランバレー症候群も可)

-

黄色ブドウ球菌
陽性
毒素型

嘔吐、下痢、腹痛など

「発熱はない」だけでは不可

問題7:解答例(配点10点)

問1 1)陰  2)しない  3)乳  4)ガス  5)赤痢  6)ベロ  7)溶血性尿毒症  8)三

問2 腸管出血性大腸菌の感染菌量は100個程度で成立し、他の感染型食中毒菌に比べ極めて少量で中毒が発症する。

問3 1)食品の加熱処理  2)調理時に十分な手洗い、調理器具の洗浄や消毒

問題8:解答例(配点10点)

 1)リポポリサッカライド(LPS、リポ多糖も可)、 2)毒素原、 3)硫酸(スルホン、スルホニルも可とした)

 4)光過敏性、 5)シビレタケ(ワライタケも可)、 6)ゴシポール、 7)食品衛生、 8)不飽和結合(二重結合も可)

 9)偏性嫌気、 10)ショック

試験の講評:語句は一字一句正確に記憶する必要がある.医療現場では,文字がわずかに違うだけでまったく異なる医薬品になり,医療事故につながることがある.4年生へ向けての準備:4年次には,食品添加物,保健機能食品,遺伝子組み換え食品,食品汚染物などを学習するので,余裕のある人は,3年で使用した教科書の該当部分を読んでおいてください.追再試対象者は問題の答えを丸暗記しないこと。意味をよく理解すること。

 


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  *このペ−ジは北海道医療大学薬学部衛生化学教室教授和田啓爾が作成したものです。

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