top image
2009年9月21日, サロベツ原野, 北海道 にて

News about kis


2013.8 Torinoで開催されるIALP 2013で口頭発表します.


2013.7--8 Stockholmで開催されるSMAC 2013で招待講演をします.



2013.4.2 科学研究補助費 挑戦的萌芽研究に採択されました.

研究

発声学(Vocology)

Vocologyとはvoice(声)を研究する学問領域を指す言葉 Ingo Titzeさんが考案した で,意味からすれば“声学”とでも訳すべきだが, 音声学(Phonetics)などと明確に区別するために, 日本語では“発声学”とでもしておくのがよいように思う これは榊原が勝手に訳語を与えたが,人口に膾炙したと云う訳では無い.

発声学では,従来, 音声学が対象として来た音声(speech)のみならず, 歌声,叫び声,唸り声,ありとあらゆる声(voice), 発声(vocalization)を研究の対象とし, 生理,物理,信号処理,分析,合成,など様々な方法を用い, 声に関係する様々な事柄について研究を行う. 音声に関しても,言語的な情報以外にも声質など非言語的情報が研究の対象となる.

僕が声の研究をしている動機は:

  1. 声は,コミュニケーションの手段として依然として非常に重要なモダリティであり, かつ,恐らく文字以前の太古の時代から用いられて来た.したがって, 声および声によるコミュニケーションを研究することで, ヒトを中心とする生物の自他間のコミュニケーションについて起源,本質を洞察することが可能である.
  2. ヒトやその他動物の発声の可能性と限界とを明らかにすることにより, 声,音声言語,言語をヒトが獲得して来た過程について考察することが可能である.
であり,2000年頃から,この領域の研究を始めた.

人間のコミュニケーションの中でも,非常に原始的なものに興味があり,感情, 歌声など音楽としての声など,言語以前の声,あるいは,非言語的な声が研究の対象である.

動機は壮大ではあるが,実際の研究は, これらの対象を,発声器官の形態,生理的メカニズム,神経系の制御機構などを生理学的なアプローチで,また,声帯振動,空気力学的音響現象などを物理学を用いて, 音波としての声を音響学的視点で分析/合成し,実際の声や合成音の知覚的特性を心理物理学的/認知神経科学的方法で,解明する,というかなり地道な仕事の積み重ねである.

「ヒトのヒトらしさ」の中には,良い特徴ばかりでなく,us と them を分けて, お互いに憎しみ合う,と云う様な面もある. 声を中心にコミュニケーションの生物的基盤を理解することで, 人間をより深く理解し,社会における理性の実現に貢献することを願っている.

Mar 31, 2011