がん看護コース 緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム学生支援事業

 令和4年3月26日(土)13:00より、文部科学省選定多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン 緩和ケアアウトリーチナース養成プログラムの事例検討会をオンライン形式にて開催いたしました。今回は『コロナ禍の面会制限に直面した家族への支援~倫理的問題とケアを考える~』をテーマとし、COVID-19の感染が拡大して2年が経過する現在、大変話題性の高い有意義な事例検討会となりました。
 事例提供者は、勤医協中央病院緩和ケア病棟の看護師長として活躍されている、がん看護専門看護師の加藤真由美さんでした。また、午前の研修会で『コロナ禍におけるがん患者を取り巻く倫理的問題』をテーマに講師を務めて下さった、日本赤十字看護大学看護学部教授の吉田みつ子先生がスーパーバイザーとして参加してくださいました。参加者は、看護師や大学、教員および大学院生など16名でした。
 加藤さんからは、これまで24時間いつでも面会が可能であった緩和ケア病棟においてコロナ禍以降は様々な制限が開始され、人生の最終段階にある患者の面会を希望する家族(友人)と面会制限がある中で支援を提供する医療者の間で生じている葛藤について事例提供されました。事例提供後は、①面会を希望する家族(友人)と感染対策による面会制限の狭間で葛藤を抱える医療者の間で生じている倫理的問題を整理する、②患者と家族(友人)に対する具体的なケアと調整を考える、以上の2点について、それぞれグループワークと発表を通して学びを深めました。①では、主にJonsenの臨床倫理4分割表を用いて情報を整理することで生じている問題の本質を見極め、その中で不足している情報についても検討されていました。また、②のグループワーク前には吉田先生より看護目標として「患者、弟および友人それぞれがどのようになればよいのか考えること、俯瞰的にみるだけでなく、ナラティブエシックスとして個を見ることが大事」という助言をいただいてから具体的なケア内容について検討しました。本研修会の参加者評価として、全員が「役に立った」と回答していたことから、全体を通して高い評価でした。
 今回、オンライン形式の開催とはなりましたが、発表では画面共有をするなど各参加者がオンライン研修にも慣れてきているという側面も見受けられました。今後もオンライン研修が続いていく可能性もありますが、十分に学びが共有できた会となりました。


~アンケートより~
  • CNSの役割を考える上で、倫理的事例の検討は、大変興深く学びとなりました。また倫理的事例検討の企画をしていただけたらなと思います。
  • 面会制限下の中で様々な倫理的問題があり、患者や家族にどうケアしていくのか、今回話し合い学んだことを今後に活かしていきたいと思います。
  • 吉田先生のアドバイスをいただき、それぞれの当事者性を考えていくことの大切さに気づかされ、視点が広がりました。