がん看護コース 緩和ケアアウトリーチナース養成プログラム研修会

 令和3年度がんプロフェッショナル養成プランの第1回目研修会は12月5日に「災害時におけるがん患者への支援」と題して行われました。近年、北海道では胆振東部地震で大きな被害を経験しました。研修会参加者の中には、近親者の身の安全を確認してから、数日分の着替えや持ち出せる食べ物を持参し、数日間職場に留まる覚悟をして職場に向かった経験者もいます。
 そのような災害時、がん看護には何が求められるのか、災害看護の基礎知識や災害を考慮したがん看護について宮城大学大学院看護学研究科教授 菅原よしえ先生にご講演いただきました。
 ご講演では、東日本大震災の時の避難所でプライバシーが守られるよう工夫した事例や、発災して4〜7日で体力が低下し低体温や意識状態が変化した高齢者への対応が必要であった事例など、避難所の実際の様子やチーム活動の内容をお聞かせいただきました。また、自助・共助・公助の災害対策の考え方、発災から急性期→亜急性期→中長期→静穏期と進む災害サイクルとそれに伴う被災者の心の反応、正常な回復過程を促進するケアの方法、これらを踏まえた、災害を考慮したがん看護についてご提示いただきました。さらに、がん患者にとって、発災に伴う緊急性を要する出来事は多くはありませんが、がん治療することで命をつないでいる状況であり、治療・療養を続けられるよう支援することが、その後の患者家族の行動に影響を与えることもお話しいただきました。
 参加者からは、「災害看護は、救急看護の分野で学習したことがあったが、がん看護の視点から学習でき、とても学びが多かった」「災害時だけでなく、日頃から災害に関する知識を持つことの重要性や、ストレス対処を意識的に行うことの大切さを学ぶことができた」「災害時の看護だけでなくサイクルとして長期的にケアを考える必要性を学ぶことができた」「いつ起こるかわからない災害について、この静穏期に学習でき、今後の災害発生時のチームづくりに役立つと思った」などの感想が寄せられました。
 がん患者にとって災害は、自分の命をさらに危険にさらす大きな出来事であり、がん患者だけでなく周りの人々全体にも揺らぎが生じ、いつにもまして支援が必要となります。その支援について、災害が起きる前から医療者間だけでなく患者家族と共に備える必要性を考える機会となりました。


~アンケートより~
  • 災害看護は、救急看護の分野では学習したことがあるが、がん看護の視点からが鵜周したことはなかった。とても学びが多かった。
  • 災害時だけではなく、日頃から災害に関する知識を持つことの重要性や、ストレス対処(自分自身に大きな期待を持たない、雑談の中で感情を吐き出す)を意識的に行うことの大切さを学ぶことができました。
  • 災害時の看護だけではなく、サイクルとして長期的にケアを考える必要性を学ぶことができた。